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【図解】コレ1枚でわかるBIとAIの違い

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BI(Business Intelligence)とAI(Artificial Intelligence)は共にデータに基づいてビジネスや社会活動の「事実」を人が判断しやすいように見える化する手段です。経験や勘にたよるのではなく、事実から生みだされるデータに基づくことで、的確な意志決定が下せるよう支援してくれる道具であるという点において両者は共通しています。また、統計的手法を駆使し、そのデータに内在するパターンを見つけ出すという機能もあり、この点においても両者は同じ方向を向いています。

そもそも、ビジネスに関わるデータに内在するパターンや特徴を見つけ出し意志決定に必要な情報(インテリジェンス)を見つけ出すことが、BIの目的であるとすれば、AIはその手段であり、両者を分けずに「アナリティクス」と言えばいいではないかという考え方も広まりつつあります。

このように共通するところの多い、両者を強いて区別するとすれば、どうなるのでしょうか。

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BI

この言葉が使われるようになったのは、1989年、後にガートナーグループのアナリストとなるHoward Dresnerが、「ビジネスインテリジェンス」とは、「事実をベースとした支援システムを使用した、ビジネス上の意思決定を進化させるための概念と手法」を指す包括的用語であると提唱したことがはじまりで、1990年代後半までには、この意味での使用が普及してゆきました(Wikipedia参照)。

当時、この「事実」は企業内の情報システムから生成されるデータに限られていました。これをプログラミングなどの専門スキルがなくても、業務や経営の現場にいる人たちが、意志決定に必要な情報を簡単に検索したり、管理帳票を作ったりする手段として使われるようになったのがBIアプリケーションです。

1990年代後半以降のインターネットの普及やWebサービスの登場と共に、「事実」となるデータが生成される範囲を広かってゆきますが、一貫していることは、膨大なデータの中から、人間が意志決定するために役立つパターンや特徴を見つけやすいように表やグラフに「見える化」することに主眼が置かれてきました。あくまで、人間が主体です。人間が、特徴を見つけ出し、推論、判断するための作業を行うわけで、その生産性を高めることが狙いとなっていたのです。

AI

AIという言葉が意味する本来の意味は「機械の脳」、あるいは、「脳で行われる知的な活動を行う機械」ということで、何でもできる高度な知能機械というイメージがつきまといます。しかし、現実には、意志や意識、好奇心や課題の探求・開拓といった人間の脳には本来備わっている機能はありません。ですから、IBMなどはAIという言葉をあえて使わず、人間が経験や知識などに基づいて考え、判断し、行動する認知の過程を支援する手段であるとして、「コグニティブ(認知)・コンピューティング」と呼んでいます。

AIであれ、コグニティブ(認知)・コンピューティングであれ、その中核となるのが機械学習です。これは、データを分析し、推論や判断を行うためのパターンや特徴を計算で取り出すための仕組みです。

BIでは、このパターンや特徴を見つけ出す作業を人間に大きく依存していました。BIは、それを支援するためにわかりやすい表やグラフを人間に提示し、人間が行うこれら作業の生産性を高めることに主眼が置かれていたのです。

一方AIは、これを機械自身でやらせるところに違いがあります。特に扱えるようになったデータがビッグデータと言われるように量や種類ともに膨大になり、人間の能力だけでは、そのデータに内在するパターンや特徴を見つけ出すことが困難になったことも背景にあります。そこにコンピューター性能の向上やアルゴリズムの進化があり、機械に任せることが可能になったのです。昨今は、脳科学の知見を取り入れた「ティープ・ラーニング(深層学習)」という手法が登場し、この機能や性能がさらに高まっています。

このように、機械自身に事実に基づきデータの解釈をさせ、推論や判断さえも委ねようというところにBIとの大きな違いがあるのです。もちろん、最終的な判断は人間の役割とする場合も多いかもしれませんが、AIを利用した「自動運転車」などは、運転に必要な様々な判断を機械に委ねようとしています。

このように見てゆくと次のようにまとめることができるでしょう。

  • BIとは、「人間の知的活動の生産性を高めるための手段」
  • AIとは、「人間の知的活動を拡張しその能力を高める手段」

両者を分けて考える必要はないのかもしれませんが、あえて分けるとすれば、このような整理ができるかもしれません。

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*** 全て無償にて閲覧頂けます ***

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最新版【2015年12月】をリリースいたしました。

今月の目玉は、「オンプレからパブリッククラウドへの移行」について、ドキュメントを追加しています。移行をご検討のユーザー企業・情報システム部門の方は企画書や経営会議の資料として、SIerの方はお客様の提案資料としてご利用頂けると思います。

なお、今月より「テクノロジー編」を「インフラ&プラットフォーム編」と「サービス&アプリケーション編」の2つに分割致しました。(全438ページとなり資料探しに手間がかかるようになったため)

【インフラ&プラットフォーム編】(246ページ)

  • ハイブリッド・クラウドについて、各社の取り組みを比較しやすいように資料を作り直しました。P44
  • PaaSについての解説をわかりやすく修正しました。p.55-56
  • 「パブリッククラウドへの移行の勘所」と「パブリッククラウド移行の企画書・提案書の作り方」の章を新しく追加しました。SIerにとっては顧客提案資料として、また、ユーザー企業の方は経営会議や企画会議の資料としてご利用頂けると思います。p.77-94

【アプリケーション&サービス編】(192ページ)

  • 誤字・脱字等を修正しました。内容に大きな変更はありません。

【ビジネス戦略編】(74ページ)

  • 「SI事業者の成功要因の変化」を追加致しました。
  • 「PEST分析と5フォース分析で見るクラウド化」を追加しました。
  • 「事業再構築の逆Cカーブ」と「SIビジネスへの適用」を追加しました。
  • 「基幹業務のAWS適用事例」を追加しました。
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