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橋本正徳の非営利な活動を報告します

Zipcarに乗ったのでシェアについて考察してみる

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オルタナティブブログを読まれている方には、書籍『シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略』を読まれた方も多いと思う。大変面白い書籍だ。僕も出だし50ページくらい読んだ。『面白い』と書いたにもかかわらず、数ページしか読んでないのは、僕は書籍の内容が面白いと、テンションがあがってしまって、冷静になれずに、色々と調べたり、構想してしまい、書籍を読み続けることを止めるからである。皮肉ではない。

サンフランシスコのコワーキングスペースで仕事してみた』に書いた通り、今年の8月の頭は、シリコンバレー/サンフランシスコで過ごしていた。そんな中、偶然出くわしたのが、Zipcar。『シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略』にも取り上げられていた企業だ。また、偶然にもそのZipcarに乗ることができた。大変、面白い仕組みだった。その興奮の勢いに任せて、『Zipcar』について書き、その後『シェア』について書いてみる。

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Zipcarとは?
カーシェアリングサービスだ。iPhoneやらPCを使って自分のいる場所に一番近いZipcar置き場(?)から、車を選択して乗ることができて、且つ、乗り終えた場所に一番近いZipcar置き場に戻すだけでOKという、お手軽レンタカーみたいな感じ。鍵の仕組みが面白い。

Zipcarの会員は会員カードを持っており、予約した時間になると本部から予約した車に予約情報が転送され、予約した時間に予約した人のカードにだけ反応してドアロックやエンジンが作動する仕組み。 その他、利用開始・終了時間や走行距離、ガソリン残量に関するデータも本部に転送されるので、係員がZipcarを停めてある現場に行かなくても遠隔操作で車を管理できる仕組みになっている。 また、このシステムについては特許を取得して真似されないようにしている。

NewYorkScenery : Zipcar』より

この鍵の仕組み、会員カードだけではなく、iPhoneからも操作可能で、iPhoneからドアロックが解除できる。

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カーシェアリング
アメリカでのカーシェアリング拡大の動き:交通エコロジー・モビリティ財団』にZipcarについての面白い情報があった。

(1)会員の評価
会員からは、「便利だ」「予約や利用が簡単」「車所有に伴う手間や維持費が不要」「自宅からも職場からもアクセスできる場所にある」「駐車場が確保されているのがいい」「安い」「交通量や大気汚染の軽減になる」などの賞賛の声があがっています。

(2)社会的評価
同社は、カーシェアリングの普及は車の台数や車の利用を減らし、交通渋滞の緩和や都市空間の有効利用に貢献するとしています。事実、同社の利用者の47%が、同社サービスを享受できることを理由に車の購入を延期するか取りやめています。一方、11%の利用者が、同社会員になったことによりマイカーを売却しています。なお、セカンドカーとしての利用者は16%とのことです。カーシェアリングの社会的効果に注目し、周辺の自治体やデベロッパーの関心も高まっているようです。

我が家もマイカーを持っているが、これがやたらとお金を使う。幸い、駐車場は借家についてきているので、無料だが、車検、税金、そもそも車を購入する費用など、かなりのお金が必要となる。僕も、Zipcarが近くにあれば、マイカーを売却し、MacBook Airの11インチを購入してるだろう。
Zipcarをはじめ、シェアリングサービスってのは、2つの動機があるんだと、僕は考えている。ひとつは、「所有することよりも、サービスだけを受ける(コストを落とす)」と、ふたつめは「シェアリングによって人と繋がる」ってこと。

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サービスだけを受ける
Zipcarを例に挙げると、僕のような車に興味の無い人間が、車に乗るのは、移動したいからだ。車が欲しいからではない。そうすると、車を購入するよりも、コスト的に安いZipcarを利用したほうがいい。最近人気のクラウド系サービスも同じことが言えると考える。例えば、「課題管理システムが欲しい」のでなく、「課題管理がしたい」ので、システムに必要なサーバや、それをメンテナンスする業務などをユーザーでシェアし、課題管理システムBacklogを使っていただけているわけだ。システムを購入するよりもコストが安いし、サービスだけを受けることができる(メンテナンスがいらない)。
このように、サービスだけを受ける為のシェアは、コストメリットもあってか、非常に分かりやすいし、今後もインターネットをシェアリングの情報流通手段にして、どんどん広がっていくと思う。

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人と繋がる
モノを通じて人が繋がる。これもシェアリングをする動機かと思う。オルタナティブブログを読んでいるようなタイプの方には、すごく分かりやすいと思うが、そうではないタイプの方には、分かりにくい動機とも思う。例えば、『サンフランシスコのコワーキングスペースで仕事してみた』に書いたようなコワーキングスペースは、人と繋がるシェアリングの代表的な例かもしれない。コストを抑えたいのであれば、シェアオフィスの様に間仕切り的なもののあるオフィスシェアリングでいいのだが、そこにいる人と繋がり、様々なメリットを期待する為には、コワーキングスペースのようなオフィスシェアリングがいいだろう。ブックシェアリングなんかもそうなのだろう。友達に書籍を貸して、シェアする。で、二人とも同じ書籍を読んでいるので、その書籍についてアレやコレやと意見をし、より深く書籍を楽しむことができる。この人と繋がる為のシェアリングの流れは、Facebookや、Twitterなどのソーシャルなんちゃらみたいなプラットフォームの上で、どんどん加速していく。まだ公開されていないが、アラタナ研究所の物々交換によって、人と人との繋がりを形成しようとしているアプリケーション「Switcheroo」も、そのような思想が流れている。
僕は、サービスだけを受けてコストを削減するシェアには、もちろん、大賛成なのだが、人と繋がるシェアに、なにかわからないモヤモヤとした期待をしている。

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いくつか記事を紹介
シェアについては、オルタナティブブログを読んでいる皆さんは、きっと、興味のあることだし、既に色々と調べた人ばかりだと思うが、いくつか、参考リンクを紹介。

それでは、この記事をTwitterやFacebookを使ってお友達にシェアしてみてね(笑。
また、なにか質問などあれば、コメントでやり取りしましょう。

ではでは。

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