ケンブリッジ語録#14 いきなり説明禁止
僕が勤めるコンサルティング会社、ケンブリッジには、厳しいプロジェクトの現場で生まれてきた「語録」がある。今回はこれ。
いきなり説明禁止
プレゼンでも、議論でも、なんでもそうだけど、いきなり話し始めるケースが多すぎる。
「ちょっと時間もらえませんか?えーっと、この資料についてなんですが、こうやって整理して・・・」
これ、本当にダメ。
なぜだろうか?
聞き手は、なぜこんな話されているのかわからないまま、あなたの話を聞かなきゃいけなくなる。この話を聞いて何をしたらいいかわからないまま、話を聞かなきゃならない。「私はこの話を聞いてどうすりゃいいんだろう?」「この人、なぜ資料の話をしているんだろう?」と頭の隅で考えながらあなたの話を聞くことになる。
解消方法は簡単。
最初に「何故こんな話をするのか、この話を聞いて貴方に何をしてもらいたいか?」を話すだけだけ。
プレゼンの目的をプレゼンすると言っても良い。
さっきの例なら、「この資料のまとめ方で違和感がないかご意見いただきたいんです。今からざっと構成を説明するので聞いてもらえませんか?」と言えばいい。それだけで聞き手の状態が全く違うものになる。
これは「結論から話す」というのとは全然違う話である。結論を話す前に結論が受け止めやすいように、聞き手の状態を作る作業なのだ。
やって欲しいことや、理解して欲しいことが明確なら、聞き手は自分でその状態になろうとしてくれる。話し手の情報が不足していれば、自主的に不明点を確認してくれる。
目的や、やってほしいことが不明確だと、聞き手の自主性は期待できない。
しつこいくらいに目的や、やってほしいことを最初に説明しよう。よく観察すると、社内の至る所で「いきなり説明」が行われている。
肝に命じて欲しい。
相手の態勢が整っていないのに一方的に話し始めるのはプレゼンではない。独り言だ。
相手の状態が整わないうちに説明してはならない。「いきなり説明禁止」
~コンサルタント渡邉さんのコメント~
Excelで表を作った時なんかにもやりがちだなーと思いました。
いきなり中身の説明「このセルの値がですね・・・」とかじゃなくて、前提の説明「そもそもこのExcelを作った意図は・・・」
とか「このExcelの見方なんですが、行はコレ、列はコレを表していて・・・」
みたいなのも飛ばしがちですよね。気をつけねば。
~コンサルタント歩さんのコメント~
これ、私はケンブリッジに入って最も大きな学びだと思っています。
私の場合、「結論を先に伝えないといけない」という強い思い込みがあって、すべての前提をすっ飛ばして、お客さんに結論から話していました。
相手の思考タイプにも依りますが、話の前提から丁寧に積みあげながら話していく方が、会話の成功率が高いと今は思っています。(A)今、自分が何のために、どんな作業をやっているか
(B)自分が何に困っているか
(C)相手にお願いしたいことは何か
(D)具体的な中身の説明or議論マネージャークラスのコンサルタントを見てると(A)~(B)のくだりが特にうまいなぁと思います。
~コンサルタント白川さんのコメント~
> 相手の思考タイプにも依りますが、話の前提から丁寧に積みあげながら話して
この辺がコミュニケーションの難しい所ですよね。
「相手、状況によって、正解が変わる」=文脈依存的
ということです。だから、コミュニケーション上手になるためには、発信力(流暢に喋れるか)だけでなく、
受信力(自分が話している事が、相手にどう響いているか)がかなり重要です。