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ケンブリッジ語録#19「100%理解できるまで反論禁止」

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僕が勤めるコンサルティング会社、ケンブリッジには、厳しいプロジェクトの現場で生まれてきた「語録」がある。
多くのコンサルタントの琴線に触れ、成長を促すカンフル剤になってきた。現場感がみなぎるエネルギッシュな語録を書き留める。今回はこれ。

語録画像19.jpg

100%理解できるまで反論禁止

深い理解ができるまで、相手が何を言っているのか自分の言葉で語れるくらい理解するまで反論するな、自分の意見を言うな。というお話。

「傾聴」という言葉で表現されたり、昔ベストセラーになった、スティーブンRコビー博士の7つの習慣では「理解してから理解される」と表現されたりする。


僕は主張が強いタイプなので、ケンブリッジに入ったころしょっちゅう言われた。「しっかり話を聞け」「榊巻さんほんとに人の話を聴いてないね」 と(笑


でも実は、なんど指摘されてもピンとこなかった。
(いや聞いてるんだけどな・・・)
(最後まで聞いて相手の話が終わってから話し始めているんだけどな・・・)
なんて思っていたのである。


でもある時気が付いた。
(あ・・・、俺、相手の話を聞いているけど、その間どうやって次の主張反論をしていくか考えてる・・・

言葉としては聞いているけれど、理解しようと思って聞いてないな・・・くだらない話ってどっかで思ってるのかも・・・)

と。
私は20%くらいの脳みそでなんとなく聞いて、80%の脳みそで次の一手を考えていたのだ。つまり相手の話は上っ面でしか聞いていなかった。この事実に気付くには正直、時間がかかった。



大事なのは「聞く」ことではなく、「理解すること」

つい「ちゃんと聞け」と言われると、正しく文章を理解しよう!記憶しよう!としてしまう。でもそれは極浅い聞き方でしかない。本当に重要なのは、相手の立場に立って理解することだ。これを「聴く」とか「傾聴」と言った言葉で表現するのことが多いのだが、ちょっとわかりづらい。

もっと具体的に言うと、
 a) どうすべきと言っているのか?
 b) 何を気にしてくれているのか?
 c) どういう価値観や経験が元になっているのか?
 d) どんな気持ちでいるのか?
こうしたことを、相手より雄弁に語れる状態でなければ理解した事にはならない。


僕が20%の脳みそで聞いていたのは、a)だけだった。
b)やc)に全く気が向いていなかった。これではダメだ。

ましてd)なんて考えもしなかった。

でも人間である以上、そこには感情がある。
感情が理解できてようやく相手の立場に立ったことになる。感情も理解してやっと100%理解したことになるのだ。



当時、僕は3つStepで聴くことを大事にしていた

「3段階で足場を固めながら聴く」と言ってもいい。

Step① 聞いたことをそのままリピートすること
「xxでxxだとおっしゃいましたよね?」
これは文章として日本語を理解するためのSTEP。これだけでも結構難しい。でもここで間違っていたら真の理解はできない。


Step② 聞いたことを僕なりの言葉で表現すること

「xxという意図だと理解しましたがあってますか?」
step①で、文章として理解できたことを確認した上で、言い換えてみる。相手の意図が汲めているか確認するのだ。


Step③ 相手の主張に乗っかって議論をすること

「なるほど、だとすると・・・」
その上で、相手の意見を前提として次の議論を展開する。

自分の主張を前提にしがちだが、相手の立場に立って相手の主張が理解できているなら、相手の意見に乗っかって議論することだって簡単なはずだ。そしてその方が建設的な議論ができる。

「あなたの主張が理解できたので私の案は一旦置いておいて、あなたの案に乗っかりましょう。あなたの案には、確かにこういうメリットがありますね。一方でこういうデメリットもありますがこの点はどう考えていますか?」という具合だ。

このStep③は意外と重要で、つい「あなたの主張はわかった。でもオレの主張はこうだ!」と言いたくなるが、それはダメ。

「あなたの主張は理解できました。だとすると・・・」とやってほしい。相手の主張を理解するとはこういうことだと思う。
逆にこれができないなら、相手の主張を真に理解したとは言いがたい。

 

この「実は聞いたフリしてます」現象、あちこちで起こっている

僕じゃなくても、色々なところで議論を見ていると、相手が全部言い切らないウチに反論しているケース、相手の話を上っ面で捉えているケースをすごくよく見る。

相手の話が終わったらすかさず「でもさ、やっぱり俺はxxだと思うんだよ」と話し始めるようなケースだ。本当に相手の話をしっかり聞いて理解しているなら、「でも」という話出しにはならないはずだ。

・理解を示す単語「なるほど」
・確認する単語「それって、こう言うこと?」
・相手の意見に乗っかった単語「だとすると」
・共感する単語「確かに」

あたりが出てこないとおかしい。

議論は主張を押し通すのが目的ではないはずだ。相手の主張や思いを理解し、こちらの主張も理解してもらい、より品質が高く納得度が高い合意形成をするために議論がある。
「ディベートではなく、ダイアローグ」
「討論ではなく、対話」
「勝ち負けではなく、より良い第三案」
「先生型ではなく、ファシリテーション型」
この辺の言葉にも通じると思う。

でもこれって、頭でわかっていてもついやってしまう。

特に独善的になると忘れがちになる。偉くなると忘れがちになる。力がついてくると忘れがちになる。知識が付いてくると忘れがちになる。経験を積むほど忘れがちになる。

役職が高い人ほど気を付けて欲しい。


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