アジア太平洋地域企業の50%、2027年までにコスト効率化を目的としたクラウドモダナイゼーションを推進
IDCは2025年1月24日、アジア太平洋地域(日本除く)におけるクラウドモダナイゼーションの進展とその影響をが予測しました。IDCが発表した「IDC FutureScape: Worldwide Cloud 2025 Predictions -- Asia/Pacific (Excluding Japan) Implications」によると、2027年までに50%以上の企業がクラウドアーキテクチャの半数を効率化し、イノベーションと競争力の向上を目指す見込みと予測しています。
IDC Predicts: 50% of Asia/Pacific* Businesses to Modernize Cloud for Cost Efficiency by 2027
IDCの調査では、アジア太平洋地域の77%以上の企業が、デジタルインフラストラクチャを重要な戦略の位置づけとして認識していることが明らかになりました。この結果、多くの企業がAIOps(AIを活用したIT運用)を取り入れ、インフラ、アプリケーション、ネットワーク、コストの最適化を進めています。また、生成AIや従来型AIの台頭が、この転換を一層加速させ、生産性向上や新たなビジネスモデルの実現につながっています。
2028年までに、新規開発されるアプリケーションの90%以上がマルチクラウド対応となり、プラットフォームが提供する機能を活用する形でイノベーションを推進すると予測しています。特にPaaS(Platform-as-a-Service)の採用が進み、開発者が効率的にアプリケーションを構築・展開できる環境が整備され、マルチクラウドエコシステム内での柔軟性が向上します。
IDCアジア太平洋のクラウドサービス・ソフトウェア部門リサーチディレクターであるダフネ・チャン氏は、次のように述べています。
"2025年のAIピボットは、アジア太平洋地域の企業がクラウドとデジタルトランスフォーメーションに取り組む姿勢を根本的に変えるでしょう。マルチクラウドアーキテクチャとAIを活用する企業は、より迅速にイノベーションを起こし、市場の需要に対応し、他に類を見ない顧客体験を提供する柔軟性を手に入れます。"
このAIピボットにより、AIがビジネス運営のあらゆる側面に統合され、成長と競争力を高めるカギとなることが強調されています。
主なクラウド予測(2026年まで)
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Air-Gapped Clouds(エアギャップクラウド): ソブリンクラウド戦略の一環として、35%の企業が主権的な制御を提供するネットワークインフラプロバイダーを求める
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Specialized Clouds(特化型クラウド): 60%の企業が、高速なAIやその他の加速アプリケーションの導入とスケーリングを最適化する特化型クラウドコンピューティングサービスを活用する
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GenAI for Cloud Security(生成AIによるクラウドセキュリティ): マルチクラウド環境の40%が、生成AIを利用してセキュリティおよびアイデンティティ管理を効率化し、手作業の負担を50%削減する
クラウドとAIが交差するこの時代、企業はこれらの技術を活用して競争力を強化し、顧客体験の向上を図る必要があります。アジア太平洋地域の企業がこの流れをいち早く取り入れることで、グローバル市場でのリーダーシップを確立する未来が期待されます。
出典:IDC 2025.1