国内のクラウド成熟度は限定的。デジタルトランスフォーメション(DX)を推進している「成熟度ステージ5」の企業は6.3%
調査会社のIDC Japanは2016年9月15日、「国内クラウド成熟度に関するユーザー調査結果」を発表しました。
IDCでは、企業のクラウドの成熟度ステージや、次のステージに移行するためのガイダンスを『IDC MaturityScape: Cloud』としてまとめ、「ビジョン(Vision)」「人材(People)」「プロセス(Process)」「テクノロジー(Technology)」の4つの特性を成熟度の評価軸として設定し、ユーザーアンケート調査「IDC CloudView Survey」(2015年12月~2016年1月に実施)の結果を分析することによって、企業のクラウドの成熟度を考察しています。
本調査によると、クラウドをデジタル戦略の中核と位置付け、デジタルトランスフォーメション(DX)を推進している「成熟度ステージ5(継続的革新)」の企業は6.3%にとどまりまっています。
出所:IDC Japan 国内クラウド成熟度に関するユーザー調査結果 2016.9.15
本調査では、国内ユーザー企業の44.2%が、クラウドの成熟度ステージ1~2の状況となっています。同ステージの企業は、クラウドの利用価値について、「コスト削減」「IT/業務の効率化」を重要視する傾向があるとしています。その一方で、ITの俊敏性向上など、コスト削減/効率化以上の効果を期待し、実現に取り組んでいる成熟度ステージ3~5の企業は55.9%という結果となっています。ステージの高い企業は、クラウドを単なるコスト削減/効率化の手段から、ビジネス強化のための基盤として考えるようになっています。
つまり、ステージの高いクラウドを活用し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している企業(リーダー企業)と、ステージの低い企業(フォロワー企業)の比較を実施しており、リーダー企業は、現在の成熟度ステージが低くとも、クラウドをIT課題としてだけでなく、ビジネスと結び付けて検証しているといいます。一方、フォロワー企業は、クラウドをIT課題として考えており、ステージが低い企業は「コスト削減」「効率化」に注力しています。
IDC Japanでは、ステージが高い企業であっても「ITガバナンス強化」「ITの俊敏性向上」の取り組みにとどまっており、フォロワー企業が、リーダー企業となるためには、ITとビジネスの間の障壁を取り除く、企業文化の変革が求められているとしています。
また、現在、多くの企業がDXに高い関心を寄せています。しかし、その中核となるクラウドの成熟度は決して高くはない点を指摘しています。IDC では、
企業は、自社のクラウドの成熟度を定量的に評価し、成熟度を高めるためのアクションを実行に移すことが重要である。また、クラウドはIT課題ではなく経営課題として考え、全社的な協業体制によってクラウドファースト戦略を遂行すべきである
とあり、クラウドを経営課題として、協業体制によるクラウドファースト戦略の遂行の必要性を示しています。