Whole Earth Catalog(全地球カタログ)
Stay hungry. Stay foolish.
Steve Jobsがスタンフォード大学での卒業生向けスピーチの最後に引用した言葉。出典は今回取り上げる「Whole Earth Catalog」の休刊号「Whole Earth Epilog」の裏表紙。
1968年に、スチュアート・ブランドによって創刊された。ヒッピー・コミューンを支えるための情報や商品が掲載されていた。創刊号の表紙を飾ったのは、1966年にブランドが起こした運動が功を奏してNASAから発表された、宇宙に浮かぶ地球の写真である[3]。日本の雑誌、『宝島』や『POPEYE』にも大きな影響を与えたとされる。wikipediaより
WEC(Whole Earth Catalog)はカウンターカルチャー全盛の68年にスチュアート・ブランドによって創刊された。ジョブズが自分のバイブルとして紹介したように、ヒッピー向けの雑誌であり、ヒッピーが目指した「意識の拡大」や「新しいコミューン(=カウンターカルチャーにおいて都市から離脱し自然の中に作った共同生活の場のこと)の開始・維持」に繋がるような情報や商品が多数掲載され紹介されていた。そうした情報や商品はいづれもコミューン生活を支えるための「ツール=道具」として捉えられていた。WEC創刊号の副題に"access to tools"とあったのはそのようなツールの紹介が中心だったためだ。この各種ツールへのアクセス方法を示しているところが今日のGoogleのようだという評価に繋がった。出典:「ウェブ X ソーシャル X アメリカ<全球時代>の構想力」池田純一著
「全地球カタログ」のことを知ったのは御多分に洩れずJobsのこのスピーチで。以来この言葉は私にとっての座右の銘の一つとなりました。しかし、カタログを手にしたのはごく最近になってです。その大きさ、内容の多さ・濃さ、カテゴリーの豊富さ、そのすべてが驚きでした。 意識拡大のためのツール紹介のカテゴリーは下記です。
- Whole System
- Land Use
- Shelter
- Soft Technology
- Craft
- Community
- Nomadics(遊牧生活、最近は「ノマド」で使われている)
- Communications
- Learning
このカテゴリーは当時はカウンターカルチャーを貫くために必要な項目、コンセプトだったと思われます。しかし、現状を考えた時このカテゴリーはまさに現代を再生するために必須項目のように思えてしょうがありません。
各項目にはぎっしりと記事(ガイド)がかかれており、紹介しているツール(本、道具、場所)の連絡先が記入されています。若きジョブズやウォズ、シュミットがこのカタログを見て好奇心を駆り立てていたことがうかがい知れるコンセプトと装丁とコンテンツ!
この偉大なるカタログを発行したスチュワート・ブランドは、2009年には「Whole Earth Discipline(地球の論点)」を出しており、様々な全地球的課題に対しての科学的、哲学的、未来的、現実的な示唆を提示しています。(彼は原発に対しては肯定的で合理的現実主義者な側面を示している。)
池田氏の「ウェブ X ソーシャル X アメリカ<全球時代>の構想力」は、WEB、インターネットの本質を西海岸を中心にしたカウンターカルチャーから紐解いており、その中心的な人物としてブランドとWECを取り上げています。個人的にはかなり刺さる論旨で、何故西海岸がネット・ビジネスの中心であり続けるかはここにあると思っています。この本質が理解できないと容易にコピーできるビジネスとしてのネット・ビジネスに止まり、未来を作れないと考えます。(残念ながら日本の企業は特にそう感じます。)
分断が一層進む世界、今こそ「全地球」的な視座で考えないと地球が崩壊してしまう状況です。(WWFのレポートによれば今のままの消費が続けば2030年には地球がふたつ!必要になる。)
尚、カタログのバックナンバーはオンラインでも見ることが可能です。