夏休み読書感想文:リーン・イン──その周到さに舌を巻く
Facebookのシェリル・サンドバーグCOOは、この部ログにも何度か登場しています。Googleを辞めてFacebookに移ったばかりのころに特に(1、2、3、4、5)。あと、最近はこのあたり(6、7は夫のデビッド・ゴールドバーグ氏との2ショット画像付き)。自分で読み返してみても、あはは、煙たがってるなーというのが分かります。
でも、キャサリン・ロッシ著「フェイスブック 子どもじみた王国)」を読んでしまった後、やっぱりサンドバーグさんの「リーン・イン」も読まなくちゃだめかなぁ、と。ロッシさんの描くサンドバーグさんは、ものすごく頭がいいけど、能力のない(ないことはないんですが)人にはものすごく冷たい人、という印象。本人側の本も読まないとフェアじゃないかなと思ったので。
概要は、Amazonなどを見ていただくとして(おい)、私なりの要約は「女性はもっと一歩踏み出して(リーン・イン)、実力を発揮していくべし!」というような。
私は目標も持たず、(目標を持たないからか)ジェンダー差別でひどい目に遭ったこともなく(むしろ得したことはあったと思う)、のんべんだらりと今日にいたっているので、こういうことを言われるとひたすら「ごめんなさいごめんなさい」という気持ちになるんです。自分の口は自分で養ってはいますがそれは当然のことであって、女性の社会進出とか、あんまり関心がなく(ごめんなさいごめんなさい)。
むしろ、そういうこと、苦手だったりして(ごめんなさいごめんなさい)。
ところが、この本は、うまくできています。ものすごく、用意周到です。
私のような意識の低い人間や、「しょせん女は」と思っている人や、「生意気な女は嫌いだ」と思っている人や、「そもそも頭が良くてお金持ちな人の話なんか参考になんないわよ」という人や、なんというか、全方位の仮想敵から嫌われないためにどうすればいいか、というところにものすごく気を配っている本です。
なにしろ序章の最初のページから「たいそう感性ゆたかなグーグルのエンジニアは、この私に「クジラ」とあだ名を付けた」です。
妊娠して大きなお腹をかかえてよちよち歩く自分、それを茶化しながらも暖かく(?)見守るエンジニアたち。
ビシィっと原色のスーツを着てテキパキしているキャリア、というイメージをまずは拭い去り、同時に妊婦の大変さを明るく説明し、しかも自分が社内に溶け込んでいることをさりげなく描写しています。
本編で、マーク(・ザッカーバーグCEO)に「誰からも好かれようとするから思い切ったことができないのだ、と言われた」(74ページ)、という話が出てくるんですが、さもありなん。好かれようというか嫌われたくない人なんだと思います。
なので、少なくとも私は、不愉快な気持ちにならずに最後まで読めました。
それでリーン・インするかどうかは別として(ごめんなさいごめんなさい)。
ところで、日本だと男性でも、この本に出てくる米国の女性と同じような感じ(自分からテーブルにつかないとか、自己評価が低いとか)の人、多いんじゃないかと思うんですよ。私の周囲には、社内でがんがん出世しようとか、やりがいのある仕事を自分からつくってやる人とかいなかったよなぁと。単に、類は友を呼ぶからなのかもしれませんが。
もしかすると、サンドバーグさんが言うのとは全然違う意味で、心当たりのある人は男性もこの本を読んでみるといいかもー、と思いました。男性が読んでも、特に腹が立ったりしないと思います。はい。