オルタナティブ・ブログ > 『ビジネス2.0』の視点 >

ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備とデータの移転・開放のあり方

»

総務省などは2019年4月24日、「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」を開催し、透明性・公正性確保等に向けたワーキング・グループにおける議論の報告や、データの移転・開放等の在り方に関するワーキング・グループにおける議論の報告、デジタル・プラットフォーマーの取引慣行等に関する実態調査(中間報告)等の報告などの議論・検討を行っています。

今回は、データの移転・開放等の在り方に関するオプション(案) から、データの移転・開放等の在り方について、とりあげたいと思います。

デジタル・プラットフォーマーは、自社のデジタル・プラットフォームに集積するデータを活用して自らのサービスの向上を図る一方で、社会全体で見た場合には、データを囲い込むことによって、競争が制限されるおそれや、それにより、データが持つ価値が最大限に活かされない可能性、利用者の選択の機会が確保されないおそれが生じつつある。という点を指摘しています。

そのため、デジタル・プラットフォームに集積されたデータについて、安全・安心を確保しつつ、自由、円滑、簡易に再利用できるような仕組みが重要となっており、データの移転・開放のための取組を検討することが必要であるとしています。

データの集積によって生じる課題では、公正な競争環境の整備、利用者の選択の機会の確保をあげ、既存法令の適用の限界を指摘しています。

パーソナル・データのポータビリティが確保されないと、当該サービス市場に関する市場支配力が維持されやすくなるため、何らか
の政策的対応が望ましい」などの点をあげています。そういった背景を受け、政府では、データの移転・開放の検討に当たっての基本的な考え方として以下の3点を示しています。

(1)データの移転・開放の必要性
(2)規律するに当たっての考え方
(3)データの移転・開放に関する留意点

データの移転・開放のためのルールに関する論点及び方向性では、

(1)移転・開放の方法
(2)移転・開放の対象の範囲
(3)競争の促進のための移転・開放ルールの内容

の3点をあげています。

(1)移転・開放の方法を少しとりあげたいと思いますが、下図のとおり、データの開示、データの直接移転、データへのアクセスといったものを想定しています。

スクリーンショット 2019-04-27 21.27.39.png

出所:デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会 2019.4

今後の課題では、

データは、経済成長にとって必要不可欠なものとなっており、適切な移転・開放ルールを策定・運用することにより、データの価値が最大限活用され、イノベーションの促進や安全・安心な社会の構築につながることを期待している。

ただし、多くのものが方向性を示すにとどまるものであり、多くの事項について、引き続き検討することとしている。この検討に当たっては、関連する法令や政府内における取組の動向を踏まえるとともに、外国政府との連携を含め、それらの取組と連動しつつ、ステークホルダーの意見も聞きながら、具体的に検討していくことが重要である。また、国際的なルール作りにおいて、日本の関係者がステークホルダーとして積極的な役割を果たすことも重要である。

本ワーキング・グループは、移転・開放ルールを検討してきたが、データの有効活用のためには、単にデータの移転・開放ルールを求めるだけでなく、データの有効活用による情報銀行等の新しいビジネスや、イノベーションを振興する施策も必要である。今後は、振興策についても検討されることが期待される。

としています。

国際的なルールとの連携もあり、継続的な検討ともに、ビジネスが加速する仕組みづくりが重要となっています。

Comment(0)