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ソーシャルコマース(F-コマース)×ソーシャルビデオ、ラコステの事例

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最近、「ソーシャルコマースとソーシャルビデオのどちらから最初に取り組んだらいいですか?」という質問・相談をよく受ける。次に多いのが、どちらが効果がありますかといった類の質問・相談。確かに、どちらも導入を検討している企業からすれば悩ましい問題だろう。

ソーシャルコマースとソーシャルビデオ、最初に取り組むべきなのはどちらか。その答えは、当たり前の答えになってしまうが、目的によって異なるということ。ソーシャルコマースもソーシャルビデオも、顧客との良好な関係を長期的に築くことが究極の目的であることは変わらないが、そこに至るまでのプロセスや取組むべき課題が全く異なる。そもそも、ソーシャルコマースは、イーコマースと同じレベルで語られるべき事業領域の一つであると捉えるべきだし、ソーシャルビデオはソーシャルコマースやイーコマースを構成する一つのサービスに過ぎない。同じレベルで比較すること自体が、本来無理な話なのである。

組織化した顧客に対して、ディスカウントや特別セールなどのファンサービスを行って、より濃密なファンになってもらうことが目的であればソーシャルコマースを始めるべきだし、イーコマースサイトにおける顧客の滞在時間を増やしたり、コンバージョンレートを上げることが目的であればソーシャルビデオを始めるのが良いだろう。

効果についても同じことが言える。ソーシャルコマースは、ファンとより強い信頼関係を構築できるという効果をもたらしてくれるし、ソーシャルビデオはイーコマースサイトにおけるコンバージョンレートのアップという効果をもたらしてくれる。どちらを優先するかで、取り組むべき順番も自ずと決まってくるということだ。

ただ、一つだけはっきりしていることがある。それは、イーコマースサイトを運営している事業者にとって、ソーシャルコマースとソーシャルビデオは分けて考えることができない存在になっているということだ。と言うよりも、すでにソーシャルコマースにとって、ソーシャルビデオは欠かすことができない重要なコンテンツになりつつある。ソーシャルコマースビデオは、イーコマースビデオと並んで、ソーシャルビデオを構成する重要なビデオ配信サービスの一つであると考えるべきだろう

今回は、フェイスブックページとウェブサイトの中にソーシャルビデオを導入した、ソーシャルコマース×ソーシャルビデオの代表的な事例として、アパレルブランドのラコステを紹介したい。今後のイーコマースサイト、ソーシャルコマースサイト構築のヒントになりそうなコンテンツがたくさん用意されているので、必ず参考になるはずだ。

■ 5つのコンテンツをF-コマース・オン・イーコマースサイトで展開

まず、ラコステの場合、F-コマース・オン・イーコマースサイトのモデルを採用して、ソーシャルコマースとソーシャルビデオを導入しているのが特長である。フェイスブックショップは開設していないので、フェイスブック内で商品を購入することはできないが、その代わり、楽しいコンテンツが5つも用意されている。

※ F-コマース・オン・イーコマースサイトの詳細については以下の記事を参照。

  ⇒「F-コマース(f-commerce)に関するまとめ。F-コマースを実践するための3つの方法論」

ラコステのフェイスブックページには、以下のURLからアクセスできる。

※ ラコステのフェイスブックページ ⇒ http://www.facebook.com/Lacoste

左メニューに各コンテンツのリンクが用意されている。「Welcome」、「Croc Moods」、「Goodies」、「MyCROC」、「動画」の5つだ。順番にコンテンツを見て行きたい。

① Welcome

「Welcome」は、ラコステ公式ウェブサイトへの入口機能を果たしている。「MyCROC」、「VIDEO ON THE MONTA」、「LACOSTE LIVE」、「GOODIES」の4つ全てが、ラコステ公式ウェブサイトにリンクされている。そこからさらにイーコマースサイトへ移動し、商品を購入することが可能だ。

