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Googleの「マテリアルデザイン」はPalm webOSデザイナーの発想

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Google I/O、大したことなかったね、という声もありますが、Googleがブリン&ペイジの目標にブレずに向かっていることがわかって、個人的には面白かったです。

彼らは別に世界征服したいわけでもお金儲けしたいわけでもなくて、コンピュータで人間の世界を広げたいだけ。「おはようからおやすみまで、暮らしを見つめるGoogle」として、いつでもどこでも知りたいことを簡単に、調べようとする前にわかるようにしたい。だから今回は時計とかテレビとか車とかがその手段として加わりましたが、次はロボットで、もしかしたらGoogle Xでは脳とダイレクトに接続できるチップの研究もしてるんじゃないでしょうか。

で、今回の発表で一番わかりにくかったのは(あ、開発者じゃない私にとってはPolymarとか他にもいろいろちんぷんかんぷんでしたけども、それはおいといて)「マテリアルデザイン」。記事でうまく説明できなかったので、「Appleのまねじゃん」などと言われてしまっていますが、どちらかというとPalmのwebOSの流れをくむ思想です。

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というのも、マテリアルデザイン(説明ページでは“design language”という誤解を招く定義になっていますが、デザイン哲学と言った方が近いと思います)を打ち出した中心人物が、Palm出身のマティアス・デュアルテさんだから。

I/Oでマテリアルデザインの説明をしていたお兄さん(チリ出身)です。

デュアルテさん、Androidの父、アンディ・ルービンがAndroidの前に創業したDangerというソフトウェアメーカーを皮切りに、通信キャリアのHelio、Palmを経て2010年にルービンさんのいるGoogleに入りました。一貫してユーザーインタフェースのデザインを担当してきており、LinkedInによると、人生の目標は「人を微笑ませること」。ユーザー中心のデザインを心がけているそうです。

デュアルテさんはICSからAndroidのデザインの中心になっていますが、Chrome責任者だったスンダー・ピチャイ(以前はGoogleの会社概要で「スンダル・ピチャイ」になってたけどいつの間にか「スンダー」に変わってる)がAndroidも統括することになったこともあり、マテリアルデザインはAndroidだけではなく、Googleのすべてのサービス全体に反映されることになります。

マリッサたん、どう思ってるかなぁ(それどころじゃないみたいですが)。

デザインガイドラインをつらつら読むに、なるほどなぁとは思います。「紙とインクを参考にした現実世界の物体(マテリアル)のメタファー」になっているけれど、もちろんまったく同じではなくて、人間の脳が自然に予想するような反応をするようにレスポンスがこまかく設定されます。画面のタッチだろうが音声入力だろうが、人が無意識に「こうくるだろう」と思う反応をする、と。実際にそうかどうかはAndroid Lを使ってみないとわからないですけど、説明動画を見るとちょっと慣れが必要そうです。
いずれにしても元Palmユーザーとしては、Palmの思想がこんな形で継承されているのを見るのは嬉しいことであります。(下は2009年にwebOSのデモをするデュアルテさん。)

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