イノベーション営業のすすめ(1/2) : 営業は、メディアになれ!
「営業は、メディアになれ!」
私は、いろいろな機会を通じて、こんな言葉を投げかけています。
ブログやフェイスブックなどソーシャルメディアの普及により、誰もが簡単に自分をメディアにすることができるようになりました。それは、個人ばかりでなく企業もまたしかりです。
広く不特定多数の人に呼びかけることだけが、メディアになることだけではありません。自分の担当するお客様を対象とした勉強会、業務や経営に関わる話題についての情報提供など、お客様専属のメディアになることも、ひとつのやり方です。
お客様に取って役に立つ情報を発信し、お客様の変革を促すことが、営業の大切な役割です。そうすれば、高い問題意識と志を持つ変革の推進者を引き込み、変革への共感を集めることができます。さらにその輪を拡げ、組織を挙げた変革への取り組みに仕立て上げてゆくことができるのです。
ソリューション営業は、「こんな課題があるに違いない」という仮説を確認することや、これを提示して気付きを与えることが、起点となります。このやり方は、既知であれ未知であれ、課題が存在することを前提とするものです。これを聞き出し確認し、お客様と合意することから提案活動が始まります。
しかし、ソリューションがコモディティと化し、それでは競合との差別化は難しくなりました。ならば、新たな視点から差別化を仕掛ける必要があります。それは、「変わらなければいけない」というお客様の問題意識を起点とするものです。わたしは、これをイノベーション営業と呼んでいます。
そこに明確な課題はありません。また、変わらなければいけないという強い想いを持つ人を見つけ出さなくてはなりません。ただ、そういう人を訪ね歩き見つけ出すことは、容易なことではないでしょう。ならば、惹き寄せるのです。
お客様の経営者や業務のリーダーに、自分たちが考える問題意識や変革へのビジョン、お客様を取り巻くビジネスやテクノロジーのトレンドなどを発信し続けることです。その相手が適任でなければ、そういう意識の持ち主を紹介してもらうことです。そうやって、自分の存在を伝え続けることが、イノベーション営業の活動を支えてくれるものです。
「人脈」という言葉があります。これは決して、どれだけの人を自分が知っているかではありません。どれだけの人に自分が知られているかです。知られる存在になってこそ、人は相談を持ちかけてくれるのです。こちらがどれだけ知っていようとも、自分が知られていなければ、信頼して話を聞いてはくれません。メディアになるとは、そんな人脈を拡げる活動です。広がった人脈の志を束ね、大きな力にしてゆくことが、イノベーション営業の役割だといえるでしょう。
変革はお客様自身が主導し取り組むことです。外部の人間が主導することはできません。だからこそ、お客様の中に変革の推進者を見いだす必要があります。その人物を支援し変革を加速することが営業活動なのです。
ビジネスのあらゆるセグメントが、IT抜きに語れない今、変革はITの新たな需要を産み出します。つまり、変革のプロセスに関わることが、営業活動なのです。
「それは営業の役割ではない。コンサルタントの仕事だ。」
もしそう思われるのであれば、このような発想自体が、もはや時代遅れなのです。営業が、自身の役割について、このような自己規定を持ち続けている限り、イノベーション営業になることはできません。
これまでの営業の「当たり前」は、新しい「当たり前」に置き換わります。これまでのことしかできない営業は、稼げない営業として、役割を失ってゆくことになるでしょう。営業という仕事の創造的破壊が進行しているのです。
これを営業というのか、コンサルタントというのかは、あまり意味のあることではありません。ビジネスを獲得し拡大してゆくために、必要なことなのです。
「そんな人材、うちにはいませんよ。経営や業務を変革するなど、うちのような小さな会社には無理ですよ。」
そんな声も聞こえてきそうです。しかし、けっしてそんなことはありません。明日は、このテーマについて考えます。【続く】
【募集開始】ITソリューション塾・第19期
ITソリューション塾・第19期の募集を開始します!
- 期間:2015年2015年5月21日(木)〜7月22日(水) 毎週2時間x10回
- 場所:市ヶ谷・東京
- 講義資料(パワーポイント:約500ページ)はロイヤリティフリーにてダウンロード
第19期は、基幹業務での利用が加速するクラウドの新たな位置付け、IoTやアナリティクスについて、これまで以上に掘り下げてみようと思います。また、ビジネス戦略の策定やIT人材のあり方や育成についても考えます。
また、DevOpsやアジャイルはもはや外せないテーマです。実践ノウハウにまで踏み込んで、専門家による特別講演を予定しています。セキュリティは、「起こさないための対策」と「起こってからの対策」を体系化して解説します。前者はテクノロジーや業務運用、後者は法律専門家や広報ということになるでしょう。
セクシーな提案書の作り方、顧客満足の科学など、お客様との応対力を高める実践ノウハウも解説します。
定員は60名を予定しています。比較的早い段階で定員を超えることが予想されますので、まだ未定の場合でもご意向だけメールにてお知らせ頂ければ、参加枠を確保させて頂きます。
詳細な日程や内容につきましては、こちらをご覧下さい。
「ITの最新トレンドとビジネス戦略」【2015年3月版】 リリース
全て無料でご覧頂けます。今回の改訂の目玉は、以下の3点です。
*「コレ1枚で分かる最新ITトレンド」を全面改定。
IoTの位置づけを見直し、Cyber Physical Systemsについての記述を追加しました。
最新の解説もダウンロードできます。
*IoTの記述を追加し、より分かりやすいものにしました。
IoTとソフトウェア制御の関係やIoTデバイスのスタックにつ
*「アナルティクスとビジネスインテリジェンス」
こんな方に読んでいただきたい!
- IT部門ではないけれど、ITの最新トレンドを自分の業務や事業戦略・施策に活かしたい。
- IT企業に勤めているが、テクノロジーやビジネスの最新動向が体系的に把握できていない。
- IT企業に就職したが、現場の第一線でどんな言葉が使われているのか知っておきたい。
- 自分の担当する専門分野は分かっているが、世間の動向と自分の専門との関係が見えていない。
- 就職活動中だが、面接でも役立つITの常識を知識として身につけておきたい。
「【図解】コレ1枚で分かる最新ITトレンド」に掲載されている100枚を越える図表は、ロイヤリティ・フリーのパワーポイントでダウンロードできます。自分の勉強のため、提案書や勉強会の素材として、ご使用下さい。
目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン