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これからのビジネスを支えるIoTとビッグデータ、その動きを妨げる我が国のビジネス環境

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「モノに値段をつけず、サービスに値段をつけて、モノを売る時代になった。」

昨夜行われた『次世代IT時代に向けた提言』セミナーで鈴木逸平氏から、こんな話を伺った。

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昨日の話を伺い、改めていまの私たちが大きな時代の節目にいるのだということを感じざるを得なかった。そのキーワードがIoTだ。

モノとネットがつながることは、なにもいまさら目新しい話しではない。むしろ、注目すべきは、IoTによって生みだされるデータがもたらす可能性がこれまでになく広がってきたことだろう。

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このチャートは、以前「コレ一枚でわかるIoTとビッグデータの関係」の記事でも紹介したが、生活やビジネス、社会などの「現実社会」をデータ化するために、モノがネットにつながろうとしている。ネットにつながるモノ数は、2020年には数百億(ガートナーやIDCは300億、Ciscoは500億と予測している)にもなると予測されている。

そこから生みだされるデータは、当然のことながら膨大なものであり、多くが非構造化データだ。増加の加速度もモノの数に比例して高まってゆく。まさに、ビッグデータは必然の時代を迎えようとしている。

「非構造化データは全データの8割を占め、その増加のスピードは構造化データの2倍、大半はモノ(IoT)から生みだされる」

そういう時代に向かいつつあるのだ。

しかし、データは集まっただけでは意味がない。それを活用するアナリティクスの存在が必須であり、そこからノウハウや知見を生みだす必要がある。そのノウハウや知見が、再びモノを制御すること、あるいは、人間の意志決定に際して、適切なアドバイスを提供することになる。

前者は、自動化や自律化による生産性や効率、快適や安全などの価値を生みだし、後者は、健康や安心、利便や満足などの価値を生みだす。

つまり、このような価値を提供するサービスが重要なのであって、それがビジネスの価値そのものだということになる。そこには次のようなビジネス・レイヤーが存在する。

  • モノとネットを繋ぐデバイスとIoT
  • そこから集まる膨大なデータ管理のためのデータベース技術やプラットフォーム
  • そのデータを活用するためのアナリティクス
  • これらを繋ぐネットワーク

これらを組み合わせたサービスが、価値を生みだす。そして、人はその価値に対価を払う。その価値を手に入れる手段としてモノが存在する。冒頭の意味するところは、そういう意味なのだろうと理解した。

しかし、一方で、まったくこれとは反対のアプローチがある。それが、GoogleやAppleだ。彼らは、末端のデバイスで圧倒的シェアを手に入れようとしている。例えば、Googleは、Android Wareで日常の行動や生活、Nestでホーム、Android Carで自動車を、というようにデータを生成する末端のデバイスを囲い込もうとしている。そこから集まるデータから、新たなビジネス価値を生みだそうとしている。

また、Appleは、まもなく出すと言われているウェアラブル・デバイスに様々な生体情報を手に入れることができるセンサーを組み込もうとしているようだ。また、Apple TVにホーム・データを収集する機能を組み入れようといううわさもある。さらにCarPlayは自動車からのデータを手に入れるための仕掛けだ。

このように、ビジネスや生活のデータを手に入れる末端のデバイスで圧倒的なシェア持つことで、データの発生源を押さえ、膨大なデータを収集し、そのデータを活用してさらなるビジネスのサイクルを回してゆこうというシナリオなのだろう。膨大なデータを集める仕組みを持てば、それが新たなビジネスを生みだす。それが彼らの狙いだという。

こうなるとデータそのものがビジネス価値の源泉となる。ハードウェアやソフトウエアは、それを手に入れ、あるいは、商品に仕立て上げる手段ということになるのだろう。大変大きなシナリオであり、数年ではない長期な視点を持った戦略であって、彼らは着実にこれを実行している。

翻って、我が国企業にこのような大きなシナリオと長期的視点をもって、ビジネスを描いている企業はどれほどあるのだろうか。

モノの機能や性能は、世界でも群を抜いているが、このような長期的視点で社会を捉え、イノベーションのイニシアティブをとろうというところは少ない。モノだけで勝負するという割り切りもある。しかし、それでは、大きなビジネスでイニシアティブを取ることは難しいだろう。

我が国のSIerやITベンダーにとっても、この大きな動きを見逃すべきではない。米国やヨーロッパでは、IoTに関連した様々なサービスが、ベンチャーや大手を問わず勃興し始めている。また、クラウド・サービス・プロバイダーや通信キャリア、データベース・ベンダーがIoTを睨んだサービスや技術の開発に余念がない。また、OSSもIoTを軸に新たな広がりを見せているという。

真剣に次のビジネスを考えた方が良い。もはや、従来型の受託開発はますます立ちゆかなくなるだろう。それは、人月単価積算型だからと言うことだけではなく、求められるテクノロジーやスキルが大きく変わるからだ。当然、収益構造にも変革を求められるだろう。そして、なによりも大きな問題は、SIerやITベンダーとビジネスの現場との距離の遠さだ。

IoTは、モノというビジネスや生活の現場に直結するものとITを結びつけるトレンドだ。米国に於いては、ここが直結している。つまり、ユーザー企業自身がシステム開発に直接関与し、経営者もまた、そのことに強い関心と戦略的価値を見出している。

残念ながら、我が国のITは、ユーザー企業に窓口はあっても、その実態はSIerが担っている場合も少なくない。経営者も言葉では関心を持っていると言うが、理解は低く、コスト意識が強い。

SIerは「人月を増やすこと」をゴールと考え、システムが使われる「現場における価値の拡大」と言ったエンドユーザーのゴールとは大きく乖離している。このような関係が続く限り、IoTがITビジネスの中核を占めることはないだろう。

「欧米と日本とのギャップがどんどん大きくなっている」

鈴木氏の、この言葉は、このような事情によるところが大きいのかもしれない。

いずれにしろ、IoTとビッグデータ、そこから広がる様々なビジネスの可能性について、多くの気付きを得る機会となった。鈴木氏に感謝したい。

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