「脱原発」はホントに可能なのか?
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福島第一原発の事故以来、脱原子力を図るために自然エネルギーの普及を進めていこう!という言説を耳にします。太陽光や風力、水力といった再生可能エネルギーを増やしていくことで、安心で安全なエネルギー供給を確保していこうという取組みはまったく正論ですが、現状の電力インフラや利用状況、コストの観点からは決して容易なことではありません。
現状の電力インフラは、主に海岸線上に造られた火力や原子力発電所から長い送電線を経て都市などに供給される形となっています。どうして海岸線に発電所があるかといえば、発電するために火力や原子力の熱エネルギーから高圧蒸気をつくってタービンを回すという仕組みのためです。つまり大量の水を循環させ、またエネルギー源となる石油やウランが海外から手に入りやすい条件として、海岸線が選ばれているのです。
このような発電所で集中的につくられた電力は、交流送電によって高圧線から変電所を経て各家庭に至るまで電圧調整を繰り返して送られていきます。山の上に造られた巨大な送電線から電柱の上のコンデンサに至るまで、電力会社によって管理された電力網はこの前提条件の下に安定的に運用されています。
東京電力に公的資金を投入するために、この送電網を国有化して開放し、マーケットメカニズムによって発電の自由化を促進しろといった議論も散見されます。でも、このような巨大な発電所から遠くに向けて送電することが前提の送電網は、基本的に自然エネルギーのような分散電源を嫌います。固定買い取り制度が実施されていても、これらの系統には5%以上戻せないというのが実態です。
つまり、脱原発を行なうことはこれら巨大な送電網もすべて刷新しなければいけないということです。自然エネルギーの不安定な電力供給に対応した仕組みをイチから考えて、建設していかなければいけないのです。この意味において、大都市で暮らしている人々が脱原発を叫ぶことは構造的な矛盾を抱えていることになります。
基本的に原発はベースロードと呼ばれる昼夜問わず運転し続ける発電システムですから、それを火力発電に代えるとなると膨大な石油や天然ガスが必要となります。すでに電力各社は資源獲得に動いていますが、世界的に原発政策が見直されるなかでその調達コストは高騰しています。それは私たちの電気料金に跳ね返ることでしょう。
また昼夜の電力消費の差が激しい現状では、昼間のピーク電力に合わせて火力発電の設備を整えたとしても夜間にはそれが余剰設備になってしまう可能性が高いです。設備の稼働率が低下すれば、これまたコストが上がる原因となりますから、今後とくに大都市に住む人は高い電気料金を覚悟しなければいけません。
さて、これまで繰返し「大都市」というキーワードで脱原発の難しさを述べてきました。そこには当然アンチテーゼが存在します。つまり、もし本気で脱原発を進めるのであれば、中山間地を中心とした「田舎」において自然エネルギーを自給する暮らしを構築して、そこに住む人口を増大させることが唯一の解だと考えています。
中山間地では太陽光はもちろん、風力や水力に使える自然エネルギーはたくさん存在します。とくにマイクロ水力発電は、24時間365日ずっと発電し続ける性質のものですから、原発代替のベースロードに成り得ます。らせん水車のように、農業用水路や河川の上流域に設置すれば、それだけでかなりの電力が賄えるものもあります。らせん構造は風力発電でも出てきていますね。
水利権の課題があるマイクロ水力発電に比べて、木質バイオマスを活用したエネルギー供給はさらにカンタンに導入できます。そもそも家庭で使用するエネルギーの半分は熱エネルギーですから、木質バイオマスで直接熱を供給しながら発電できれば、エネルギー変換効率を上げながら無駄なく資源を利用することが可能となります。
実際に「ガシファイヤー」というバイオマスガス化燃焼ボイラーは、燃焼効率90%以上を誇る国産技術であり、伐ったばかりの生の丸太でも効率的に燃焼させることが可能です。
これらの要素技術を組み合わせていって、さらに電力負荷を平準化させるエネルギー蓄積のシステムを導入することで、初めて原発に依存しない新しいエネルギー供給網を地産地消でつくりあげることができます。これら中山間であれば当たり前の条件で稼働する仕組みが小規模分散的に配置され、長い送電網が不要な形で運用し徐々に巨大な電力インフラに依存しなくてもよい体制をつくっていくことが脱原発の現実的な方法でしょう。
だからこそ、私は中山間地で新しいエネルギー供給の形をいち早く実現させるために動いています。原発が必要か不要かを語っている段階ではなく、原発に依存しない具体的な手段を構築することで、構造的な矛盾を回避しながらリスクヘッジしていく段階だと考えています。
