マーケティングの肝、のようなもの
営業に替わって5ヶ月目。おお、営業とはこんなものだったのか、と必要以上に驚きつつ、営業を楽しんでいます。いままで20年ほどずーっとマーケティングをしてきたので、なるほど営業とマーケティングの違いはこの辺かな、と気づくことも、ままあります。
特に営業しか経験していない人がマーケティングを考えると、マーケティングは営業活動の前段階として、お客様の興味を引くための一手段に位置づける人もいます。リードを作るとか、パイプラインを作ることがマーケティングの仕事という人もいますが、そういったことは Go to market といって、お客様を絞り込んでいく手法として、15年以上も前に流行った方法だよな、と思い出したりします。
営業(セールスパーソン)がお客様に対して接し、セールストークでお客様の興味を引き出し、購買につなげていく、という行為は、商業が始まって以来、ずーっと続いているものです。それと同時に、マーケティングなんて言葉が存在しない昔から、評判を立て、お客様の意識の中にしっかりと埋め込み、それを購入することが当たり前と思えるほどに、お客様の心をつかむ方法。そういったものも古くからあると思います。
土用の丑の日にはウナギを食う。ウナギは土用の丑の日ではなく、秋になった方が脂がのっておいしくなるのに、わざわざ夏に喰う。これが平賀源内のアイデアであることは有名です。またキャッチコピーのようなものも、昔から使われてきました。
「山は富士、酒は白雪」
なんか有名ですね。だからどうした、と言いたいけど、まず、山は富士と断定し、その断定と同じレベルで酒は白雪なんだ、とその断定を意識下にすり込みます。
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最近ちょっと興味があって、大手コンビニの動向を見ているのですが、各社ともマーケティングに特徴があるなあ、と思っています。よくCMで流れるキャッチです。
「セッブーン イレブーン いい気分♪」
「サンクッス♪」
「あなたと、コンビに、ファミリーマート♪」
「あいーてます、あなたのローソン♪」
特徴的なのは、セブン・イレブンで、
「セッブーン イレブーン ほにゃららら♪」
でいいんですね。つまり、最初の「セッブーン イレブーン」を記憶に残すことがとても重要なのです。「コンビニ = セッブーン イレブーン」という条件反射ができてしまえば、マーケティング的には勝ちです。
私は、ファミマの大ファンですが、
「あなたと、コンビに、ファミリーマート♪」
は、ファミリーマートの会社の基本方針そのものなんですね。でも、この歌で「ファミリーマート」という名前が出てくるまでに、1秒以上かかってしまう(たぶん2秒ぐらい)。そして、マーケティングでは、出会った一瞬が勝負なんですね。テレビのCMでも、雑誌の広告でも、Webのバナーでも。
私が個人的にファミマへ推奨するとすれば、
「ファ・ミッ・マッ♪」
といった曲に変更したらいいと思います(すみません、テレビ見ていないので、すでに替わっていたらお許し下さい)。どんな業界のマーケティングでもやっていることです。たとえば、「やまーだでんき!」「プレイステーション」「インテル、入ってる」「ヒタチィ インスパイアー ザ ネクスト」・・・
そして、営業とマーケティングの違いは、こんなところにあるんじゃないかな、と常々思っています。