へたくそなプレゼンと決別するための3原則
「伝えたという自分の満足ではなく、伝わったという相手の真実が大切だ。」
研修や講演のために資料を作ることは多い。しかし、ついつい書きすぎてしまい、ビジーな資料になることはいつもの話。改めて作った資料を他人の気持ちで見直すと、「何を伝えようとしているんだろう」と苦笑いしてしまう。この資料で理解できるだろうか。わかりやすいだろうかと問い掛けながら資料を作らなくてはいけない。
その資料を使って話をするときは、相手の表情を見なくてはいけない。こちらの意図通り相手に伝わっているのだろうかと。頷いているのか、メモを取っているのか、笑っているのか、首をかしげているのか、あくびをしているのか、内職しているのかなどなどを読み取り、それに反応して内容を変えたり、質問をしたり、テンポを変えたりとダイナミックに沈黙のツーウェイ・コミュニケーションを行う。そうやって、相手に確実に伝わっていることを確認してこそ、自分の責任を全うできる。
「自分の伝えたいことではなく、相手の知りたいことを伝える。」
聞く人の前提知識や立場、彼らの意図や期待により、伝えるべきメッセージは違う。誰しも、自分に興味や関心がないことは、心のフィルターにかからない。感動もできない。自分が伝えようとしている相手は、何を知りたいのかを思い描き、言葉や絵を綴らなければ、所詮は自己満足の話に終わってしまう。
相手が知りたいのは、結果や成果、価値や意義だ。途中の過程や手段は、結果や価値に魅力を感じたなら知りたいと思うはず。その大切なメッセージを伝えないままに、どれほど自分達はガンバっているか、他社よりどれほど優れているか、どれほど機能や性能に優れているかを伝えても余計なお世話であり、しらけさせるだけだ。相手の「知りたい」に的を絞る。そして、その「知りたい」を少しずつ引き出してゆく。その「知りたい」に合わせてメッセージを伝えれば、相手を飽きさせることはない。そんなことも考えず、自分の「伝えたいこと」だけを自分のペースで語っていては、例え内容に価値があっても相手には残らないだろう。
「相手に分かってもらいたいなら、美しくなくてはいけない」
「美しさ」と「好き嫌い」を混同してはいけない。私は、ポルシェもメルセデスもBMWも美しいと思う。それぞれに自分達が追求している美意識をデザインとして形にし、その存在感を主張している。しかし、私は、ポルシェはカエル顔に見えてしまい、メルセデスは威張り散らしているようで嫌いだ。それに対して、BMWは内面に秘めた力強さや精緻さを静かに語っているようで好きだ。
美しさは客観であり、好き嫌いは主観だ。講義や講演で使う資料にもこの考え方は通用する。
美しくなければ自己主張はできない。もちろん存在感もない。美しさは相手への思い遣りでもある。すんなりと相手の心に染み込ませるためには、美しさは大切な要件だ。しかし、その表現方法を「嫌いだ」、「自分の趣味に合わない」という人はいるだろう。もし、そう感じさせることができたなら、それは、相手に存在感を示したことでもあり、ひとつの成功でもある。
自分の好きな表現で「美しい」を追求すればいい。ただ、そのための原理原則はしっかりと身につけておかなくてはならない。
しかし、世の中には、汚い資料を何のためらいもなく、講演資料として平気で使う人がいる。確かに内容は正しいかもしれないが、講演とはエンターテイメントだということを理解していない。その自覚もなく、責任感もないから、汚いことなど気にもならないのだろう。それは、主催者に対しても、聴衆にとっても大変失礼なことだと思う。そういう意識だから、だいたい話も面白くないし、伝わらない。
さて、今日もこれから講演がある。今日の資料は、この要件は満たされているのだろうか。いやいや、冷や汗が出てきた (^^;;
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目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
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このブログでも紹介させて頂いたテクノロジーやビジネスに関する最新のトレンドをビジネスにどう結びつけてゆけば良いのかを考えてゆきます。そのための提案やビジネス戦略・新規事業開発などについても解説します。また、アジャイル開発でSIビジネスをリメイクした実践事例、クラウド時代のセキュリティとガバナンスについては、それぞれの現場の第一線で活躍される講師をお招きし、生々しくそのノウハウをご紹介頂く予定です。
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最新ITトレンドとビジネス戦略【2014年12月版】を公開しました
今回は解説文を大量に追加しました。プレゼンテーションの参考にしてください。また、新しいトレンドを踏まえ、プレゼンテーションを13ページ追加しています。無料にてご覧いだけます。
【2014年12月版】(209ページ)の更新内容は次の通りです。
- 「クラウド・コンピューティング」に解説文を追加しました
- 「仮想化とSDI」を「ITインフラと仮想化」に変更し、プレゼンテーションを大幅に追加しましたました。
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拙著「システムインテグレーション崩壊」が、「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞」にノミネーションされました。お読み頂きました皆さんに感謝致します。
「システムインテグレーション崩壊」
〜これからSIerはどう生き残ればいいか?
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