私は脱原発を最短で達成するために、ライフスタイルを変えました。だからこそ、脱原発は可能であると言い切れる強さを手に入れたのです。
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現状の電力インフラは、主に海岸線上に造られた火力や原子力発電所から長い送電線を経て都市などに供給される形となっています。どうして海岸線に発電所があるかといえば、発電するために火力や原子力の熱エネルギーから高圧蒸気をつくってタービンを回すという仕組みのためです。つまり大量の水を循環させ、またエネルギー源となる石油やウランが海外から手に入りやすい条件として、海岸線が選ばれているのです。
このような発電所で集中的につくられた電力は、交流送電によって高圧線から変電所を経て各家庭に至るまで電圧調整を繰り返して送られていきます。山の上に造られた巨大な送電線から電柱の上のコンデンサに至るまで、電力会社によって管理された電力網はこの前提条件の下に安定的に運用されています。
東京電力に公的資金を投入するために、この送電網を国有化して開放し、マーケットメカニズムによって発電の自由化を促進しろといった議論も散見されます。でも、このような巨大な発電所から遠くに向けて送電することが前提の送電網は、基本的に自然エネルギーのような分散電源を嫌います。固定買い取り制度が実施されていても、これらの系統には5%以上戻せないというのが実態です。
つまり、脱原発を行なうことはこれら巨大な送電網もすべて刷新しなければいけないということです。自然エネルギーの不安定な電力供給に対応した仕組みをイチから考えて、建設していかなければいけないのです。この意味において、大都市で暮らしている人々が脱原発を叫ぶことは構造的な矛盾を抱えていることになります。
基本的に原発はベースロードと呼ばれる昼夜問わず運転し続ける発電システムですから、それを火力発電に代えるとなると膨大な石油や天然ガスが必要となります。すでに電力各社は資源獲得に動いていますが、世界的に原発政策が見直されるなかでその調達コストは高騰しています。それは私たちの電気料金に跳ね返ることでしょう。
また昼夜の電力消費の差が激しい現状では、昼間のピーク電力に合わせて火力発電の設備を整えたとしても夜間にはそれが余剰設備になってしまう可能性が高いです。設備の稼働率が低下すれば、これまたコストが上がる原因となりますから、今後とくに大都市に住む人は高い電気料金を覚悟しなければいけません。
さて、これまで繰返し「大都市」というキーワードで脱原発の難しさを述べてきました。そこには当然アンチテーゼが存在します。つまり、もし本気で脱原発を進めるのであれば、中山間地を中心とした「田舎」において自然エネルギーを自給する暮らしを構築して、そこに住む人口を増大させることが唯一の解だと考えています。
中山間地では太陽光はもちろん、風力や水力に使える自然エネルギーはたくさん存在します。とくにマイクロ水力発電は、24時間365日ずっと発電し続ける性質のものですから、原発代替のベースロードに成り得ます。らせん水車のように、農業用水路や河川の上流域に設置すれば、それだけでかなりの電力が賄えるものもあります。らせん構造は風力発電でも出てきていますね。
水利権の課題があるマイクロ水力発電に比べて、木質バイオマスを活用したエネルギー供給はさらにカンタンに導入できます。そもそも家庭で使用するエネルギーの半分は熱エネルギーですから、木質バイオマスで直接熱を供給しながら発電できれば、エネルギー変換効率を上げながら無駄なく資源を利用することが可能となります。
実際に「ガシファイヤー」というバイオマスガス化燃焼ボイラーは、燃焼効率90%以上を誇る国産技術であり、伐ったばかりの生の丸太でも効率的に燃焼させることが可能です。
これらの要素技術を組み合わせていって、さらに電力負荷を平準化させるエネルギー蓄積のシステムを導入することで、初めて原発に依存しない新しいエネルギー供給網を地産地消でつくりあげることができます。これら中山間であれば当たり前の条件で稼働する仕組みが小規模分散的に配置され、長い送電網が不要な形で運用し徐々に巨大な電力インフラに依存しなくてもよい体制をつくっていくことが脱原発の現実的な方法でしょう。
だからこそ、私は中山間地で新しいエネルギー供給の形をいち早く実現させるために動いています。原発が必要か不要かを語っている段階ではなく、原発に依存しない具体的な手段を構築することで、構造的な矛盾を回避しながらリスクヘッジしていく段階だと考えています。
私は脱原発を最短で達成するために、ライフスタイルを変えました。だからこそ、脱原発は可能であると言い切れる強さを手に入れたのです。
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