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『自国では通用するが他国では通用しない価値観』 その1.自分の責任外に口を出す・手を出す

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私の最寄りの駅、東急田園都市線の青葉台には、バスターミナルがある。朝、信号を守らず、バスの間を縫って道を渡る人がいるので、東急(だと思うけど) が、警備員を雇って、交通整理なんかをしている。たぶん退職後、再雇用でのお仕事なんだろうね、60代のおじさんが旗持って、信号が変わると、

「はい、お渡り下さい。今日もご乗車ありがとうございます。」 

って言ってる。普通の風景、普通のおっさん。たぶん、自発的に言ってるんだろうね。

でも、他の国、たとえばアメリカでも、ヨーロッパでも、アジアの国でも、交通整理をしている警備員のおっさんが、こんなことを言うとは思えないなぁ。「ご乗車ありがとうございます。」って「お礼」を言うのは、警備会社の仕事ではない。

決して、このおっさんに「ご乗車ありがとうございます。」って言うなと言っているのではない。でも、このように自分の責任範囲外に比較的気楽に触れるのは、案外、日本的のような気する。そして日本以外では割と見かけない気がする。

よくあるのが、日本のミーティングの場合、それぞれの責任を比較的明確にせず、みんなで話し合って、なんとなく空気で決めてしまう、ということがあると思 う。IBM時代、アメリカ人が議長で、参加者がほぼ日本人という会議があった。製品価格の説明をしたところ、まったく、価格決定に関係のない方が、価格が 高いのではないか、という発言があった。議論が続きそうになったとき、そのアメリカ人の議長が、「あなたはその件について、発言する権限がないのだから、 この議論はやめよう。」と止めてしまった。

日本人だけの会議だったら、たぶん価格が高いという事が議題として、話が続いただろう。これは、聖徳太子の十七条憲法の

十七に曰く、夫れ事独り断むべからず。必ず衆(もろもろ)とともに宜しく論(あげつら)ふべし。
十七にいう。ものごとはひとりで判断してはいけない。かならずみんなで論議して判断しなさい。

の精神なので、日本人の常識としては当たり前。なのだが、日本人でない、たとえばアメリカ人だと、権限のない人が発言してはならない、というのが常識なんだろう。

実は現在、弊社、サン・マイクロシステムズのCEOとCOOは、中国系のシンガポール人なのだが、彼らがいる会議で、やはり同様のやりとりがある。

『話し合えば、なんでも解決できる。』と日本人は考えがちだが、多民族の会議や組織においては、越権して、口出しする事を、良いことだと思わない人もいる 事を念頭に置いておくべきだろう。さらに蛇足を言うなら、『話し合えば、なんでも解決できる。』のだから、話し合えば戦争は回避出来るはずだ、とは、国際 社会では発言すべきではないだろうなぁ。

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