サッカー日本代表の新監督ザッケローニ氏を、SNS的組織論から評価してみる。
今回は、SNS的組織論でサッカー日本代表を語るPart2です。
まずは前回のおさらいとしての用語説明ですが、
- Broker: イノベーションが得意。外の世界をよく知っているオープンネットワークのハブ型人種。外国人監督、海外移籍組の選手
- Closure : 内部のとりまとめが上手く実行力に長ける。画一的文化に立脚したクローズドネットワークの人種。日本人監督、国内組
というところを思い出していただきたい。
中身について最初の話であるが、今回の監督決定の経緯について、私自身は日本サッカー協会を評価したい。
「来てもらえる(手軽な)ヒトではなく、日本代表チームが次のステージに上がるために、ほしいヒト・必要なヒトを採るべく監督獲得市場に参戦した。そのために苦労した」と言われている。
これは、サッカー協会自身が堂々と国際化しようとしていることの証左であると読み取りたい。
一方、選ばれたザッケローニ氏への評価であるが、ポジティブ面としては、
- 監督としての実績
- イタリア人ネットワークを用いて、レベルの高いチームとの練習試合が増やせる (アフィリエイト効果かな)
ネガティブ面としては、
- 初めての代表監督、
- イタリア国外も初めて、
- 自分のファミリーを日本に連れて来る
という一面も報道されており、
- イタリア人・イタリア語でなければ実力を発揮できないClosure型の人物なのかも?
- 異文化を受け入れるBroker的なセンスはないのでは?
という不安も感じさせられた。
だとすると、受け入れる日本側で選手やスタッフ側に、「初めてのイタリア人監督様ご一行」という異文化を受け入れるBrokerを用意しなくては、うまく回らないだろう。
実際、サッカー協会からも、「コミュニケーションが問題、ファルカンの時の二の舞にならねばよいが。。」という懸念が出ているらしい。とはいえ、ファルカンの場合は他の国へ行っても監督として成功しなかったのにくらべれば、ザッケローニ氏の場合は監督としての実力は十分ある人物なので、それほど大きな心配はないだろう。
特に、既存の材料(選手)にあわせて料理(戦術)を組み立てる柔軟性や、若手を育てる意欲・実績などもあるようだ。組織のLeaderとしては期待が持てそうな気がする。
サッカー番組のインタビューでは、KeyWordに「バランス」を揚げていた。
また、戦術に関しても「このクラスのチームになれば、一つのシステムですむものではない」というコメントがあったようだ。
「勝つために何をするか?目的から逆算してやるべきことを決める」というスタイルであり、監督としてのプロフェッショナリズムは感じさせてくれる。
さらに、最初の国際試合を見た後の記者会見を見ると、「選手にもオープンなコミュニケーションを求めたい」、「日本にずっと住む」というコミットメントなどもなされており、日本のサッカー協会、選手、ファンに溶け込んで自身を日本化するClosureとしての役割も認識しているようだ。
とはいえ、ちょっと心配なので、日本人とイタリア人の間を取り持つBrokerとしては誰が適任か?を考えてみた。
- ここは、イタリアのサッカー界で日本人代表として名をはせた「中田英寿」に、「日本代表アドバイザー」のような形でひと肌脱いでもらう局面ではないか?
とひらめいた。
実際には、通訳の問題があがっているらしい。
この問題については、夕刊フジのこの記事が読み物として面白い。
余談だが、岡田監督の前の「イビチャ・オシム」監督時代には、方言の強いボスニア語が話されたため、サッカーには詳しくない大学講師が次善の策として雇われていたとのこと。これまた以外な話である。
夕刊フジで報道された”噂”は、なんと、「ちょい不良オヤジ」の「ジローラモ」氏を日本代表の通訳に起用するという話だ。
サッカーに関する経験・見識も結構あるらしく、これ、意外にいけるかも。。私のアイデアを超えた妙手に感じられた。但し脱線すると、「監督はこんなこと言ってるけど、いいからいいから。今日、中目黒のピザの旨い店に行こう」とか、適当なことも言いそうでちょっと怖い気もするのは気のせいか。。
もっとも、タレントとして成功しているヒトなので年収などの条件面で難しいのでは?という結びがあり、憶測記事の域を出ないようではある。
もうひとつ、この記事を鵜呑みにすれば、トルシェ監督の時の通訳であったフローラン・ダバディ氏 がイタリア語も話せるらしいので、彼をもう一度採用するという手もあるのではないだろうか?と考えてみた。
もちろん、イタリア語は彼の母国語ではないので通訳としての実力はわからないが、引き続きスポーツ番組のレポーターなどを日本で行っており、日本人のチームを理解するという意味では、可能性はあるだろう。あ、でも、イタリア人監督とフランス人通訳のウマが合うかどうか?という問題も残っているな。。やっぱり難しいか。。
結論:非英語圏のガイジン監督が成功する鍵は通訳にあり。
追記:ジローラモ氏と自分が同い年だったとは、ちょっとショック。