2013最新リノベーション事情(1)HOME'Sデータからみるリノベーションの効果
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リノベーションの「期待」値
2013年4月現在で、アベノミクス効果は期待値であって、実質的に賃金が上がるのはこれからだ。とはいえ、最新の金融経済学によると「期待」に働きかけることが経済を実際に動かす重要な要素らしい。こんなニュースもある。経済政策もTPPもこれからだが期待値で円安になった。円安になれば海外で物が売れるようになる。「期待」が実際に経済を動かしているのは明らかだ。
そして今、住宅・不動産業界で「期待」が盛り上がっているのが、「リノベーション」だ。4、5年前から徐々に広がってきたリノベーション。異次元の金融緩和を開始してバズーカ砲に例えられた日本銀行の黒田総裁のようなインパクトが、2012年11月1日に放送されたテレビ東京系列の番組「カンブリア宮殿」だ。
カンブリア宮殿という番組のプレミアム性は日本でビジネスをしている企業人には十分に理解できると思うが、その番組に「リノベーション」を生業とする会社が登場したインパクトは大きい。リノベーションが住宅・不動産業界においてメジャーな選択肢に浮上した瞬間だったと言える。
このうねりだした「期待」こそが、おそらく10年後には住宅・不動産業界の地図を一変させ、日本人の住まいに対する考え方を変えるのではないだろうか。日本人の住まいリテラシーも、気が付けば向上しているような気がする。
リノベーションとつけば何でもいいのか?
こちらのグラフは、去年のリノベーションEXPO JAPAN 2012にて、私が講演させていただいたときの資料だ。住宅・不動産ポータルのHOME'Sでの、掲載物件の統計データと、問合せが出た物件の統計データを比較したものになる。賃貸物件と中古売買物件のデータだが、どちらもある種の同じ状況を示している。
HOME'S売買仲介物件データ2012年9月 Copyright(C)2012 NEXT Co.,Ltd. All Rights Reserved.
HOME'S賃貸仲介物件データ2012年9月 Copyright(C)2012 NEXT Co.,Ltd. All Rights Reserved.
データ抽出時では特にリノベーションというメニューをサイトのトップに掲げているわけではなかったし、検索軸としてリノベーションという検索オプションは用意していなかった。この状態においては、物件詳細ページまで到達して初めて「リノベーション済み物件」だと判別する状態となっている。その中でこれほど問合せ物件中にリノベーション済み物件含有率が高いということは、リノベーションというキーワードの認知がエンドユーザーには十分進んでおり、なおかつ良質感をイメージさせるキーワードとして、問合せというアクションに対して有効に作用していると言える。
そろそろなにがしかの基準を国土交通省で取りまとめてもらうというのも1つの有り方だと思っている。基準がないと統計データの意味が特殊になってしまうのだ。わかりやすく言うと、リノベーションという行為に物理的基準がないため、「なんちゃってリノベーション」物件でも、リノベーションと書いてなんら問題がない状態なのだ。単に壁紙を張り替えただけのリフォームとも言えない物件が「リノベーション物件」として掲載されていたとしても確認の術すらない。
だがこの統計データは重要なことを語りかけているのは間違いない。つまり「リノベーション」とラベルがつけられた物件はそれだけで問合せが出やすく、リノベーションという言葉が独り歩きして魅力をまき散らし始めているのだ、という事実だ。
去年このデータをお見せして説明していた時には気が付かなかったが、安倍政権になって最新の経済学と実践において「期待」が重要だと知らされたことで、なるほど「リノベーション」はすでに「期待」され、実際に住宅・不動産市場を動かし始めているのだと、気づいたわけだ。
次回はそんなリノベーションが起こすべくして起こした進化の過程を紐解きたい。
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・場所:東京ビッグサイト 2013年5月24日(金)~26日(日)
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