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映画「マッド・マウス ミッキーとミニー」で考えるパブリックドメイン

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とうとうと言うべきかついにと言うべきか、ディズニーが誇るキャラクター「ミッキーマウス」の著作権が、アメリカにおいても2023年12月31日を持って切れパブリックドメインとなりました。その結果、商標権はディズニーが保持しているものの「ミッキーマウス」を題号に含んだ作品の販売は商標権の侵害にはあたらず自由となりました。
そこで、次々とミッキーマウスを題したゲームや作品が作成されるようになり、日本でもホラー映画「マッド・マウス ミッキーとミニー」が2025年3月7日に封切されます。
この映画は予告編を見てわかるように、ミッキーマウスが理由もなく次々に人を殺してゆくというなんとも悍ましいストーリーです。そして、ミッキーマウスの被り物は非常に安っぽく典型的なB級映画となっています。おそらく原作者ウォルトディズニーが見たら、激怒して卒倒しそうな内容です。

これと同じように、「熊のプーさん」もパブリックドメインとなり、
数年前には映画「プー あくまのくまさん」が制作公開されました。こちらはさらに原作者のアラン・アレクサンダー・ミルンの気分を逆なでするような映画で、原作に登場した少年がプーさんと遊んでいた森に大人になって訪ねたところ、プーさんが恐ろしい殺人鬼になっていたというものです。こちらも原作者が見たら、激怒して映画館のスクリーンにはちみつを投げつけたかも判りません。

まあ、私の意見を率直に言えば、これらの映画のように良心的なキャラクターが実は180度違ってとんでもない奴だったという話は、企画としては面白いですが、これらはアンダーグラウンドの題材としてこっそり楽しむのが粋であって、おおっぴらに表に出てきたらいかがなものだろうと思います。
とはいえ、いつまでも原作者の死後、その著作権を遺族が持ち続けるというのもおかしいな話だと考えます。著作物はパブリックドメイン化されることにより、生き続けるべき作品は次の世代の人々によって生かされてゆくでしょう。そうでない作品は忘れ去られてゆく、それでいいのだと思います。

そうなると、パブリックドメイン化された作品やキャラクターをどう使うのかは制作者の「良心」に委ねられます。原作者の意図を引き継ぐのか、それともまったく違ったものとして再構成するのか......。私としては、少なくとも原作に対して敬意を持つべきだと思います。それが、先人の創作の苦労に対するせめてもの礼儀ではないでしょうか。

おそらくこれからも、パブリックドメイン化された著作物の作品がどんどん作られてゆくことでしょう。原作を超えるような良い作品に巡り合いたいものですね。

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