オルタナティブ・ブログ > チャットでワークな日々 >

最近チャットツールが注目されています。話題に応じて複数の部屋をすぐに設定して社内や社外の人と適切なコミュニケーションを構築できるほか、タスク管理、大容量ファイルのやりとり、そして電話映話会議ができるタイプもあります。そんなツールを開発している会社での、チャットでワークする日々を皆様にご紹介します。

不動産業界を革新するシンポジウム「ハ会」始動 ユーザー目線で仕組みは変わる?

»
ユーザーの支持を集める会社を中心に

 業界メディアの記事にあるように、「ハ会」というプロジェクトが動き出した。どういったポジショニングでどのくらいの影響力があるのか、そのあたりを解説したい。

 まず、主要なメンバーはエンドユーザーの支持を集めている会社が中心だということだ。だからこそ、彼らの言動に注目が集まっている。

 提唱者の石井健氏は、株式会社ブルースタジオの執行役員。ブルースタジオは、中古のリノベーションという分野で先駆者の1人であり、住まいをリノベーションすることで新しい価値を創造する第一人者だ。

 そしてもう一人のメインメンバーである株式会社さくら事務所の長嶋修氏は、主にエンドユーザーのための不動産仲介エージェントの確立を目指して活動している。そのつながりで、ホームインスペクションなども推進。国交省や民主党から意見を求められることが多いことでも知られる。

 内山博文氏が常務を務める東京電力グループの株式会社リビタは、一棟丸ごとリノベーションで人気の物件を次々と開発。先日は印刷工場跡地をリノベーションして話題を呼んだ。

 大島芳彦氏は前出の石井氏と同じ株式会社ブルースタジオだが、賃貸物件の開発に力を入れており、築60年の平屋の長屋をみごと再生した大森ロッヂも、その作品のひとつだ。

 またリクルート住宅総研より所長の矢部智仁氏、主任研究員の島原万丈氏が参加している。住宅情報誌の老舗で、弊社を含めた住宅ポータルの一角であり、ユーザーの支持がバックにあると言える。

 樽宏影氏は、リノベーション済み物件の取り扱い量で大手のインテリックスグループだ。

 そのほかのかたがたを含め、新聞や雑誌への登場頻度の多い人々が集ったというインパクトが、ひとつの話題となっている。


NEC_0452.JPGのサムネール画像


話題は多岐に......


 19時~22時半までという長丁場のシンポジウムでは、業界としての仕組みの革新、人の意識の変革について、多岐にわたった話題が提出された。全4回の1回目である今回は、中古市場が話題。以下大まかにお伝えする。

・市場の変化

 新築住宅の着工戸数が激減し、水準は戻ることはない。既に住宅は世帯数を数百万戸上回っており、家は余っている。中古住宅の価値基準をきちんと設け、価値を認め、新しいニーズにあわせて改造することで、中古住宅の利用や流通を活性化しなければならない時期に来ている。そのために「いえかるて」などさまざまな施策が始まっている。

・物件囲い込みと両手

 主に首都圏の、独立系不動産関連会社が集まったこともあり、大手などの物件囲い込みが、両手取引によって行われており、健全な流通が阻害されていると主張。「両手」とは、売主と買主の双方の代理となり、双方から手数料をもらう行為を指す。

 両手については、地方だと両手をしなければビジネスにならない、結果としてユーザーにより良い物件が迅速に紹介されるならば両手も悪くない、などパネラーによる意見の違いも出て、問題提起をしたのみで結論に至らず。通常の仲介会社の場合、両手ねらいがデフォルト。会社によっては両手契約にできなかった場合始末書を書かされる(つまり売上が半減するから)こともあるといった話が出された。

 2009年の民主党政策集に掲載された原則両手禁止が業界団体の要求で消された話が披露され、少し盛り上がった。

・プロフェッショナルの欠如

 欧米を例にとり、インスペクターやエスクローについて、日本でも導入可能だろうという話題が出る。

・物理的耐久性

 中古流通時にリフォームやリノベーションしやすい新築になるべきだ、という話が建築家から出された。

・メディア、媒体の問題

 メディア・媒体の新築至上主義が、状況を悪化させたのではないか、という批判も出された。売主が手数料なしで掲載できる(=より多くの物件情報が流通し、結果として買主の自由度が高まる)サイトがあるといいのでは、という提言も行われた。

・各党の参議院選挙向けマニフェストさみしい件

 民主党はたった1行しか住宅関連の話題がない。住宅・不動産について多く語っているのは、野党のほうだ。



NEC_0454.JPG                   日本型とアメリカ型、イギリス型の売買取引時の違い


意気込みは良し


 意気込みは良いし、エンドユーザーのためになる業界の改革の提言・実行は非常に期待したいところだが、今回のシンポジウムだけで言えば、議事が散漫であり、個々の話題についての議論が深まらなかったように思う。

 討論のレベル感も、思い切って深いレベルに設定してしまってもよかったのではと思う。本質をついた意見であればいいが、○○とは、のような基本的な質問を受けて答えていては、議論は深まりにくいように思う。また、せっかくTwitterのハッシュタグを公開し、当日はUstreamしていたので、討論番組として有名な『朝まで生テレビ』のように書き込まれた意見を取りまとめる時間をしっかりとっても良かったのではないだろうか。

 次回以降の予定は以下のとおり。話題の切り口的にも、また有料なこともあり、恐らくほとんどの来場者は業界関係者だったと思われる。ありがたいことにこのブログを読んでいただいている業界関係のかたで、まだハ会をご存じないようであれば、是非1度はサイトを見に行くことをおすすめする。

 直近でルールが変わってしまう法案や業界団体のルールをウオッチすることがなにより大切ではあるが、こういった自主的な勉強会から感じ取れる空気感や方向性が、さまざまなアクションとなって表れていき、いつの間にかchange the worldしていくものではないだろうか。

1回 終了   中古市場「VIVA・中古」
2回 7月27日 新築市場「新築バンザイ!?」
3回 8月下旬 賃貸市場「賃貸上等w」
4回 9月下旬 バイバイ20世紀なう!「人・街・住まい・都市」」



ハ会

・ハ会 Twitterハッシュタグ #hakai2010

ハ会 Ustream









Comment(0)