チャットワークはチャットツールじゃない?
情報コミュニケーションツールを、改めて見つめ直す理由
チャットワークはビジネスコミュニケーションツールだと、前回の記事で申し上げた。そこでまずは、ビジネス用のコミュニケーションツールの中の位置付けを考えてみたい。
現代のビジネス用コミュニケーションツールの一覧と分析については、長谷川 玲氏が2005年〜2006年に@ITで書いた記事「企業コミュニケーションとツール活用法(1) 企業コミュニケーションにおける本当の課題」で、企業内コミュニケーションツールについてわかりやすく分析されていて、しかもあまり色あせていない内容となっているので、是非皆さんも読んでいただきたい。
この記事では下記の重要な問題提起がなされている。
・ツールを全社導入する必要は本当にあるのか?
・コミュニケーションを活性化するとどんないいことがあるのか?
・そもそも何が課題なのか、どうすれば根本的に解決できるのか?
・コミュニケーションが不足していたら何が問題なのか、解決したらどうなると思うか?
つまり、自分たちにきちんと課題意識があるのか、解決したらどうなると良いのか、それに合わせたツールの種類、機能、使いやすさ、コスト感を考えた上で選んでいるか、という導入の目的が明確かどうかということだ。
とは言っても急には思いつかない人も多いだろう。長谷川氏の連載その2では、そこを上手に説明されている。
軸は「1対1」か「N対N」か、そして「同期」か「非同期」か
既存のコミュニケーションツールの特性、メリット、デメリットがここでは4象限に分類して解説されている。軸は、「1対1」か「N対N」か、そして「同期」か「非同期」か。
「企業コミュニケーションとツール活用法(2) 各種コミュニケーション・ツールの強みと弱み」の記事でデメリットのページを読んでいただくと、現代でもある解決したい問題、リスクに晒されている環境、などが思い浮かぶのではないだろうか。そう、ツールが今でも使われている以上、メリットとデメリットは、今でも存在していて、仕事の効率化やリスクが仕事環境には相変わらず混在しているということだ。
このメリット・デメリットを読めば、例えば新たなコミュニケーションツール導入の目的が自然と具体的になるはずだ。
ではこの10年前の記事を、今どう読み解くか?
そうこれらのコミュニケーションツールは必要があって当時プロットされており、なおかつ2015年の今に至っても、使用されているツールだというのが誰でも認識いただけるだろう。
メールも電話も、テレビ会議もインスタントメッセンジャーも、過去の遺物とはなっていないし、2005年には存在せず、その後登場したツールも多い。そして、既存のツールと同様の機能を複数兼ね備えて複合化したタイプが登場してきている。チャットワークもその一つだ。
コミュニケーション機能がまとまっているのがチャットワーク
記事に掲載されているコミュニケーションツールの4象限で忘れてはいけないポイントは、どれも重要だしこのどれかが欠けている業務環境はなかなか考えにくい、ということだ。
さてここで、チャットワークの画面を見ていただきたい。
説明は簡単で、前出の4象限の機能がすべてまとまっているのがチャットワークというクラウド型コミュニケーションサービスということになる。
「1対1」で「同期」なら、昔ながらのチャットもできるし、1対1で話題ごとにチャットを分けてもいい。音声会話、TV電話もできる。
「1対1」で「非同期」なら、チャットに書き込んでおけば、相手が都合の良い時に見る。またチャットを分けていれば、話題ごとに過去にもさかのぼれる。
「N対N」で「同期」なら、チャットごとに情報に接するメンバーを調整できるし、音声会議、TV電話会議もできる。
「N対N」で「非同期」なら、チャットに書き込んでおけばいいし、後から共有したくなった人が登場しても、グループに追加すれば、そのグループで過去書き込まれたものを読むことができ、情報に追いつきやすくなる。
4象限の話だけではない。
チャット上では引用機能とTo機能で適切な相手(複数可)に適切な話題をすることができ、既読機能を搭載しないことで同期しないと失礼とされがちなLINEのようなメッセンジャー機能のデメリットを外している。
さらには、タスク情報やファイルは自動でストックして話題グループごとに自然に格納されるので、簡易なストックとしても機能する。フローとして流したくない重要なファイルは右上にリンクとして留め置くことができる。
もちろんいいことづくめではないが、コミュニケーションサービスがこのように1つにまとまっているのって、便利じゃないすか? ということだ。
だから、ビジネスコミュニケーションツールの話なのでちょっと地味だけれど、「革命」って言いたいなと、思うわけだ。それではまた次回をお楽しみに。