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ITの技術や方向性考え方について別の選択肢を追求します

【サンのソーシャルメディアの現状】もちろん日々変化しますけど・・・

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「ナレッジ!?情報共有・・・永遠の課題への挑戦」の吉川さんから、思いっっっきりの無茶振りをされてしまい、とんでもなく、うれしいので、サンのソーシャ ルメディアの考え方と従業員について、簡単に触れます。

Slideshare に載っている、「Social Media at Sun Microsystems」は、Lou OrdoricaLinda Skrocki の共著によるものだ。かれらは、マーケティングで、特にソーシャルメディアでのマーケティングを担当している人たちだ。私はLinda とサン・ブロガーのオフ会であったことがある。とても魅力的で落ち着いた、すてきな人でした。

Torutakahashi_lastpageslide_2 サンで、人を紹介するときには、よくこのようにブログをリンクして紹介する。私の場合は、この ITmedia のブログページを紹介している。自分の作ったスライドなどの最後にブログの URL を付けたりする。名刺にもブログの URL を記載している。

blogs.sun.com (サンのブログサイト)では、7/25 現在、5117 名の社員が、個人やチームのブログを更新している。現在全世界で社員は 34,200 人ぐらいなので、全社員の 15% ぐらいがブロガーだ。幽霊ブロガーも多いので、アクティブなブロガー 10% ととしても、500 名以上が頻繁にブログを更新している。

サンでのブログは、Lou / Linda のスライドにあるように、マーケティングや告知だけでなく、技術情報、カストマーサービス、開発中・後の製品情報など、あらゆる内容が掲載されている。個 人的な趣味の話でも、なんでも良い。ブログはパブリックに公開しているので、基本的にサン以外の人のアクセスを前提にしている。もちろん、社内からの閲覧 も頻繁だ。

ただし、企業が企業の名前を冠して開いているサイトなので、ある程度のルールは存在する。「Sun Guidelines on Public Disclosure」だ。ここに書かれている内容は読んでみると、「なぁーんだ」というレベルだ。二方向のコミュニケーション、機密を漏らさない、勝手 に約束しない、ポリシーを守る、礼儀正しく、正直に、匿名性は最小に、法律上掲載できないビジネス上の数値は書かない、品質を保つ、影響度を考える、など など。当たり前の事だが、企業が開いているサイトとして守るべき最低限のルールだ。

サンは、ブログだけでなく、Wiki サイトも持っている。これも、ブログ同様パブリックに公開していて、多くはリンク集だったり、作成した資料(文書やスライド)を置くスペースに利用してい る。例は私の同僚、若手で期待している佐藤公理君のWiki ページだ。 

これ以外でサンがパブリックに公開し提供しているサイトは、Sun ForumSun Developer Network (SDN)BigAdmin (システムアドミ用のソーシャルメディア)などがある。

さらにさらに、外部のソーシャルメディアも、協力して推進する方針だ。まあ、多くのソーシャルメディアがサンの製品(たとえばMySQL)をガンガン使っ ているので、外部のソーシャルメディアが発展するのは、サンのビジネスにもなるからだけれど。

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いままで、企業内のみで、しかも特定の人が書いていた情報を、その道の専門家が直接書いたり、情報を貼り付けたりしています。たとえば、Javaの父、ジェームズ・ゴズリンなども書いています。また、サンのソーシャルメディアには、サン以外の人たちの技術や意見、コメントなどが記述されているので、サンの実力、プラスアルファの内容になっています。

特定の人が書いていた情報 は、専門性が問題ですが、逆に、問題・リスクを最小限にすることはできました。サンのようにブログやWiki で専門家が直接情報を外部に公開する事は、専門性を高め、直接的なかわりに、マーケティングで管理・制御していた事が出来なくなります。そこを踏ん切りをつけるかどうか、変化に対応するのかどうか、が決め手だと思います。サンでは、Lou や Linda のようなソーシャルメディア・マーケティング担当を作って運用しています。

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cetwo の話ですが、これは、機密情報を含んだサン社内用の Wiki なのですが、いままでのWiki はチームでそのページを担当するため、誰がオーナーなのかわからず、内容が陳腐化しても更新されなかったりしました。さらに、Wiki だとカテゴリー別に分かれているので、サーチが難しかったりします。

cetwo は SunSpace という名前ですが、Wiki だけでなく、News やファイルの共有、Forum などを統合し、オーナーを作成した個人に設定し、友人、同僚、専門家を接続してしまう機能がついています。すでに、自動的に全社員個人個人のサイトが作成されてお り、個人が興味のある内容について登録したり、ニュースを見たりすることが出来ます。参加率や貢献率などの統計まで出てくるので、モチベーションも上がる ようになっています。

SunSpace を開設するにあたり、Adaptavistをベースに作られているようです

名が表すように、企業内向け、業務向けのMySpaceみたいなもの、と考えていただいてもいいか、と思います。

 

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いずれにせよ、ソーシャルメディアを立ち上げる際には、大げさに言えば、その企業のボトムからトップまで、全員の同意と決意、積極的な「参加」が必要だ、と思います。サンは画一的で一方的な意見は嫌われますが、「The Network is the computer」と同じように、「参加の時代」を信じている人の集まりなのだ、と信じます。


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