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ケンブリッジ語録#39 進捗定例会がプロジェクトを殺す

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僕が勤めるコンサルティング会社、ケンブリッジには、厳しいプロジェクトの現場で生まれてきた「語録」がある。
今回はこれ。

進捗定例会がプロジェクトを殺す

語録画像.jpg

僕らは変革プロジェクトをお手伝いするのが本業だ。
・全社のIT中期計画策定
・基幹システム刷新
・業務改革
・新規事業立ち上げ
など変化を起こすためのプロジェクトを支援するのだが、プロジェクトにはほぼ必ず「進捗定例会」なるものがくっついてくる。

読んで字のごとく、進捗を確認する週1回程度の定期的な会である。

大きな変革プロジェクトでは、複数のチームに分かれて活動するので、各チームの状況を把握するために定例会が必要になる。

各チームの進み具合はどうか、問題はないかを確認するための会であり、必要性はわかる。だがこの進捗会議の進め方を間違うとプロジェクトに致命傷を与えることもある。

まさに、進捗会議がプロジェクトを殺すのである。

よくある定例会は「報告の場」

よくある定例会はこんな感じだ。

①各チームが報告資料を用意する。
 資料には大抵こんなことが書かれている。
 ・今週やったこと
 ・進捗状況
 ・課題
 ・相談したいこと
②これをチームごとに発表する。
③発表を聞いて、プロジェクトマネージャーやPMOチームが質問する。
 「遅れをどう取り戻すの?」
 「なんで遅れてんの?」
 「管理できてんの?」
 「もし遅れたままだったらどうするの?」
 「3日後にまた状況報告して」
 なんて。
④他のチームのリーダーは内職しながら聞いている。
 関係あるような・・・、無いような・・・、という感じなので、暇なのだ。

各チーム10分で、6チームあったら発表だけで1時間。ちょっと議論になるとあっと言う間に2時間コース。
しかも発表は、資料を読み上げるだけ。聞いていてもとても退屈。さらに、各チームは資料を準備するのに結構な時間を掛けている。

そして、定例会に出るのは基本的にチームリーダークラス。もっとも貴重な戦力であるリーダーが毎週4~5時間も、あまり意味があると思えない定例会に縛り付けられるのである・・・。定例会には「管理するぞ!」の雰囲気がムンムンに出て、各チームの自律主体性はどんどん失われていく・・・。

何も考えていない定例会だと、即この状態になる。これは、定例会の目的を履き違えていることに原因がある気がする。



「進捗を報告する」のが定例会の目的だという考え方だ。これが致命的だ。



例えば、

  • せっかく資料を作ってきているのに、その資料を延々と読み上げる。
    読めばわかるのに、進捗を「報告する」場だからリーダーの口から報告させようとする。
  • 報告の内容が「今週やったこと」にフォーカスされている。
    「進捗報告」だから、当然やったことを報告する。そんなこと聞いても、議論することなど無いのに。
  • 報告を受ける側のプロジェクトマネージャーやPMOチームも、進捗を把握することが目的だと思っている。
    だから「遅れをどう取り戻すの?」「なんで遅れてんの?」「管理できてんの?」「もし遅れたままだったらどうするの?」という確認しかしない。そんなこと根掘り葉掘り聞いても、困っているチームにとっては何の解決にもならないのに。正直、それ聞いてどうすんの?と誰もが思っているが、報告が目的であり、状況の把握が大事だと思っているからこうなる。

繰り返すがこれらは全部、進捗定例会は「進捗を報告する・確認する」場である。というあやまった目的設定が原因だ。

そもそも目的は「する」ことで設定してはならない

そもそも、目的は「すること」で設定してはならないと、以前の記事「会議の終了条件を確認せよ」でも書いた。
「すること」は手段だ。報告する・確認することで、作り出したい状態があるはずなのだ。

では、そもそも定例会をやることで、どんな状態を作り出したいのだろうか?これこそが真の目的になるはずだ。



僕は「解決しないといけないこと」を見つけ「外部からのテコ入れが必要かどうか」を見極めた状態を作る事が定例会の目的だと考える。


進捗を確認するのも、課題を確認するのも、すべては「解決すべきことは何か?それは各チームに任せておいて大丈夫か?PMOチームが介入する必要はないか」を見極めるためにある。

もし介入が必要なら、定例会の場ではなく、問題のあるチームに個別入り込んで問題解決に当たる必要があるだろう。定例会は他のチームもいて、しかもリーダークラスしかいないのだから、個別の問題解決を図る場としては全くふさわしくない。



こう考えると、

  • 解決しないといけないことを探したいので、
    「今週やったこと」の報告などどうでもいい。チームの状況はどうか、予定通り進んでいない事は何か、解決すべき課題は何か?を確認すべきだろう。
  • 解決しないといけないことを探したいので、
    進捗状況を書いた資料を読み上げてもらう意味はない。ざっと目を通して、解決しないといけないポイントに絞って議論した方がいい。
  • チームに問題解決を任せておいて大丈夫か見極めたいので、
    「この辺、本当に放っておいて大丈夫?」
    「どう解決しようとしている?勝算ある?」
    「このタスク漏れてない?」
    「これ、根深い問題な気がするけど、あの人巻き込まなくて大丈夫?」
    といった質問が活発に飛び交うのが正しい姿だと思う。
  • チームに問題解決を任せておいて大丈夫か見極められればいいので、
    その場で「どう解決するか」議論する必要はなくなる。むしろその場でしないほうがいい。

こうなると定例会はコンパクトかつ、意味のある場になる。チームの自律主体性も維持できる。

だが、こんな風に定例会を運営するにはめちゃくちゃ高いスキルと、勘と経験が必要になる。定例会は運営が極めて難しい会議体なのだ。甘く見ているとプロジェクトを殺してしまう。

さて、あなたの定例会、どうなってる?


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