ITに詳しくない方に、ITを伝える方法
「デジタル改革塾」
ITの専門家ではない方に、ITの最新トレンドとビジネスに活かすための方法をお伝えする講座をITmediaさんと一緒にはじめています。昨日は、その2回目「クラウド・コンピューティングとモバイル・デバイス」をテーマに話をさせて頂きました。
受講者の大半は、「ITに詳しくない」皆さんです。事業部門や経営企画、中には社長も参加されています。そして、事業部門から情報システム部門へ転属となり、ITがよく分からなくて、と言う方もいらっしゃいます。
「ITに詳しくない」方に、ITをわかりやすく解説するのは、なかなか大変ではありますが、次の3つを心がけ、話しをするようにしています。
- なにができるようになるの?
- どうして必要とされるようになったの?
- 〇〇〇に例えてみると
「なにができるようになるの?」とは、テクノロジーの価値や役割についての説明です。例えば、「クラウドとは何か?」を説明するだけではなく、自分たちで所有するコンピュータとクラウドの違いを説明します。そして、自分たちで持つことがどのような不便や制約を与えていたのか、それをクラウドに置き換えると、こんなところが変わる、こんなことができるようになる、こんな価値が生まれると説明します。価値や役割をつたえることで、自分たちの仕事にどのように使えるのか、自分たちの仕事がどう変わるのかと、身近こととして捉えていだくことができます。
「どうして必要とされるようになったの?」とは、歴史を伝えることです。例えば、クラウドがこれほどまでに注目されるようになったのは、それを必要とする歴史的必然があったからです。1950年代に始まる商用コンピュータの歴史的変遷を紐解きながら、コンピュータが社会に広く受け入れられるようになり、価格も下がり、いろいろな業務で利用されることになった結果、それに伴いTCOがIT予算の7割りをしめるほどに増大してしまったこと、1990年代に始まるインターネットの普及が、コンピュータと人との係わり方を大きく変えてしまったことなどを取り上げ、それによって生じた課題を解決するための手段としてクラウド登場し、それが広く受け入れられた結果、これほどまでに注目されるようになったことを説明するようにしています。そうすれはば、自ずとクラウドの価値やこれほどまでに注目される理由が理解できるようになります。
「〇〇〇に例えてみると」つまり、身近なたとえ話をすることで、その価値や意味を感覚として受けとめることができるようになります。例えば、あなたが炊飯器を買いたいと思い、電気店に行ったとしましょう。
美味しいご飯を炊きたい、こんな料理にも使ってみたいと、その炊飯器を使ってやりたいことを思い描き、店員に、そんな想いを伝えました。すると、店員はこう答えました。
「そういうことなら、まず発電機を買いましょう!とてもいい発電機がありますよ。工事代金もいまならお安くしておきます。この発電機は・・・」
このような話しをするのが、皆さんの会社にやってくるIT企業の営業さんです。もはや発電機というコンピュータを買わなくてもすぐにご飯が炊ける炊飯器、つまりクラウドがあるのに、少しでも沢山の機械を売りたい、工事の手間賃を稼ぎたいと売り込んできます。こういう営業さんは世間の常識を知らないので、皆さんの役には立ちません。お付き合いするのはやめた方がいいですね。
と説明すると、なるほど!となるわけです。
人が「難しい」と感じるのは、自分のまわりの出来事とかけ離れていると感じるときです。そう感じてしまうと、心に分厚い壁を作ってしまいます。そうなると、たとえ丁寧に説明しても、心の壁が受け入れを拒否してしまいます。それを少しで取り払うためには、こんな3つのつことに心がけるといいようです。
また、「アルファベット3文字やカタカナ言葉は使わないで下さい」と研修の担当者が言われることがありますが、これはとてもナンセンスです。アルファベット3文字やカタカナ言葉は、あまたあるITに関かかわる情報を理解するためには知っておかなければならないことなのです。つまり、アメリカ人の彼女から送られてきた英語で書かれたラブレターを読みたいのに英語が分かりませんでは、彼女の思いを理解することもできなければ、彼女に想いを伝えることもできません。だからその意味や使い方を知ることが、大切なのです。
アルファベット3文字やカタカナ言葉を「分かっていることを前提に」、その意味や価値、役割を説明することなく、どんどんと話を進めてしまうから、訳が分からなくなってしまうのです。大切で頻繁に使われ、「ITに詳しくない」方にとって「非日常」の言葉は、丁寧に、わかりやすく解説してから使うようにすれば、その後の説明の効率は上がりますし、自分で情報を調べるときやIT関係者と話しをするときも重宝するのです。
「アルファベット3文字やカタカナ言葉」だから難しい、わかりにくいではなく、それを知ったかぶりでろくに説明もしないままに、説明するから嫌われるわけで、これをやめればいいのです。
「わかりやすく」するためには、「こういう表現は、相手に理解できるだろうか、できているだろうか」と自分に常に問いかけながら、もし難しいそうだと感じたら、どうすれば相手の理解を得られるかを考え言葉を工夫することを心がけることです。そんな心がけを続けてゆけば、「わかりやすい」のパターンが見えてきます。そして、考えずともスッと使えるようになります。
新入社員研修もそろそろ佳境かと思いますが、そこで講師をされる方がいらっしゃれば、そんなことを心がけてみてはどうでしょう。大人気の講師になることは間違えありません。
【図解】コレ一枚でわかる最新ITトレンド 増強改訂版 本日発売です!
