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橋本正徳の非営利な活動を報告します

日本生まれのインターネット関連サービスの海外進出

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最近、日本製のインターネット関連サービスの海外進出が盛んに行われている気がする。挑戦ムードでとてもエキサイティングだと感じてる。サンフランシスコに開発拠点を設置したサイバーエージェントの海外スマートフォンアプリの売上も順調に伸びているとよく聞く。うちの会社(株式会社ヌーラボ)も、リアルタイム共有で図を描けるcacoo.comが、順調に海外シェアを広げていっているところ。

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縁もあって、SunBridgeがシリコンバレーで開催した「TANABATA 2011 FESTIVAL」でピッチを行う機会をいただいた。このイベント、去年もピッチさせていただいたのだが、確実に今年の規模は去年を大きく上回っていた。来客数は300人を超えていたかと思う。そのイベントを通して、日本生まれのインターネット関連サービスの海外進出について、僕なりに気付いたことをいくつか。

壁は越えてる
日本人スタートアップ以外にも現地のスタートアップもピッチに参加していた。日本人スタートアップの人達は、既に言語の壁を越えている人が多数。壁にぶち当たっているのは僕くらい(汗。提供しているソフトウェアやサービスも、一緒に参加していた小嶌さんも言う通り、『日本のスタートアップの中にいる人のレベルがこちらと比べて大きく負けているとは思わなかった』。むしろ、「日本の方がすごいんじゃない?」と思ったのは、僕が贔屓しているから(笑?

参考:Togetter - 「小嶌不二夫さんがシリコンバレーに来て聞いたこと、感じたこと」

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僕の洞察能力の無さが原因かもしれないけど、とにかく「壁」のようなものは感じなかった。そもそも壁がないところに壁を作っていたような風潮が、なくなってきているだけのような気がする。ほとんどのサービスが「国内と国外」という壁を作った中で挑戦をしている訳じゃなく、フラット(に見える)な「インターネットやAppStoreなどを含むワールドワイドなプラットホーム上」で勝負しているからかもしれない。
僕の発表資料では、最初「国内ユーザーと国外ユーザーの比率」を示し、海外でも多く使われていることを伝えるような一文を載せていた。だけど、現地のMarkさんと、資料の読み合わせをしているときに、「比率は言わなくてもいいよ、特に気にするところじゃないし」と助言いただいた。個人的にはガッツーーーンと来た。そう、確かにそんなこと関係ない。国内国外という壁は既にない(というか元からない)。それが普通の感覚なんだね、きっと。

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シリコンバレーは投資話が盛ん
投資家が多く、やはり、投資の話題が沢山ある。ある意味、事業が製品とか動産的なものとして扱われている。(この感覚は、口に出すと若干引かれちゃう部分があるが、投資を特に受けなくても、国内だけでやっていくにしても、事業価値をちゃんと見定めることは、向上させていく為にも重要なことなんだろうけど。)
Y Combinatorや、500 startupsなど、いまも投資話が華盛りの様子。ある程度刺激のある話だし、あたかも「できるスタートアップ経営者」みたいなキモチにさせてくれるし、日本でよく聞く有名企業の話があったりと、なんだかマジックにかかってしまって、浮かれてしまう傾向がありそうだと思った。僕も2.5cmほど床から浮いてた。投資の話が華盛りとはいえ、やりようによっては将来を変えてしまう手段だと思うので、知識を増やし、浮くことがないように気をつけたい。

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情熱がある
今回のようにスタートアップのピッチ(合計33個!)を聞いて、さらに自分も参加して、スタートアップの人達の熱い感じがとても刺激になった。で、皆、リアルに開発している製品で勝負しているところが、とてもいいところ。ソーシャルネットワークが勢いのある今、アイデアくらいは、無料でその辺に転がっているし、自分と同じアイデアもその辺に転がっている。実物がある、デモがある、これが大事なこと(さらに言えば、実物レベルでも転がっていて、マーケティングなども一丸となって継続していることが強みになってくると思うが)。「情熱」の証。普段こんなこと書かない(言わない)僕が、書いているのは、情熱にやられたから。冷めるのも早いので、帰国したら、書かない(笑。

