中古住宅が怖いって、みなさん知ってますよね? {1}これまでよくある話
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50万支払った時の気持ちはまだ覚えている
実は、以前家を買った際に苦い思い出がある。中古の一戸建て物件を、いわゆる仲介大手経由で購入したのだが(もちろんローンで!)、そこで事件は起きた。
住み始めて2ヵ月ほど経とうかというある日、風呂釜がゴゴゴー~! と音と立て始めた
のだ。お湯はちょろちょろとしか出なくなったが、なによりも怖かったのは、爆発などしないだろうか? と恐れたほどの音。
住宅の基本機能である風呂に入れないというのは痛い。部屋自体は壁紙が張り替えられているなどリフォームした状態だったのだが、水回りの設備はどうやら交換されていなかったっぽいのだ。と事件が起きてから思い越してもしょうがない。さて、どうしよう。銭湯も遠いし。
そこでふと思い出したのが、何か家に保証がついていたということ。当時はシロウトだったので(笑)、その程度の発想しかなかったわけだが、だからこそ早速契約した(仲介してくれたってことですね)不動産会社の担当に連絡を入れてみた。
もう少し早く連絡いただいていたら......
不動産会社の担当に話をしたところ、早速確認してくれたのは風呂釜ではなく契約内容。で、「申し訳ございません、保証期間は引き渡し後50日以内とありますので......、もう少し早く連絡いただいていたら......」という返事が来た。
いやー、地雷を踏んでしまった気分だ......。
結局どうしたかというと、東京ガスの店に連絡し、工事スタッフは迅速に到着し、「交換が必要ですね、50万円ほど......」ということになり、そんなに高くてはいやだなどと抗議できる状況でもなく、唯々諾々とその場で工事を依頼し、その日中に工事は完了し、その日の夜から快適な風呂生活を送ることができている。今に至るまでずっと。
で、これで納得する人もいるのかもしれないが、微妙なのだ、どう考えても。
その中古住宅、保証義務の拘束力はないんですよ
で、その後の私の微妙な気分は置いておき、時代は変わる。
2009年に瑕疵担保履行法が施行され、引き渡し後10年以内に、構造耐力上の主要な部分や、雨水の侵入を防止する部分について、本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わっていないことが分かった場合、売主や工務店に対して買主や注文者が補修を要求できる制度が整った。
瑕疵(かし)という言葉は多くの人が耳慣れないと思うが、住宅の場合は上記のようなことを指している。
この法律は罰則規定がある強力なタイプのため、相当なインパクトだったようだ。とはいえこれは新築住宅の話。中古住宅については、現状でも法的には不十分な状態が続いている。
売主がプロ、つまり宅建事業者の場合、瑕疵が見つかった際の1年以内の請求に対し、補修などの責任を2年以上負うことになっており、これは宅地建物取引業法や民法に規定されている。違反すれば、免許が更新できず業務がしにくくなるという拘束力があるわけだ。
だが実態は違う。売りに出る中古住宅の8割以上は、売主が個人と言われている。つまり市民同士の中古住宅の売買というカタチが一般的。そして売主が個人の場合、あとで見つかった不具合を保証する責任は、法的にはどこにもないという状態なのだ。
いくらなんでもこれでは中古住宅を買う人がいなくなるので、例えば大手仲介会社などを挟んで売買契約をすると、売主の保証義務期間を3か月に設定した契約を結ぶ場合が多いようだ。
この微妙な状態を改善するにはどうしたらいいのか? その話はまた次回。先日発表したこちらの調査報告を解説しながらで。
※ しばらく休眠しておりましたが、再開しようかなと思います。
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