Startup Weekend Fukuoka から学んだスタートアップマインド
『元気があればなんでもできる』は、アントニオ猪木氏の言葉。先週末の3日間(2011年8月26日〜28日)、40名強の元気のあるメンバーが『Startup Weekend Fukuoka』に参加した。僕は、半分はオーガナイザーとして、半分はプレイヤーとして参加した。オーガナイザーとしての主な仕事は、食事の発注などだった。このような合宿系(?)のモノ作りイベントは、過去2回ほど参加したが、『スタートアップする!』がテーマの『Startup Weekend』は単なる開発合宿じゃなかった。
開催後、参加したメンバーと会って話したり、Twitterやブログにポストされている内容をみると、1週間後の今も皆、『Startup Weekend 熱』にやられている感じだ。僕もその『熱』にやられて、ひとつブログ記事を書いてみる。僕がこのタイトルで書くのは今更感があるが『Startup Weekend Fukuoka から学んだスタートアップマインド』だ。照れる。
1人のバカをリーダーに変える
第1日目は、自分のアイデアを発表する1分間のショートプレゼン大会を行う。そのアイデアの中から土日に作るものを決める。いくつものショートプレゼンの後、そこから8つのアイデアを多数決にて決める。その後、アイデアの主を中心に、アイデアに惹かれたメンバーでチームを形成し、次の日から2日間、そのアイデアの実装にいそしむ。
正直、アイデアの段階では、どれもパキっとしたものは無いように思えた。が、なにか共感を生み出しチームが形成されていく。よくある事だけど、不思議な感覚だ。この現象は「一人のバカをリーダーに変えたのは最初のフォロワーw:平凡でもフルーツでもなく、、、」にでてくる「凄いことをしている孤独な馬鹿を見つけたら立ち上がって参加する」ような現象に似ていると思う。
バカ達は、一生懸命に自分のアイデアをプレゼンする。ひとりのバカの前に最初のフォロアーがやってきて質問をする。「どういう事がやりたいんですか?」というざっくりとした質問だ。バカは質問に対して返答し、その返答を質問者以外も聴き、各々考え、徐々に惹かれていく。そのようにして、小さなコミュニティーが出来上がり、チームが形成される。
胸を張って話すバカと、興味を持ち、勇気を出して立ち上がって参加するこの光景こそ、スタートアップが立ち上がるときの光景そのものなのではないか?と思った。
その後、フォロアー達の意見が交じり合い、最初のアイデアから少し離れた『ちょっと違った新しいアイデア』になっていき、より良いものへと向かっていく。
お金は途中で考える
2日目の途中から、チームにメンターがやってきて、「ビジネスモデルは?」「どうやってマネタイズするんですか?」というお金にまつわる質問をしてくる。ほとんどのチームが「は!?」っと我に返り、お金を稼ぐ方法を考えだす。これは、「ビジネスモデルを考えていない人が多い」とか「収益を考えていないスタートアップが多い」などと言われるように、実際のスタートアップにもよくある事だと思う。
反論はあるかもしれないが、僕は、「初期にお金を考えられないことは当たり前だ」と思っている。バカなプレイヤーは「お金が稼ぎたい」を第1のモチベーションにしている訳ではなく、「世の中を変えたい」「少しだけ便利にしたい」「問題を解決したい」などが第1のモチベーションになっているので、お金の事を初期段階で考えることができないのが当たり前だと思う。しかし、お金の事は初期段階で考えた方が良い。継続性を考える為には、お金は必要不可欠だし。『Startup Weekend』でもそうだったが、実際のスタートアップでも、枠の外から(もしくは枠の中から冷静に)「これはどうやってお金を稼ぐのですか?」という問いをかける人や、「こうするとお金が手に入るのでは?」というアイデアを出す人が必要だと思う。
その質問、アドバイスを受けて、さらにチームは本気になり、エンジンがかかる。
この利益モデル(お金だけじゃなく、価値を得るって意味での「利益」も含む)ってのは、段階を持っていた方がいいと考えている。ユーザーの量やアプリケーションの成熟度に応じて、シード、アーリー、ミッド・・・という段階を持った利益モデルがあると思う。最初から大きなソーシャルなネットワークがある事を前提としたアプリケーションがあったが、そこは、ユーザーのいないシードなフェーズでは取ることができない利益モデルだ。そこをゴールとして戦略を組むと良い。半分は、偶然が生むスパイラルのなか、うまくやっていくことになると思うが、計画を持つと、動き方が明確になる。
プレゼンテーション!プレゼンテーション!プレゼンテーション!
3日目は、出来たものの5分間プレゼンテーションを行う。作ったもののコンセプトから、ビジネスモデル、今後の展開、デモを5分間に詰め込む。
最初に行われたチーム作りから、最後の発表まで、「プレゼンテーション」が重要な位置を占めている。人の前に立って話す「プレゼンテーション」もそうだが、アプリケーションのプレゼンテーション(アプリの訴える力、デザイン)もかなり重視されていた気がする。デザイナーの参加が足りず、多くのチームがデザイナーを必要としていた。あるデザイナーは2チームを掛け持っていたりした。
まずは、人に見てもらうこと、知ってもらうこと、そして使ってもらうことが重要だからだろう。
ほぼ、10時間くらいしか実装に当てられなかったと思うが、どのチームも、素晴らしく、開発スピードがあった。そのような状態なので、(逆に苦手だと思われる)プレゼンテーションに注力していったのは、当然と言えば、当然かもしれない。
スタートアップコミュニティー
オープンソースコミュニティーというものがあるが、スタートアップコミュニティーというのも形成されてきていると思う。この『Startup Weekend』を通しても感じた。活動内容も酷似しているようにも感じる。革命を起こしたい、ちょっとだけ便利にしたい、問題を解決したいというモチベーションのプログラマーは、夜な夜なプログラムを書き、オープンソースプログラムを作ってきた。一般的には、プログラム好きのみがやっているように見えるかもしれないが、フタを開けると、マーケティングを行うもの、デザインを行うもの、コミュニティーを活発にするよう働くもの、利益モデルを考えるもの、いろんな人がオープンソースを支えている(支えていた?)。スタートアップも同じく、それでいてオープンソースよりもわかりやすく、たくさんの人が関わっている。
(あくまで僕のコンテキストで)オープンソースのコミュニティーをなぞって考えると、スタートアップの出だしはコミュニティーの様にして始まることが増えてくると思う。つまり、会社を超えてチームが形成されて、インターネットを通して夜な夜なビルドされていく『利益モデル付きアプリケーション』が増えてくると思う。
果たして、スタートアップのマインドについて書けたかわからないが、『Startup Weekend Fukuoka』の僕の感想は上記のような感じだ。まだ色々と感想を持っているけど、質問など会話でないと、うまいこと話せない(書けない)。
なので、なにか質問があったら、コメント欄にて。
ではでは。