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HRD(人材の育成、教育研修)の現場から、気づいたこと、アイデアを発信します。初めて人材育成や教育担当になった方でも、わかりやすく、取り組みやすい情報提供を目指します。特に、20代~30代を元気にしたいご担当者様、是非このブログにご参加ください。

研修営業 初めて物語5~成長力の源泉『徹底力』

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"強い組織と個人には共通するものがある"と感じた私は、組織や個人に近づき観察することにしました。その組織に直接関わる人に話を聞くことにしたのです。話を聞く対象は様々ですが、話を聞くことにより、"リーディングカンパニーのリーディングカンパニーたる所以"が明らかになります。

(本内容は、私が1995年に人材育成に携わるようになってから学んだことを振り返りながら、人材育成に携わる方やご自身のキャリア開発に活かそうとする方に向けて、人材育成の企画および計画やプログラム開発のヒントをご紹介しています。前のブログとも合わせてご覧いただくことで、より理解を深めていただけます)

 

強い組織の取り組み例ー1 

好不況に関係なくほぼ毎年増収増益。利益率も高い企業として有名な某社。

某社の成長期に、営業統括として組織開発の実績を持ち、現在は営業コンサルタントとして活躍中の方とお仕事をご一緒する機会がありました。

そのコンサルタントに依頼したあるセミナーでの出来事。好業績・高収益企業の秘訣を探ろうと、多くの経営者や営業リーダー層が集まっていました。彼らは、そうした組織は何か特別なことをしているんだろうと思って話を聞いています。しかし、講師が話す内容は、どの会社でも当たり前にやっていることばかり。あまりにもシンプルです。しびれを切らした参加者から、「本当はもっと他にされていることがあるんじゃないんですか?」と少し皮肉めいた口調で質問がありました。

すると、講師は不思議そうな顔をして、「いえ、これを徹底しています」と言うのです。

しかし、参加者は納得していない様子。

 

徹底するとは?

そこで講師は切り口を変えて、次のように話し始めました。

「例えば、新規開拓をする際、1社あたりで何人の方から名刺をもらいますか?」

すると参加者は、「担当者とその上司、役員で、3~5名、多くて10名ほどでしょうか?」

その回答に対し講師は、「私たちは、1社当たりで大体数百の名刺をいただいています」

参加者の多くは"きょとん"とし、不思議そうに話を聞いています。

しかし講師は、「皆さんは、購買の決定権がある人は、少数だと思っていますよね。決してそんなことはありません。組織の中には、似たような業務に携わり、小さな単位で発注される担当者がかなりの数いらっしゃいます。そうした方にアプローチすれば、その人が必要なタイミングに、声をかける先として私たちに声がかかるのです。ほとんどの場合、小口用途で発注される担当者には他の会社はアプローチしていません。そこで、競合することもなく仕事をいただけるのです。そうした小さな積み重ねを、かなり徹底してやっています。

それではここで、この話を具体的に考えてみたいと思います。仮に自分の部下に10人の営業担当者がいて、1人につき20社担当しているとしましょう。

   10人×20社×名刺10枚  1人あたり=200枚、チームあたり=2000枚

   10人×20社×名刺100枚 1人あたり=2000枚、チームあたり=20000枚

どちらが確率を上げられそうでしょうか?

1社につき100枚名刺を集め、そこに対して確度高くアプローチする方法をメンバーと一緒に考え、マネジメントするのが、私たちが取り組んでいたことです。」

と、講師は伝えていました。このようなイメージで、全ての事を徹底されているというのです。

参加者は徹底度合いを聞き、"それが出来ないから、他にいい方法がないかと思って話を聞きに来ているのではないか"とがっかり肩を落とされていたようでした。

 

がっかりせずに、視点を変える

話を聞きにいらっしゃる方の多くは、業績が低迷し、藁をも掴む思いでセミナーに参加されます。しかしそこで、長期的な取り組みが必要になる話を聞くと、とたんにモチベーションが下がります。"時間がかかることに取り組めない・・・"と感じるからです。

しかし、決してがっかりする必要はありません。その時、その場、戻ってからすぐに次のことに取り組めばよいのです。

1.自社の顧客が望む、"徹底してほしいこと"を洗い出す(思いつく範囲で可)

2.その中から1つだけ選ぶ

3.選んだことを、やってみる

この3つだけです。

どんな小さなことでも構いません。例えば、

・電話がかかってきた時の第一声を明るくする

・書類を納期よりも早く提出する

・毎日10分、仕事の報告会を行う

など 誰でも出来る 簡単なことを徹底すればよいのです。

 

好事例として紹介される話は、ある程度結果が出る仕組みが出来上った後の話です。1つのことが習慣化(誰でも当たり前にできる)されると、次の新しい徹底項目を探し愚直に取り組みます。その繰り返しを行い、いくつかの習慣が有機的に機能するようになるまで、あるいはその企業独自の着眼点に辿り着くまでに数年以上かかっています。それを聞くと、全部が出来ていないと上手くいかないのではないかと感じます。

しかし、そうした会社も最初は、結果が出るかわからない中で、すぐにできることに取り組み、まず個人のレベルで徹底します。その中で顧客の反応を確認しながら、手応えが感じられるもの、そうでないものを見極め、効果の高いものを組織全体に波及し徹底します。そして、次の新しい取り組みに着手する、その繰り返しを行っています。

言葉を変えれば、"試行錯誤"、"仮説検証"です。

『徹底力』個人としても、組織としても大きな威力となります。現状を打破したい方にも効果的ですよ!是非、活用してみてくださいね。 

 

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