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2025年、世界のパブリッククラウド市場規模は7234億ドルに到達 - Gartner予測

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ガートナーは2024年11月19日、2025年におけるパブリッククラウドサービスの市場予測を公表しました。

Gartner Forecasts Worldwide Public Cloud End-User Spending to Total $723 Billion in 2025

ガートナーの予測によると、パブリッククラウドサービスのエンドユーザー支出は、2024年の5957億ドルから21.5%増加し、7234億ドルに達すると予測しています。成長の背景には、AI技術の活用がビジネス運営や成果のサポートにおいてクラウドコンピューティングの役割を加速させていることがあるといいます。

ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの普及が牽引

ガートナーの副社長でありアナリストであるSid Nag氏は、「分散型、ハイブリッド、クラウドネイティブ、マルチクラウド環境が拡大し、これを支えるクロスクラウドフレームワークが、パブリッククラウド市場の急成長を支えている」と述べています。さらに、Gartnerは2027年までに90%の企業がハイブリッドクラウドを採用すると予測しています。このような環境では、生成AIの活用においてデータの同期が大きな課題となる見込んでいます。

クラウド市場のセグメント別成長率

2025年には、クラウド市場の全セグメントが2桁成長を記録する見通しです。特に「クラウドシステムインフラストラクチャサービス(IaaS)」と「クラウドアプリケーションインフラストラクチャサービス(PaaS)」がそれぞれ24.8%および21.6%の成長率を示しています。

表1. 世界のパブリッククラウドサービス エンドユーザー支出予測(単位:百万ドル)

セグメント 2024年支出 2024年成長率 (%) 2025年支出 2025年成長率 (%)
クラウドアプリケーションインフラ(PaaS) 171,565 19.1 208,644 21.6
クラウドアプリケーションサービス(SaaS) 250,804 18.1 299,071 19.2
クラウドデスクトップ(DaaS) 3,466 7.7 3,849 11.1
クラウドシステムインフラストラクチャ(IaaS) 169,818 21.3 211,856 24.8
市場全体 595,652 19.2 723,421 21.5

出典:Gartner(2024年11月)

CIPS(クラウドインフラおよびプラットフォームサービス)の急成長

生成AIの高度なモデルや推論、トレーニングを支える需要が高まり、CIPS(cloud infrastructure and platform services)市場が大きく成長すると予測しています。ガートナーは、2025年のCIPSへのエンドユーザー支出が3010億ドルに達し、IaaSとPaaSのIT支出の72%を占めるとしています。この増加は、複雑なワークロードを簡素化する統合型プラットフォームを求める企業ニーズが高いためです。

また、複数のクラウド間で統合を実現する「クロスクラウド統合フレームワーク(CCIF)」が、CIPSの採用をさらに促進する見込みです。特に生成AIを活用した高度なワークロードに対応するため、クロスクラウドの連携機能が重要視されています。

Sid Nag氏は、「多くの企業がCIPSを採用する理由は、単一の統合プラットフォームがアプリケーションの開発、デプロイメント、運用を簡略化するためだ」と述べています。

AIとクラウドの未来を見据えて

生成AIの進化に伴い、パブリッククラウド市場は引き続き大きな成長を遂げる見通しです。ハイブリッドクラウドやマルチクラウド戦略の普及により、企業は分散化されたデータ環境でも一貫性を持ってデータを活用し、競争力を強化することが求められています。

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