ドコモのグーグルとアップル提携等による“反撃”への本気度
皆さんまだ記憶に残っているかもしれませんが、5月に「さて、そろそろ反撃してもいいですか?」という字幕で注目を浴びたNTTドコモの「DoCoMo2.0」のテレビCMがスタートしました。CMの好感度は良かったものの、純増数にはつながらずドコモは苦戦を強いられました(関連記事 ドコモ2.0の宣伝効果と販売効果)。
最近のドコモは“反撃”への本気度が伺えます。いくつかドコモの本気度の取り組みをあげてみましょう。
NTTドコモが冬商戦向けの905iシリーズと705iシリーズを一気に発表しました。純増数で苦戦している中、「全部入り」のケータイで挽回を図りたいという本気度は相当なものだったと感じています(関連記事 NTTドコモの2007年冬モデルへの本気度と潜むリスク)。
そして、ドコモのアップルとのiPhoneの交渉も衝撃的でした。ドコモとソフトバンクがアップルと交渉しているようですが、NTTドコモの社長が、米アップルのスティーブ・ジョブズCEOと直接会談したことを明らかになっており、その本気度が伺えます(関連記事 アップルのiPhoneが日本に上陸することは・・)。
12月25日の日経新聞の朝刊には「ドコモ、グーグルと提携」という記事が一面のトップに掲載されました。株価もグーグル提携の反響を受け、前日比1.63%(+3,000円)と値を上げています。今までの「iモード」ではNTTグループのNTTレゾナントのgooの検索エンジンを使っていましたが、グーグルの検索やGmail等のメール機能などを取り込み、そして全地球測位システム(GPS)などを活用した新サービス開発にも着手するようです。
ドコモはグーグルと提携し、そしてアップルとの提携交渉中ですが、仮にアップルとの交渉が成立した場合に少し気になるところがあります。それは、iPhoneとグーグルとのビジネスモデルの違いです。iPhoneはアップル社で端末からiTune等のサービスまで自社の洗練されたブランドを総合的に提供するのが戦略ですが、グーグルは携帯の無料OSであるAndroidにより携帯端末の共通化プラットフォームをつくるという戦略です。ドコモが、グーグルとアップルの両方と提携するようになったとき、その舵取りは要注目です。
「iPhone、Google Androidそして次世代高速通信無線は大きな波を起こす」でも紹介させていただきましたが、アップルの提携交渉そしてグーグルとの提携は、ドコモの今までのビジネスモデルの方向展開を感じます。今までは例えばiモードを提供し、課金をするといったような垂直統合型モデルでしたが、今回の提携は今までのビジネスモデルに限界を感じ、自らが率先して創造的破壊をしていかなければ競争に生き残っていくのは難しいと判断をしたのではないかと考えています。インターネットの世界と同様に水平分散(連携)型のオープンな環境ができあがれば、一気に端末メーカ等の競争が進み、日本の端末メーカは場合によっては淘汰されることも十分に考えられます。