なぜスポーツ選手は愛されるのか?~熱狂の裏にある人間の本能

不思議なものでスポーツ選手は無条件で愛されるところがあります。
それも報酬を対象としないアマチュア選手ならともかく、
驚くような大金を稼ぐビジネススポーツマンも同様に愛されています。
しかめっ面のニュースキャスターも、
スポーツの話題になればなぜかニコニコしています。
世の中には、たくさんの仕事がありますが、どれこれも貴賤はないはずです。
では、なぜスポーツ選手だけ「優遇」されるのでしょうか?
今回はその謎を解いてみたいと思います。
とりあえずこの理由を4つばかり考えてみました。
1. 「努力」と「結果」の因果関係が純粋である
ビジネスや政治の世界では、実力があっても「コネ」や「運」、
あるいは「根回し」で結果が変わることが多々あります。
しかし、スポーツは極めて残酷なほどに数値と結果が直結します。
大金を稼ぐ選手であっても、
その背景には「他人が寝ている間にバットを振った」という、
誰もが否定できない純粋な努力の蓄積が見えます。
その「純粋さ」への敬意が、金銭的な生々しさを浄化してしまうのでしょう。
2. 「代理戦争」としてのカタルシス
私たちは日常、上司に理不尽に怒られたり、社会のシステムに翻弄されたりして、
自分ではどうにもできない無力感を感じることがあります。
スポーツ選手は、そんな私たちの代わりに、身体一つで強大な敵に立ち向かい、
勝利という明確な答えを出してくれます。
彼らの勝利は「自分たちのコミュニティ(国や街)の勝利」として共有されやすく、
日常の閉塞感を打ち破ってくれるヒーローとして投影されるのです。
3. 「筋書きのないドラマ」の共有体験
ニュースで流れる情報の多くは、
予測可能な不祥事や、複雑すぎて出口の見えない議論です。
一方で、スポーツはどれだけ緻密にシミュレーションしても、
最後は「一瞬の奇跡」や「まさかの逆転」が起こります。
このライブ感と予測不能な感動を大勢で共有することは、
現代社会において数少ない「理屈抜きの連帯感」を生むツールになっています。
4. 感情を露わにすることが許される聖域
ビジネスの世界では感情を殺すことが「プロ」とされますが、
スポーツでは泣き、叫び、喜ぶことが正解とされます。
普段、感情を抑えて生きている視聴者(やキャスター)にとって、
感情を爆発させる選手たちの姿は、
抑圧された自己の解放を促す鏡のような役割を果たしているのかもしれません。
以上でだいたい説明が出来たかと思いますが、しかしこれだけじゃあ、
スポーツを観戦する人々の善意に寄りかかっているような気がします。
そこで、もっと本能的なエゴイスティックに近い理由を掘り下げてみましょう。
こちらも4つ考えてみました。
1. 「圧倒的な種」への帰属本能
人間には、自分より遥かに優れた個体に付き従いたい、
あるいはその「強さ」を共有したいという本能的な欲求があります。
トップアスリートを応援するのは、
彼らの勝利を「自分の群れの勝利」と思い込むことで、
「自分自身が有能になったかのような錯覚(自己拡大)」
を手っ取り早く得られるからです。
これは一種の「精神的なドーピング」のようなもので、
応援している側が一方的にエネルギーを吸い取っている側面もあります。
2. 「代理の残酷さ」への期待
私たちは表向き「感動」を口にしますが、
心の底では「人間が限界を超えて壊れる瞬間」や
「究極の緊張感」を安全な場所から眺めたいという、野次馬的な欲望を持っています。
大金を稼ぐ選手は、その金額に見合うだけの「心身の削り合い」を強制されます。
私たちが彼らに熱狂するのは、彼らが日常では味わえないような
"極限のヒリヒリ感"を代わりに引き受けて、
目の前で晒してくれる
「生贄(いけにえ)的な価値」を感じているからかもしれません。
3. 共通言語としての「記号」
ニュースキャスターがニコニコするのは、
スポーツが「誰を傷つけることもなく、最大多数が共有できる記号」
だからという極めて事務的な側面もあります。
政治や宗教の話は誰かの地雷を踏みますが、
スポーツ(特にスター選手)の話題は、
とりあえず振っておけば場が持つ安全トピックスです。
愛しているというよりは、視聴率も稼げる「便利な道具」として
重宝されているに過ぎない、という冷めた見方もできます。
4. 敗北への安心感
どれほど超人的な選手であっても、必ずいつか負け、衰え、引退します。
完璧に見える大富豪のアスリートが、たった一つのミスでうなだれる姿を見る。
そこには、憧れと同時に、「結局、彼らも同じ人間なんだ」
という残酷な安堵感があります。
この「引きずり下ろされる瞬間」までを含めた
エンターテインメントとして消費しているのかもしれません。
いかがだったでしょうか?
スポーツ選手が愛されるのも、
それなりに理由があるということがお判り頂けたでしょうか。
おっと、今日は大谷選手はホームラン打ったかな? 調べてみよっと。
なんだかんだいいながら、
スポーツ選手を応援している私がここにいます(笑)。