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最近チャットツールが注目されています。話題に応じて複数の部屋をすぐに設定して社内や社外の人と適切なコミュニケーションを構築できるほか、タスク管理、大容量ファイルのやりとり、そして電話映話会議ができるタイプもあります。そんなツールを開発している会社での、チャットでワークする日々を皆様にご紹介します。

中古住宅が怖いって、みなさん知ってますよね? {2}怖くなくす方法

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中古住宅の瑕疵(かし)保険制度、できたんです

人口が減少して住宅が余っていく中で、新築より比較的にコストが低く、駅近など立地に魅力のある物件を探しやすい中古住宅が見直されてきたのは、まさに時代の流れだろう。

まだまだ新築住宅にじゃぶじゃぶとしたローン減税など景気浮揚策が盛り込まれてはいるものの、国の政策も大きくは新築から中古へ、と変化を見せている。その中でも目玉政策が「既存住宅瑕疵保険制度」というわけだ。

簡単な言い方をすると、引き渡し後5年以内に、構造耐力上の主要な部分や、雨水の侵入を防止する部分について、本来あるべき機能・品質・性能・状態が備わっていないことが分かった場合、個人間売買タイプでは検査機関に、宅建業者販売タイプでは不動産会社に補修を要求できる制度だ。

残念ながら任意制度ではあるが、物件選びの際に瑕疵保険はついてますか? と聞いたりして比較検討したい、大切な要素と言える。耐震構造や雨漏りだけではなく、保険会社によっては、給排水管や電気設備を対象にするタイプもある。保証してもらえる住宅も保険会社によって異なり、築15年以内だったり、新耐震設計基準適合が確認できる住宅だったりする。

弊社で先日調べたところpdfはこちら)、3年以内の中古住宅購入者の20%(図11)、中古住宅購入検討者の25%が知っている(図33)そうだ。意外と言っては失礼だが認知が拡大しているようだ。


保険を設定する際には検査

ただし、保険を適用する際には当然検査が入る。そこで住宅の検査について状況をおさらいしよう。

中古住宅を売買する際に建物を検査する、ということが普及し始めたのは実はつい最近のことだ(pdfはこちら)。3年以内の中古住宅購入者の20.9%(図7)、中古住宅購入検討者の26%が知っている(図29)そうだ。

買主側に立って中古住宅の検査サービスを行う会社は、日本では10年以上前に株式会社さくら事務所が住宅診断として先鞭をつけ、その後徐々に拡大してきている。内閣府認証NPO法人日本インスペクターズ協会をはじめ複数の団体が住宅を診断できる資格の普及活動を開始している。

この建物検査、実は特に決まった基準はない(瑕疵保険を適用させるための基準は決まっている)。目視確認だけでなく、検査機によってより正確な診断もできる。また、状態の数値確認だけではなく、あと何年もちそうか? どのくらいの年数でどのようにメンテナンスするべきか? などアドバイスをしてくれる会社もあるようだ。

もともと住宅はプロが扱うもので、買主も売主もアテンドされるがままになっていたきらいもあったかと思う。かつては自分もそうだ。情報が少なかったのだから。だが今はちょっと調べれば、いろいろなことが分かる。総合的な判断はしにくいが、ある程度プロに質問できるくらいのことは、ネットにころがっている時代になった。

建物を検査してくれる会社、中古住宅を買う際に必ず検査がセットになっていたり、既に検査済みにしてくれている住宅も出てきたりしており、中古住宅を購入する際に、検査という要素や保険という要素が当たり前の時代が、すぐ目の前に来ていると言えるだろう。

3年以内の中古住宅購入者の中で建物検査実施者の76.9%が「また実施すると思う」と回答しており(図26)、先駆者と言っていい人たちの満足度はおおむね高いようだ。


過渡期の今だからこそ、しっかり勉強を

もちろん、今は過渡期。半数以上の人は、保険も検査も知らないし、検査しましょうか? などとアドバイスを受けることもない(pdfはこちら 図15)。ごくたまに先進的な取り組みをしている不動産仲介会社に当たると、検査済みやしっかりとした瑕疵保険制度に入っていたりするという状況だ。

国土交通省では、ホームインスペクションについてのガイドラインをまさに策定中だ(ちなみに「住宅診断」「ホームインスペクション」「建物検査」「建物調査」「住宅診察」など、用語が混在しているのが現状だ)。2013年の4月には案が発表され、5月にパブリックコメント、そして6月には正式発表されるという。

事前検査済みで住宅の状態が分かっていたほうがいい、という意見が44.8%、売主の負担で検査したいが29.3%、買主負担で検査したいが21.0%だった。微妙に意見が分かれている(図43)。

どの程度の安心に対してどういった検査をするべきなのか、どういったことに気を付けたらいいか、誰の負担で検査するべきなのか、社会としての知見の蓄積がまだまだ必要なのだろう。

ビジネス的な観点から言えばここがまさしく「不」なわけで、これを解消できる商品・サービスにはチャンスがあるのではないだろうか。

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