2024年までに、数百万人がデジタル・コマースを濫用し、過剰なオンライン・ショッピング依存症に
米調査会社のガートナーは2019年11月14日、「IT部門およびユーザーに影響を与える 2020年以降に向けた重要な展望」を発表しました。
オーグメンテーション (拡張)、意思決定、感情、コンパニオンシップ (仲間などの他者との関係性) という4つの側面が、人間によるテクノロジ利用の新たな現実を形成するとし、重要な戦略的展望トップ10をあげています。
- 2023年までに、障害のある従業員を雇用する機会は、AIや最新テクノロジによって3倍に増加し、就業への障壁が低くなる。
- 2024年までに、AIによる感情の識別が、表示されるオンライン広告の半分以上に影響を及ぼす。
- 2023年末までに、IT部門の30%は、従業員のヒューマン・オーグメンテーションに対応するために、「個人の拡張能力の業務利用 (Bring Your Own Enhancement: BYOE)」によってBYODポリシーを拡大する。
- 2025年までに、銀行口座を持たないスマートフォン所有者の50%が、モバイルでアクセス可能な仮想通貨口座を利用する。
- 2023年までに、G7のうち4カ国以上では、AIおよび機械学習の設計者を監督するための自主規制団体が設立される。
- 2023年までに、プロフェッショナルな従業員の40%が、音楽ストリーミングのエクスペリエンスのように、ビジネス・アプリケーションのエクスペリエンスや機能を調整する。
- 2023年までに、世界のニュースやビデオ・コンテンツの最大30%が、ディープ・フェイク・テクノロジに対抗するブロックチェーンによって本物であると認証される。
- 2021年末までに、従来型の大企業は、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みに対し、平均して想定の2倍の期間とコストをかけることになる。
- 2023年までに、個人の活動は「挙動のインターネット」を通じてデジタルに追跡され、全世界人口の40%のメリットやサービスの資格に影響を及ぼす。
- 2024年までに、数百万人がデジタル・コマースを濫用し、金銭的なストレスに直面することから、世界保健機関 (WHO) は過剰なオンライン・ショッピングを依存症と認定する。
この中から、「2024年までに、数百万人がデジタル・コマースを濫用し、金銭的なストレスに直面することから、世界保健機関 (WHO) は過剰なオンライン・ショッピングを依存症と認定する。」に焦点をあててみたいと思います。
デジタル・コマース・プラットフォーム経由の消費者支出は、2022年末までに前年比10%以上のペースで増加し続けるでしょう。オンラインの小売企業がAIとパーソナライゼーションの活用を進めて消費者を効果的にターゲティングし、実際には有していない可処分所得まで支出するよう消費者に促す中で、オンライン・ショッピングの容易さが、数百万の人々に金銭的なストレスを引き起こすことになります。結果として生じる負債や自己破産により、うつ病などストレス性の健康不安が生じるとみられ、WHOが注目しています。
プラマーは次のように述べています。「常習的な行動を促すテクノロジの副作用は、消費者だけに起こるものではありません。オンライン・ショッピングやその他のデジタルな娯楽に興じて仕事がおろそかになる従業員によって生産性が失われる恐れも、CIOは考慮すべきです。さらに、オンライン小売の責任ある実践を支援する規制では、オンライン・ショッピングの見込み顧客に対してカジノやタバコ会社と同様の警告文を提示するように、企業に強いるかもしれません」
と、あるように、デジタル・コマースの利便性が高まり、より個人の趣味嗜好にあわせたパーソナライズが進むことで、個人のキャパシティを超える購入を促すことになり、その結果、負債や自己破産により、ストレス性の健康不安が生じる可能性を指摘しています。ガートナーでは、カジノやタバコのように、警告文を提示するように強いる可能性もあるとしています。
近い将来、「オンライン・ショッピング依存症」が社会問題となってとりあげられていくのかもしれません。