- 何ができるようになるのか?
- どのような価値を生みだすのか?
- なぜ注目されているのか?
「知っている」から「説明できる」へ
実践で「使える」知識を手に入れる
- IoT とインダストリー4.0
- AR とVR
- 人工知能と機械学習とディープラーニング
- サーバ仮想化とコンテナ
- ネットワーク仮想化とSD-WAN
- アジャイル開発とDevOps
- マイクロサービスとサーバレス
キーワードは耳にするけど、
それが何なのか、何ができるようになるのか、
なぜそんなに注目されているのか理解できてなかったりしませんか?
【若干名募集】ITソリューション塾・東京と大阪
東京・5月16日/大阪・5月22日 ITソリューション塾 まもなくスタートです。
「最新」のトレンドって、なんですか?
世の中は「最新」であふれかえっています。ただ、その中で、私たちのビジネス・チャンスに結びつく「最新」は、限られています。
中には、私たちのいまのビジネスのあり方を否定し、事業の変革を迫る「最新」もあります。
それを見分け、味方に付けてゆくためにはどうすればいいのでしょうか?
ITソリューション塾は、そのためのお手伝いをしたいと思っています。
わかりやすく、誰もが理解できるように説明するつもりです。
参加するには、「覚悟」や「決心」は不要です。毎週参加するという行動が、自ずと「覚悟」や「決心」を固めてくれます。
まずは「カタチ」がは入れです。それが、次のステージへと自らを押し出すきっかけになるはずです。
IT業界の方、情報システム部門の方、ITを差別化の武器として活かしてゆきたい事業部門や経営に関わる方のご参加をお待ちしています。
最新版(4月度)をリリースしました!
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
新入社員のための「最新トレンドの教科書」も掲載しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
*クラウドについてのプレゼンテーションをインフラ編から独立させました。
*使いやすさを考慮してページ構成を変更しました。
*2017年度新入社員研修のための最新ITトレンドを更新しました。
*新しい講演資料を追加しました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
クラウド・コンピューティング (111ページ)
*「インフラとプラットフォーム編」より分離独立
【新規】クラウドによるコスト改善例 p101-108
開発と運用(68ページ)
【新規】管理運用の範囲 p.37
【新規】サーバーレスの仕組み p.40
インフラとプラットフォーム(211ページ)
*クラウドに関する記述を分離独立
【新規】多様化するデータベース p.127
【新規】クラウドデータベース p.156-158
IoT(101ページ)
【新規】IoTはテクノロジーではなくビジネス・フレームワーク p.16
【新規】LPWA主要3方式の比較 p.52
人工知能(103ページ)
【新規】自動化と自律化が目指す方向 p.14
【新規】操作の無意識化と利用者の拡大 p.21
【新規】自動化・自律化によってもたらされる進歩・進化 p.22
テクノロジー・トピックス (51ページ)
【新規】RPA(Robotics Process Automation) p.17
サービス&アプリケーション・基本編 (50ページ)
*変更はありません
ビジネス戦略(110ページ)
*変更はありません
ITの歴史と最新のトレンド(14ページ)
*変更はありません
【新入社員研修】最新のITトレンド
*2017年度版に改訂しました
【講演資料】アウトプットし続ける技術〜毎日書くためのマインドセットとスキルセット
女性のための勉強会での講演資料
実施日: 2017年3月14日
実施時間: 60分
対象者:ITに関わる仕事をしている人たち
【講演資料】ITを知らない人にITを伝える技術
拙著「未来を味方にする技術」出版記念イベント
実施日: 2017年3月27日
実施時間: 30分
対象者:ITに関わる仕事をしている人たち
詳しくはこちらから
新刊書籍のご紹介
未来を味方にする技術
これからのビジネスを創るITの基礎の基礎
- ITの専門家ではない経営者や事業部門の皆さんに、ITの役割や価値、ITとの付き合い方を伝えたい!
- ITで変わる未来や新しい常識を、具体的な事例を通じて知って欲しい!
- お客様とベンダーが同じ方向を向いて、新たな価値を共創して欲しい!
斎藤昌義 著
四六判/264ページ
定価(本体1,580円+税)
ISBN 978-4-7741-8647-4Amazonで購入
人工知能、IoT、FinTech(フィンテック)、シェアリングエコノミ― 、bot(ボット)、農業IT、マーケティングオートメーション・・・ そんな先端事例から"あたらしい常識" の作り方が見えてくる。