訪問型営業とデジタルセールス:意識することの違いとは
私の現在の仕事は、デジタルセールスです。デジタルセールスとはどんな営業手法なのかは、これまでそれを支えるツールとともに何度かご紹介してきました。
簡単に言うと、各種デジタルツール(専用Webサイト、チャット、Web会議等)と電話を駆使することで、お客様に自社のソリューションをご案内して案件を創出し、その後お客様とのやり取りを経て案件成約(契約締結)までを行うというものです。前回の記事でも書きましたが、アポを取るだけ、製品を案内するだけ、事務処理をするだけ、ではなく、あくまで営業です。
日常の仕事の進め方の中では、製品ご紹介資料をお客様にご覧いただきながら電話で説明をする、またはお客様から感想をお聞きする、というのが基本になります。あるいは、Webセミナー(Webinar)の講師という立場でソリューションを説明することもありますが、このときにはこちらとしては面識のないはじめての複数のお客様に一方的に語りかける、ということになります。
直接顔が見えない分、説明は丁寧に行うように心がけています。美声を持っているわけでもなく、滑舌がいいというわけでもないので、意識してはっきり、ゆっくり発声するようにしています。それでもWebセミナー終了後に聞き取りにくかった、あるいは眠気を誘う説明だったとのコメントが返ってくると少し落ち込みますが。
顔が見えないということは、こういった話の内容だとお客様はこう思うだろうな、あるいは、自分の意図しない方向で解釈される可能性がある際には補足をいれるなど、十分に事前の話の内容、説明資料を意識して組み立てます。その意味では、電話での営業活動、Webセミナーにおいては、自分がシナリオライターにならなければいけないと思っています。
このような手法が通常の活動の大半を占めますが、時にはお客様を訪問しての提案活動をすることもあります。この場合にももちろん事前にシナリオを準備していくのですが、Face to Faceですとやはり思ったようにはいきません。説明の途中で質問が入るのは普通にありますが、そこから思いもかけない方向に話が広がっていくこともよくあります。その場合には柔軟な対応が求められますので、自分の持っている知識をフル稼働させて回答しますが、やはりその場で答えられないものもあります。その場で答えられない分、後で回答する際により高い納得感を持ってもらうためには、お客様の質問の意図するところは何か、それに回答するとお客様は次にどう進められるのか、ということをできるだけ質問をもらったその時点で引き出すようにする必要があると考えます。このフェーズでは、電話でのご紹介の際と比較すると、練りに練ったシナリオではなく、臨機応変な対応の方に重きが置かれます。ベタな言い方ですが、コミュニケーションスキルが求められるのです。
私は長いこと訪問型の営業でした。今はデジタルセールスです。デジタルセールスと訪問型営業の両方を経験していますので、お客様の特性や提案の進み具合によって、その時点で最適な手法を取ることができているのではないかと思っています。今日は訪問なのでこっちの方法、今回はWeb会議での説明なのでこうと決めつけるのではなく、その時々の状況に応じて適切に組み合わせて対応するのです。そういったことができているというのは自己分析に過ぎませんが、そのことを常に意識しているとは言えます。
世の中の営業にはいろいろな方法があると思います。いま自分がやっているやり方とは別の観点、別の手法でのやり方を持っておく、試してみる、というのも営業としての成長につながると思いますが、いかがでしょう。
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