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福岡県の取り組みっぷり
イベントは、シリコンバレーのPlug And Play Tech Centerで行われた。この建物は、いわゆるインキュベートセンターで、沢山のスタートアップの人達がいる(投資家から投資を貰うということが主な狙いで集まっているような気がするが)。その建物の中に、例えば法政大学など、非スタートアップ企業(?)も部屋を持っている。推測だけど、海外との窓口として、部屋を準備しているのだろう。で、そのひとつに「福岡県」がある。たぶん、日本国内の都道府県では唯一じゃないだろうか?その福岡県が、今回のイベントの協賛をしていたり、SFNewTech Japan Nightの協賛をしていたりする。サポートしているのは、国外にアピールしようとしている福岡県の企業。インターネット関連企業だけではない。今回のイベントの懇親会(?)でも、福岡産の明太マヨネーズや、味噌、醤油などが振る舞われた。また、地元フリーペーパーの「Fukuoka Now」もここを通じて、ロサンゼルス、ニューヨークに配布されている。これって、面白いことだと思う。

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日本生まれのインターネット関連サービスの海外進出にフォーカスして書くと、シリコンバレーやサンフランシスコへの進出に当たっては、福岡に住んでいることがメリットになるかもしれない。少なくとも、現地に仲間がいることになる。もうひとり、単身で福岡から来ていた人がいたのだが、その方も、福岡県さんにお世話になっている部分があったし、それ以上に、僕はお世話になったと思う。

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福岡県以外の方でも、仲間はいる。現地でインキュベートしてもらって挑戦しようと思っているのであれば、今回のイベント主催のSunBridgeにコンタクトを取るのがきっかけ作りとして、いいだろうと思う。代表取締役会長のアレンマイナーさんは、とても良い人だ。現地にPRなどをしたいということであれば、サンフランシスコのbtraxさんにコンタクトを取ってみるもの良いと思う。いずれにしても本気で考えてるときにコンタクトを取るべきだけど。

シリコンバレーは住みづらい
これ、別に書かなくてもいいことなんだけど(笑)、とりあえずネタで。過去に来たときにも思ったんだけど、やっぱ、住みづらい。とにかく土地が広く、建物は低くて横に広いので、となりの建物まで結構歩く。あと、野良リスをよく見かけた(社員から「リスは美味しい」との情報あり)。バスもあって、最終的には、普通に乗れるようになったんだけど、30分で1本とかっていう便数で、とてもじゃないけど、移動が楽じゃない。僕みたいな若者が気軽に飲みに行けるパブも無い(おかげで経済的)。
よくあがる話だけど、最近のWebなどを中心としたスタートアップは、もっと栄えているサンフランシスコに事務所を構えることが多くなっている様子。

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地元愛重要
海外の人達がなんだか強そうに見えるというか、すごそうに見えるのが、自信に満ちているところだ。よくよく考えると、その自信が、「地元愛」から来ていると思う。ナチュラルに「自分の国はすごいし、自分の州はすごいし、自分の会社はすごい、製品もすごいんだぜ」っていう感覚があると感じる。その感覚って、非常に重要だなと思った。根拠としては訳がわからないけど(笑)、安定した自信に繋がっている気がする。これは、是非、パクりたい。僕らは日本人で、日本に住んでる。意固地にならず、ナチュラルな感覚で誇りに思っていると、それが自信に繋がってくるような気がする。

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以上、結果的に「日本生まれのインターネット関連サービスの海外進出」の話が書けたのかどうなのか怪しくなってきたが、シリコンバレーで感じたことのとりあえずのまとめ。今は、サンフランシスコにいて、コワーキングスペースで仕事したり、企業に訪問したり、現地のスタートアップのイベントに顔を出したりしている。その辺も、皆が楽しいなって思ってくれるのであれば、追って書こうと思う。

なにか、質問などあれば、コメントでやり取りしましょう。

ではでは。

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