朝を征する者は未来を征する
「ITトレンドの勉強って、どのようにすればいいのですか?」
昨日、某保険会社のシステム子会社で新入社員を相手に「ITの最新トレンド」について講義を行った。そのときに頂いた質問だ。
私は、朝の時間を自分のために作ることをお勧めした。
日々、仕事に追われ、残業も多いのがこの業界だ。自分の自由にできる時間は、朝しかない。この朝を活用するしかない。
1時間早く出社すると決めて、自分のリズムを作るというのはどうだろう。何をやるかを決めてかかる前に、まずは、そういう時間を強引に作ってしまうことだ。やることは後から考えればいい。
その時々で、関心も変われば、できることも変わる。だから、ムリして「何々をやるために」と決めてかからない方が良い。まずは、習慣として朝の時間を作ることだ。
私も20代の半ば頃からそんなことを続けている。当時はインターネットなどなかったので、本を読んだり、新聞を読んだり、資料を読んだりと、今思えば、落ち着いて勉強できる貴重な機会となっていた。毎週月曜日の朝は、さらに30分早く出社し、自主的に自分の一週間を振り返るレポートを作り、上司に提出していた時期もあった。
満員電車で通勤することが嫌だったことも理由だ。まだ座席が空いている早朝に電車に乗ろうという想いも、朝早く出勤することの大きなモチベーションになっていた。まあ、そういう風に自分に強引に理由を与えていたのかもしれない。いずれにしろ、目的より、カタチから作っていった訳だ。
深夜残業や徹夜も多かったが、それでもできる限り朝早く出社する努力を続けていた頃を懐かしく思う。それは、会社を辞めて自分で仕事を始めてからも習慣となっている。
自分にとって、この朝の時間がなければ、どうだっただろうと思うと、きっと勉強などしなかっただろう。もともと本を読むことや、文書を書くことが好きだったわけではない。むしろ苦手意識があった。しかし、無理矢理自分にそういう時間を与えてしまったことで、結局は、その時間を何とかするために、読むこと、書くことを始めたといってもいい。そうやって無理矢理作った朝の時間は、今では、自分の大切な宝物となっている。
今では、インターネットが情報収集に大いに貢献している。特にソーシャルメディアだ。様々な分野のプロ達が、自分にとって大切だと思う情報を紹介し、自らの考えを発信している。
「ソーシャルメディアなんかやっている暇なんかありませんよ。」
私と同年配の友人が、こんな言葉でうそぶいていた。私に言わせれば、忙しいからこそソーシャルメディアを使う。その方が、プロ達の関心事をいち早く知ることができ、大切な情報に早くたどりつけるではないか。よほどこちらの方が、情報を探す手間が省ける。
そうやって、学んだことを自分で発信することも情報収集には大いに役に立っている。ソーシャルメディアやブログで発信するためには、自分の考えを整理するために考察を深めなければならない。そして、それを文字にしようとすることで知識の定着にもなる。自分なりに文書や図表に書き起こしてみるのも良いだろう。何が幹で、何が枝葉か。自分がどこまで分かっていて、どこが分かっていないのか。そんなことが、はっきりと見えてくる。
発信するとは、蕩々と流れる情報の奔流に、自分なりの網をかけることではないかと思ってといる。フィルターと言ってもいい。そういうものを用意しなければ、大切な情報さえも流され、何も残らない。情報の洪水にただ翻弄されて時間をかけたわりには、自分の知識として残っていない。
社外の人たちとの勉強会やイベントに参加することも大切にしている。そういう場で、すすんで役割を引き受け、自らも発信するように心がけている。
発信すれば、情報は向こうからやってくる。あるいは、新しい人と人とのつながりが生まれる。自分にはない見識や知識を持つ人が、新しい情報源となってくれる。そういう人たちとソーシャルメディアでつながれば、ますます情報は集まってくる。
「まずは始めてみることです。理屈で考えても、きっと分からないと思いますよ。私のやり方が一番良いなんて申し上げるつもりはありませんが、まずきっかけを掴みたいのなら、私のお勧めするやり方で試してみてはどうです。自分で体験して、苦労して、失敗して、自分にふさわしいやり方を見つければいいんですよ。」
「朝を征する者は未来を征する、ですよ。5年10年経ったとき、この言葉の意味に気付くと思いますよ。」
そんな言葉で締めくくった。
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