「世界を変える」 チャンスに乗じる企業たち Vol.2
「世界を変える」 チャンスに乗じる企業たち Vol.2
CSV推進団体「Shared Value Initiative(SVI)」がフォーチュン誌、FSGと行った社会的課題をビジネス化している企業のランキングを発表しましたが、その記事の日本語訳(弊社訳)第二弾になります。
(前回記事の続編となります)
【目標3】:「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」
健康ビジネスにおいては、「共有価値」という概念は事業そのものに組み込まれていると言えますが、BD社(26位:以下、フォーチュン誌ランク)の製品は、ヘルスケアワーカーが針刺しでケガすることを防ぐものです。
Discovery Limited社の活力保険プログラム(17位)は身体に良い行動を奨励し、保険加入者の平均余命を21年も伸ばしました。Novartis社(9位)は遠隔地のインディアンの村に住む現地のスタッフを雇用・トレーニングし、コミュニティに健康や病気の予防、トリートメントについて教えるしくみをつくりました。これにより、約3百万のインディアンが保険教育を受け、20万もの人がトリートメントを受けることにつながりました。
【目標4】:「すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」
企業側が求める新しいスキルを持った人材を提供するために、公教育は遅れをとっています。既に、いくつかの企業は、単なる従業員教育を超えたプログラム策定に着手しています。
例えばIntel社(39位)は、STEM(科学・技術・エンジニアリング・数学:Science, technology, engineering, and math)を強化するプログラムを全米で展開。CVS Health社(31位)は、仕事を最も必要とする生活保護を受けている個人を研修・雇用し、過去20年間で8万を超えるエントリーレベルの人材を採用しました。
【目標9】: 「強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」
SDGsには、物理的・デジタル両方のインフラは「すべての人々に、安価で公平なアクセスに重点を置き、経済発展と人間の福祉を支援するもの」と記されています。情報通信技術の会社は、未開拓な市場を開拓することから大きな利益を得るでしょう。Vodafone社(1位)がすでにそれを証しています。同社はSafaricom社と提携し、これまで銀行口座を持たなかった多くの人たちにモバイル・マネーへのアクセスを可能としました。
【目標11】:「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」
途上国にはスラムが多く存在しますが、この目標はサステナブルで居住しやすい都市をつくる視野を示しています。メキシコに拠点を置くセメント・建材会社のCemex社(16位)は、低所得者層が住居のために必要な資金や資材にアクセスできるモデルをつくり、流通販売には地元の労働者を活用しています。2000年以降、同社は百万人もの低所得者層の人たちに住居改善を可能にし、35万人もの人にたちに自宅所有を奨励しました。
【目標12】: 「持続可能な生産消費形態を確保する」
気候変動という現実を前に、多くの顧客は、これまで以上に、彼らが手にする製品のサステナビリティや行動に意識的になっています。多くの企業はこういった顧客ニーズに答え、環境にもいい商品サービスを提供することで応えようとしています。
Nike社(37位)の新たなデザインと製造技術は、製造廃棄物を80%削減しました。
Patagonia社(24位)は100%の製品をリサイクル用にひきとり、オーガニックコットンやエシカル、フェアトレードなものを製品に取り入れています。Waste Management(46位)は、140万トンのリサイクル製品を使い一千万戸の家庭へエネルギーを提供しています。
ここで紹介した企業は、グローバルな開発目標と投資利益率の両方を満たす革新的な戦略を実施しています。
多くのビジネスリーダーが、国連の発表を政府や援助団体のことだと聞き流している間に、スマートなリーダーは、この先15年間の世界最大のチャレンジの中にビジネスチャンスを見ているのです。
原文:Share Value Initiative
Companies that Capitalize on Changing the World (by Ellen Martin 2015.9.25)
http://sharedvalue.org/.../companies-capitalize-changing-world