Teamで結論を出すことの重要性を、海外ではどうやって教えているか?
これも、出張留学中の「Essentials of Effective Leadership」 と言う授業で感心した内容の2つめの話である。
恐らく何人かの人は企業内研修などで日本語で体験したこともあるかも知れないが、「遭難時のサバイバルプランを決める」という研修プログラムの話である。
「北緯xxx度のカナダの山奥で飛行機が不時着し、メンバーの1人は足を骨折して動けない。35km歩けば最寄の山小屋にたどり着けるが、今は深夜2時。。」などの状況が与えられる。
この状況下において、「ナイフ、懐中電灯、タイヤのチューブ、缶詰のドロップ, 毛布、etc の装備品リストが与えられ、必要なグッズのPriorityを決める」という課題である。
このpriorityを決めるTeam Discussion の 中で、仕切り役などのLeadershipが自然にできてくるというものである。
このとき、私の受けた授業では、2つのアプローチを取っていた。
a) まずは、自分ひとりで考えた回答を作る
b) 次に、Team全体でDiscussionして、統一した回答を出す。
最後に模範解答として、プロの回答(山岳警備隊の隊長とか)が与えられ、その回答との乖離を元に採点する。
近い回答が多いほど、高得点になるというものだ。
ここで、a),b)両方の答えを採点して、結果を比較する。
大抵は、teamで出したb)の回答のほうが高得点になることから、個人で考えるよりもteam buildingが有効であることを、疑似体験として教えられる。
たまに、a)の個人の回答のほうが高得点である場合があるが、そういう場合は、当人がボーイスカウトの経験者だったり、「その道のプロ」として何らかのExpertiseを持っていることが多い。
そこからは、「専門家の意見に耳を傾ける」ことの重要性を指摘される。
さらに笑い話であるが、Teamごとに点数を比較すると、成績悪いTeamは「雪を見たことがない」という東南アジア系Leaderが仕切っていたり、「氷点下で35kmのマラソンくらい朝飯前」という北欧のメンバーが幅を利かせているTeamだったりする。こんな経験から、文化的な背景がもたらす固定観念の副作用なども疑似体験させられたりする
こういう感覚が、同じカリキュラムであっても日本国内で日本人同士で受講していては味わえない「海外で学ぶ醍醐味」の一つである。
「こんなところから土台を作ってコミュニケーションしなければいけないのね。。」という理解があるのとないのは、テニスや野球で言えば「硬式と軟式の違い」ぐらいに、同じスポーツでありながらも似て非なるスキルの取得となる。このスキルの使い分けをマスターして、相手をみながらスキルを切り替える度量の深さを身に付ける原体験となる。
こういう経験が、約2年間にわたる在学期間中にTeam課題を解くときのTeam Buildingの重要性としてまず最初に教えられる。
カリキュラムの最初にこういう授業が来ていると言う設計思想そのものに、いたく感動したものだ。「日本の将来を憂い海外に出て頑張る」という選択肢を選ぶ場合には、是非、認識しておかねばならない「文化的背景がビジネス判断にもたらす影響」であろう。