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我が国は現在、閉塞感が漂っているとよく言われていますが、実は、よく観察すると、新しいビジネスチャンスがあふれかえっています。それを見つけて、成功させるコツとヒントをご紹介します。

経済格差はどこまで許容できるのか?

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(イラスト:Tara)

この世の中では、幸か不幸か同じく1年働いたとしても、その労働に対する対価に違いがあります。
ハードな仕事は給料が高く、比較的楽な仕事は給料が安いという程度の話であれば皆納得するでしょうが、実際には驚くべき経済格差が存在します。

まず、最初に収入格差ですが、これを世界的に見るとあまりにも違いすぎて、ちょっと比較検証が出来ません。給料が低いとされる南スーダンでは年収の平均が約3000ドル、その一方、世界中には年収1億ドルを超える人物がゴロゴロいます。とりあえず計算すれば、ざっと数万倍の格差となります。これらはあくまでも年収であって、所有資産でみると、かたや所有資産0ドル、一方、世界中には数百億~数千億ドルの資産を持つ富豪がたくさんいます。
同じホモ・サピエンスが1年働いて、ここまで経済格差があっていいのか? という疑問は我々人類がさらにより良き社会を作るというのであれば、どうしても考えなければならない問題点です。

そこでまずは、我が国をサンプルに考えてゆくことにします。
日本における最低の年収を、250万円と仮定します。時給1100円×8時間x25日×12か月で264万円なので、まあまあ妥当なところでしょう。一方、日本で最も給料が高いと言われているトヨタの社長で7億円です。ざっと280倍となります。これならば、日本は世界的格差よりは緩やかな社会を形作っていると言えなくもありません。とはいえ、280倍はただ事ではありません。例えば毎日スーパーのレジの仕事をしている方と、大きなオフィスで経営判断の頭脳労働している方と給料の差がそこまであっていいのでしょうか? もし、この収入差を多くの人々が納得しているのであれば問題ないのですが、なぜそこまで収入が違うのか? という疑問が渦巻いているのであれば、その社会は分断を生み不安定となります。
しかし、同時に収入格差というものは自由社会においては必要なものです。頑張った者は高い収入を得られ贅沢をする事が出来るが、それほど頑張らなかった人にはそれなりの収入しか得られないということにしないと社会の活力が生まれません。

ここにジニ係数という指数があります。ジニ係数とは、所得や資産の不平等を数値化したもので、0ならば完全平等(全員が同じ所得・同じ所有資産)、1ならば完全不平等(ひとりがすべてを所有)とするものです。具体的に国別にみると、
・北欧諸国:0.25~0.30(平等)
・日本:0.33~0.37(やや平等)
・アメリカ:0.41~0.49(不平等)
・その他極端な国:0.6超(極端な不平等)
といわれています。

多くの経済学者は、ジニ係数の理想値は0.25~0.3あたりが理想値であり、この数値であれば社会的安定を生むと主張しています。
また、実際にどれくらいの所得差になるかというと、北欧諸国では、<上位10%の平均>と<下位10%の平均>の収入差は3~5倍と言われています。日本はざっくり5倍~10倍、アメリカは12.6倍と言われています。

これらの結果より、まあ10倍くらいの収入差であれば、日本において容易に許容されるところだと思われます。前にも述べたように最低年収が250万円とすると、頑張った人には2500万円ということになります。また、意欲のある人にとってはちょうどよい努力目標ともなるでしょう。
しかし、現実は、極端に給料が高い人物がいるため、先に書いたように280倍の収入格差となっています。7億円の給料といえば、ちょっとやそっとの努力で貰える給料ではありません。もちろん、ご本人も努力されているのでしょうが、本人の能力に関係なく、なんらかの幸運と巡り合わせがないと獲得できない年収です。

果たして日本はこれでいいのか、はたまた数万倍にも及ぶ世界的な経済格差はこのままでいいのか、少しづつでもいいので考えてゆかなければならない課題といえるでしょう。

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