「手段」は「あるべき姿」から逆引きして考えればうまくいく
「ITトレンドについて研修をしていだけませんか?」
研修に限らず講演や執筆など、「このような内容で」お願いしたいというご依頼を頂くことが一般的です。そういうご依頼を頂くと、必ず次のような質問をさせて頂きます。
「どういう人が参加され、研修の結果として、受講者にどのような変化や成果を期待されていますか?」
講演の内容は、手段に過ぎません。その手段を使ってどのような結果を出すかが大切です。その結果を合意しないままに、こちらの思い込みのままで内容を作っても相手がそれに満足してくれるという保証はありません。
「若手の営業が対象なんですが、お客様と会話しても話が拡がらず案件を増やす切っ掛けがつかめません。そのあたりを何とかしたいと思い、ならばITのトレンドじゃないかと考えて相談させていだきました。」
ITトレンドの知識を習得することではなく、お客様との会話を深め案件拡大のチャンスを掴むことが「期待する結果」、すなわち「あるべき姿」だと言うことが分かりました。
「ならば、昨今のテクノロジーやビジネスの動向の中で、御社の商材がどう位置付けられているかを整理し、どのようなメッセージをお客様にお伝えすれば良いかが分かるような内容にしましょう。また、若手ですから、お客様の課題を発掘するためのステップや会話術などの基礎的なことも盛り込んでは如何でしょうか。」
このような会話をすすめてゆくことで、依頼者もまた自分が何を依頼しなければならないかが明確になります。そして、「あるべき姿」とそのための手段についての双方の理解が確かなものとなります。
「PCを100台欲しいんだけど、見積をお願いできないだろうか。」
このような依頼についても、先のやり方が通用します。
「何のために、PCを100台購入されようとしているのですか?」
「実は、新しい商品の販売をはじめるに当たりコールセンターで受注担当の要員を100人ほど増やすことになりました。そのために担当者が使うPCが必要になったからなんです。」
お客様の期待する「あるべき姿」は、PCを100台購入することではなく、増加する受注に対応することだということが分かりました。ならば、もっと良い方法はないのでしょうか。例えば、CRMを導入しお客様との応対時間を半減させることができれば50人でいいかもしれません。あるいは、商品の内容やマーケティングにまで踏み込みWebのみでの受注できるようにすれば、増員は不要です。
このように「結果として、どうなっていたいのか」すなわち「あるべき姿」を明らかにすることで、より相手の価値を高めることができる選択肢を見つけ出すことができるかもしれないのです。
手段を求められ「はい分かりました」と応えるのではなく、「なぜですか?」を繰り出して「あるべき姿」を明らかにすること。そして、その「あるべき姿」から、それを実現するための最適な「手段」を再構築すること。そういうことができてこそプロとしての矜持です。
その上で、「あるべき姿」を相手と合意することです。こちらの押しつけや思い込みではなく、相手もそうしたいということの確認と、それを実現することにこちらが関わることに相手の了解を取り付けることです。合意もなく進めてしまうと、相手にとっては「余計なお世話」になりかねません。
「手段」は「あるべき姿」から逆引きして考えることが、相手の満足を引き出すためには、とても大切なことなのです。
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最新版【2015年10月】をリリースいたしました。今回の目玉は、最新ITトレンドを俯瞰するチャートの追加、IoT関連のチャートの追加、ビジネス戦略の内容刷新とSIビジネスを分析したチャートの追加です。
【テクノロジー編】(379ページ)
- 「デジタル化の歴史」を追加しました。
- サイバー・フィジカル・システムについて、既存のチャートを修正し、さらに新たなチャートを追加しました。
- IoTについてのチャートを追加しました。
- IoTのもたらすパラダイムシフトについてのチャート
- フォグ・コンピューティングのチャート
- 「クラウドにつながるとモノはインテリジェンスになる」チャート
- 人口知能(ティープラーニング)についてチャートを追加しました。
【ビジネス編】(67ページ)
- 新たに「SIビジネスの現場や課題」の章を立て、8枚のチャートを追加しました。
- 成長してきたSI産業
- SI事業のコスト構造
- SI企業のアドバンテージ・マトリクス分析 など
- 新たに「SIビジネスのが直面する現実」の章を立て、既存のチャートと4枚の新しいチャートを加えました。
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- 新規事業の立ち上げについて、一部内容を見直し、新しいチャートを加えて再構成しました。
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目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン