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【真の国際人】は、この人たちだと思う

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7月3日4日、六本木ヒルズで「SWIFT Business Forum 2008 Tokyo」が開催され、参加させてもらった。SWIFTは、SWIFTのホームページを参照させてもらうと、「ベルギーで設立された共同組合形式の団体 であり、高度に安全化された金融メッセージングサービスを提供する、金融業界の標準化団体です。」ということだそうだ。

内容がぎっしり詰まった講演ばかりだったので、全体をご紹介するのはとても無理だが、感想を少々。

世界の先進的な金融は、すでに国際標準化されている

香港金融管理局(HKMA)のExecutive Director, Financial Infrastructure, Esmond Lee氏の講演。HKMAでは、クロスボーダー・トランザクションを実行できる環境にするために(Harmonization)、ローカル・マーケットイ ンフラだった香港の金融基盤を、SWIFTが提供するSWIFTNet に変えてしまった。CHATSネットワークという。

中国本土のある企業が、たとえばインドと交易を行い、クロスボーダー支払いをする際に、インドの銀行がSWIFTのメンバーであれば(普通銀行は SWIFTのメンバーだが)、このCHATSネットワークを使って、中国本土のその企業の銀行が、そのまま、一気通関で支払いを受けることができる。支払 い通貨は米国ドル、ユーロ、人民元のいずれか。

簡単にいってしまうと、ローカルの支払い機構を国際化してしまったのだ。このCHATSネットワークのおかげで、香港の金融市場は、

  1. First Economic Freedom
  2. China Factors
  3. Free Flow Capital

の特徴を持ち、国際金融からたいへんにアクセスし易くした。

金融市場として、国際化が遅れた東京は第九位!

これにより、香港の金融市場は第一位のロンドン、第二位のニューヨークに次いで、世界第三位となった。ちなみに第四位はシンガポール、東京は第八位のシカゴ(アメリカの地方金融市場)に次いで第九位、第十位にシドニーが来る。東京は、第九位なのである。

この現状を打破するためには、国内限定のインフラやデータフォーマットを破棄し、データフォーマットをネットワークを国際化する必要がある。さらには、国 際金融を日本で推進する専門家の欠如が問題になる。金融の知識が無くとも、英語ができなければコミュニケーションが出来ず、孤立する。日本の金融は、まさ に「国際的孤立」の瀬戸際に来ているのだ。

日本でしか通用しない事が多すぎる。国際標準化できていないので、日本にアクセス出来ない。いまや東京証券取引所の取扱高の 70% は日本に在住する投資家ではない。いわゆる外国人投資家が 70% を占める現状を考えれば、国際化は避けられない方向性だと思う。

金融庁の「金融・資本市場競争力強化プラン」

金融庁もすばやく対応し「金融・資本市場競争力強化プラン」を 2007 年 12 月 21 日に公表した。これに対して、在日米国商工会議所(ACCJ)は、これを歓迎するプレスリリースを出した。

金融・資本市場競争力強化プランの中で、「国際的に通用する金融・法務・会計等の専門人材の育成・集積」を行う必要性に言及している。このSWIFT Business Forum のパネル・ディスカッションでも、人材は「Grow or Buy」である、との発言があった。「Buy」、つまり人種的に日本人でなくとも良いと金融のキーマンたちは言っているのである。

英語が出来て、金融・法務・会計等の専門知識を持つことが出来れば、職は約束されたようなものだ。若い方々、トライしてみてはいかがでしょう。

ふっと気が付いたのだが、このSWIFT Business Forum に参加されている人たち、半分ぐらいは通訳のレシーバーを付けていなかった。SWIFTのCEOは、ラテン系のひとだが、たいへんきれいな発音で、ジョー クも上手なのだが、彼がジョークを言うとわっと笑いが起こる。ノーマルな英語のスピードをちゃんと聞き取っている。

ここにいる人たちは、銀行や証券会社の国際部などに所属され、国際的な仕事をされているのだ。そして、英語も不自由なくできる。この人たちが、日本の国際 人なのだな、と思った。多くの日本人講演者が、

「金融立国の志」

という言葉を挙げていた。既得権を振りかざす、社内外の抵抗にはあうのだろうが、基本的に この人たちが日本の金融の国際化を推進していくのだな、と感じた。

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金融業界に比べて、日本の IT のグローバライゼーションを思うと、なんか、とても恥ずかしく、情けない気持ちになった。日本の各業界の中で、一番国際化が遅れているのは、いまや IT 産業だと思う。

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