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共創でマーケティングを変える!

エンゲージメントの指標

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そもそもエンゲージメントは何で計測されるのか?以前取り上げたように2006年全米広告協会で指標かを試みたもの頓挫しています。昨今ではSNSにおける企業の投稿に対するリアクション(いいね!、コメント、シェア、リツイート、リプライ)=ソーシャル・エンゲージメントを指標化することが多いようです。よく活用されているエンゲージメント率は下記の数式で使われています。

エンゲージメント率 = 反応数(いいね、コメント、シェア)/ ファンの数

弊社ではこれに加えてソーシャル・エンゲージメント総量(Gross Social Engagements) という指標を活用しています。

GSE= SNSの反応数 + 自社サイト(アプリ、キャンペーンページ含む)のプラグインの反応数 

エンゲージメントを可視化できるという点では、このようにSNSを活用した指標は優れたものと言えるでしょう。ソーシャル・アクションは自分の好きなブランドの投稿に対して顧客・ファンの自らのアクション(参加、共創)の実数なのですから。また、ソーシャル・エンゲージメント数の増加は間違いなく口コミというカタチで顧客の知人(Facebookの日本人ユーザーで平均約108人)に広がっているので、今後一定のマーケティング指標として重要な位置をしめるものと思われます。

ただし、この指標ではあくまでもソーシャル上でのアクションであるため、実際の購買にどのような影響を与えているのかは計測できません。より販売に意義のあるマーケティングROIが求められる中、エンゲージメントと購買の相関関係を明確にした指標が望まれてますが、自社で顧客データを所有する企業ではこのソーシャルデータと自社顧客データを紐づけて(コネクト)計測ができるようになってきています。

これはSNSが持つソーシャルログイン機能、すなわちSNSのIDと自社会員IDを紐付け、どちらでも自社サイトにログインさせる機能です。これを活用すれば、ソーシャルログイン機能を許諾した会員のSNS上の情報を企業が収集できます。

弊社ではFacebookなどSNSのコネクト機能を活用し、下記のデータを横串にすることにより、顧客ごとのエンゲージメント係数=エンゲージメント・スコアを計測しています。

  1. 自社データから:ブランドの購買履歴(購買有無、頻度、金額)
  2. アンケートから:ブランドの知人への推奨度合い
  3. SNSデータから:SNSでの友人数、SNSのページ及び自社サイトのSNSプラグインでのエンゲージメント数、ページへのいいね!

企業・ブランドの優良顧客は顧客の購入量(金額、頻度)で検定されていますが、エンゲージメント・スコアは、このデータにソーシャル・エンゲージメントを加えたものです。これにより、従来の企業顧客価値に、購入量だけではなく、その顧客が自社ブランドの宣伝等になって知人に告知、推奨してくれている効果を加味する事ができます。以前より、「優良な顧客は自社の優秀なセールスパーソン」と言われていることを可視化、価値化することです。従来の金額主体のCRM(Cusotomer Relatioship Management)からソーシャルメディア時代の新しい顧客マーケティングCEM(Customer Engagement Management)と言えるでしょう。

Engagement_score001_4

このエンゲージメント・スコアの優れた点はソーシャル・エンゲージメントと実際の購買の相関も可視化できるところです。このスコアから下記のようなことが見いだせます。

  • ページへのアクション(いいね!、コメント、シェア)と購買の相関性
  • 自社サイトへのアクション(いいね!、コメント、シェア、商品レビュー)と購買の相関性
  • ページとサイト両方にソーシャル・エンゲージメントしていることと購買の相関性

このエンゲージメント・スコアはいくつかのクライアントと検証中です。そのモデルにより計測項目やその重み付けが異なるのですが、一定のノーム値として、うまく共創に活用できればと考えています。

今話題の書「グロースハッカー」では「グロースハッカーは、伝統的なマーケティング戦略を放棄し、検証・追跡・測定が可能なものだけを用いる。彼らの武器は、CMや宣伝や資金ではなく、電子メール、PPC(ペイパークリック)、ブログ、プラットフォームAPIだ。古い世代のマーケターが「ブランディング」や「マインドシェア」などの漠然としたものを追い回している間、グロースハッカーはひたすらユーザーと成長を追跡する」(名著「ロングエンゲージメント」著者京井さんのブログより)とあり、まさに計測できるものだけで成果を追求して行こうとものです。

Facebookページ運用の費用対効果はより一層精緻化を求められる中、様々なアプローチが必要になってきていますね。この点は今後も掘り下げて行きます。

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