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ポストSIビジネス:新規事業がうまくいかない理由と3つの対策

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「需要があるから、そこにビジネスが存在する。」

今のSIビジネスに当てはめれば、「人月需要があるから、人月ビジネスが存在する。」という道理が成り立ち、需要が供給を上回る状況が続いている。

他に需要があっても、これまでやって来たやり方がそのまま使えるのであれば、未知の領域に取り組む必然性は生まれない。だから、新規事業などというものは、だれもその必要性など感じない。

新規事業への取り組みに一生懸命になるのは、決まって業績が厳しい時だ。そうすれば、現場の危機感を煽ることができる。もっと頑張れの遠回しの表現であり、待遇を改善できないことへの意識を現場に醸成することができる。

本気でやる気があるのなら、組織や予算といった本丸に手をつけるはずだ。そこには手をつけず、放課後のクラブ活動のような「新規事業プロジェクト」、「新規事業タスクフォース」、「新規事業検討委員会」などと銘打ち、本業との掛け持ちで、「君は優秀だから」と持ち上げられて、ボランティアでそちらへの取り組みを任される。

また、「新規事業を考えと欲しい」とのミッションは与えられても具体的な成果目標を与えられないこともある。あるいは、「3年後に10億円のビジネスを立ち上げて欲しい」という曖昧な達成目標を示されることもある。しかし、その数字の意味は、「それぐらいでないとかっこがつかない」程度にしか考えられたものではなく、事業ポートフォリオでの配分や位置付け、その戦略的価値など示されることがないままに、「なんとなく」がふってくる。

どこまで権限が与えられるのか、マイルストーンやKPIはどのように設定し評価されるのかはっきりしない。人材や予算の裏付けも与えられず、「頑張ってほしい」といわれるだけでは、本気度を感じられるはずはない。

新規事業というものは、そんな簡単に生まれるものではない。当然、本業を抱えるクラブ活動の参加者は、本業が忙しいから、そちらの数字が優先されるからという、至極当然な理由で新規事業の取り組みから離脱してゆく。

業績も厳しければ、自らの本業の数字についても厳しいわけで、そこを何とかしなければ厳しいおとがめが待っている。できるかどうかの見通しもなく、慣れない仕事で、トップの本気度もうかがい知れない「新規事業」に時間を使っている余裕などないと考えるのは、当然ことだろう。

経営者にしてみれば、今の数字が達成できることが何よりも大切だ。だから、現場が忙しく、新規事業の開発などに取り組んでいる時間的余裕などない、という状態こそ理想と言えるだろう。新規事業がうまくいかないことは、必ずしも悪い状態ではない。だから「新規事業」といかけ声は、いつまでたっても永遠に続くかけ声のままなのだ。

先日のブログでも伝えたように今の需要はまもなく終焉を迎え、需要は落ち込むだろう。そのときに「新規事業」のかけ声をかけても、また同じことが繰り返されるだけだ。しかし、それでいい。厳しい時期を堪え忍べば、再び需要は持ち直す。これまでもそのサイクルを繰り返してきた。また同じことが起きるから大丈夫。そんな安心感があるのかもしれない。しかし、今度はそうはいかないだろう。

  • 生産年齢人口の減少=人材が確保できない
  • スマート化=労働集約型需要が減少する
  • テクノロジー・イノベーション=求められスキルの変化によるスキル・アンマッチがおこり需要があっても供給できない

こんな動きが、今の特需の裏側で確実に進行している。これに対処するには、「新規事業」に本気に取り組むことだろう。

  • 新規事業のための組織作りと予算確保を行う
  • 優秀な人材を登用する
  • 外部の知恵やリソースを組み入れる

組織や予算は本気度を示す最もわかりやすいメッセージだ。そこに、現場から外されると困るという人材を投入する。いまなら、「人手不足」はお客様もわかっているので、言い訳がとおるだろう。また、どんな優秀な人材であっても、社長の顔がちらつくようでは思うように力を発揮できない。また、「企業文化」のしがらみから脱することも難しい。ならば、外部のベンチャー、コンサルタント、大学などと組んで、これまでにはない組み合わせで化学反応を起こすことが必要だ。

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「新規事業が成功した企業の93%は、何度も試行錯誤を繰り返し、新規事業が成功するまで資金が続いた企業だ。」

「イノベーションのジレンマ」の著者クレイトン・クリスチャンセン氏がこのように語っていた。需要がなければ、キャッシュフローは回らない。ならば今のうちにと考えるのは、理にかなっていると思うのだが、どうも世の中は、この理屈ではなかなか回らないようだ。

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【2014年12月版】(209ページ)の更新内容は次の通りです。

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  • 「ITインフラと仮想化」に解説文を追加しました。
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