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② Croc Moods

「Croc Moods」は、アプリで提供されているコンテンツだ。その日の自分のムードを占うことができる、ゲーム感覚で楽しめるコンテンツになっている。

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③ Goodies

「Goodies」は、クールなスクリーンセーバーと壁紙がダウンロードできるコンテンツで、公式ウェブサイトからも同じスクリーンセーバーと壁紙のダウンロードが可能になっている。

④ MyCROC

「MyCROC」は、8種類の壁紙が作成できるコンテンツで、友人にシェアすることも可能になっている。

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⑤ 動画

「動画」は、ラコステが提供するソーシャルビデオが視聴できるコンテンツだ。現時点では、10本の非常にクオリティの高いソーシャルビデオが用意されている。同じソーシャルビデオが、あとで紹介するウェブサイトにも用意されている。

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以上が、ラコステがフェイスブックページで提供している5つのコンテンツだ。実際にアクセスしてもらえるとわかると思うが、こんなに楽しいフェイスブックページはちょっと珍しい。ファンを飽きさせない工夫がこれでもかと施された、フェイスブックページのお手本のような内容だと言っていいだろう。

■ 公式ウェブサイトで展開している「LACOSTE TV」

ラコステは、公式のウェブサイトでも「LACOSTE TV」というコンテンツ名でソーシャルビデオを展開している。こちらの「LACOSTE TV」は、フェイスブック以上の充実したソーシャルビデオが揃っている。絶対に視聴してもらいたいコンテンツだ。

※ LACOSTE TVのURL ⇒ http://www.lacoste.co.jp/#/lacostetv

この「LACOSTE TV」、過去のテレビコマーシャル、ファッションショー、イベント、往年の名選手、ブランドメッセージなど様々なカテゴリーのソーシャルビデオが楽しめる構成になっているのだが、全てのソーシャルビデオに統一したムードがある。恐らく、ラコステはこのソーシャルビデオを、ブランディング化という目的のために活用しているのではないだろうか。

イーコマースサイトの商品紹介ページに、ザッポスのようなプロダクトビデオを見つけることはできなかったが、これだけ統一したメッセージを発信することができれば、既存のビデオ資産を活用することでも十分効果は見込める。ありきたりのテレビコマーシャルの枠を超えたビデオコンテンツは、プロダクトビデオと並んで、これからのソーシャルビデオの中心となるコンテンツだ。そういう意味では、ソーシャルビデオの導入を検討している企業は是非参考にしてほしい。

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■ 今回のまとめ

ラコステのフェイスブックページは、今回紹介しきれなかったコンテンツが他にもまだたくさんある。たとえば、ラコステの新しいブランド「ラコステ・ライブ」のフェイスブックページとウェブサイトには是非アクセスしてもらいたい。

※ LACOSTE LIVEのフェイスブックページ ⇒ http://www.facebook.com/lacostelivejp

※ LACOSTE LIVEの公式ウェブサイト ⇒ http://www.lacostelivejapan.com/

今回、ラコステのフェイスブックページとウェブサイトを調べてみて思ったのだが、ソーシャルコマース(もちろんF-コマースも含む)とソーシャルビデオは、もはや切り離して考えることが難しくなってきている。顧客をファンにするために、どちらも非常に有用であるからだ。この二つをコラボさせることで、その効果が倍増することは間違いない。ソーシャルコマースを始めるならソーシャルビデオはコンテンツとして必須だし、ソーシャルビデオを用意するなら、配信する場所としてソーシャルコマースが必須になる。

但し、今回のラコステの事例が教えてくれているように、イーコマースサイトなくしてソーシャルコマースもソーシャルビデオも考えることはできない。あくまでも基本はイーコマースサイトにある。それは、決済までもが可能なフェイスブックショップを始めることになっても同じだ。

ソーシャルコマースもソーシャルビデオも、既存のイーコマースサイトを今まで以上の存在にすることが目的であって、ないがしろにすることが目的ではない。そこに、ソーシャルコマース×ソーシャルビデオの導入を成功に導くためのヒントが隠されているような気がしてならない。

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