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翻訳発注ルール3:翻訳会社に品質管理のしくみについて尋ねる その2

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品質管理のことを書くのは正直勇気がいる。努力はしているが、弊社のサービスが完全だとは口が裂けても言えないし、こういうことを書きながら品質トラブルを起こした時などは、かなりへこむ。が、こういうエントリーを書くことで、品質対してはどこまでもあきらめないぞ!という私自身への鞭かな。

さて、前々回のエントリーの続きである「翻訳会社が行える翻訳家の品質管理」についての補足。

3.プロジェクトに最適な翻訳家の選定
一流の翻訳家にはどんな仕事をさせてもそこそこの品質を出すのは経験上事実だ。が、やはりオールマイティな翻訳家はおらず、得手・不得手の分野はある。
・例えば業界知識の得手不得手によるもの
知識が薄い分野の仕事は翻訳の品質も下がりがち
・文体の得手不得手
プレスリリース、マニュアル、小説の翻訳などスタイルが全く異なるもの
・特定の環境における作業の得手不得手
パワーポイントが苦手、他人の翻訳にあわせて統一する作業が苦手
など。

もっとも、一流の翻訳家ほど「自分は何が得意でないのか」を正しく理解しているので、苦手な分野は断ることが多いのも事実だ。最適な翻訳家の選定するには、結局コーディネーターが、顧客が何を求めているのかを理解することが一番大事だ。

4.翻訳家がスキルアップするしくみつくり
翻訳家に限らずプロは仕事を通して実力があがっていくものだと思っている。が、現実そうでないことも多い。それは、スキルアップする環境がないか、本人にスキルアップする気がないかのどちらかだ。
環境については、翻訳会社の責任に負うところが大きいと思っている。翻訳会社が出来る一番の貢献は「翻訳家にフィードバックを返す」ということだ。

翻訳サービスを始める時に、翻訳家数人にインタビューをしたことがある。その時今でも印象に残っている言葉がある。「私たち翻訳家って、翻訳会社を通して仕事をすることが多いものだから、私たちのした仕事が、顧客から評判が良ったのか悪かったのか、なかなかわからなくて、それがつらい時があるんですよね」

この言葉を信じて、出来る限り翻訳家にフィードバックを返す努力はしている。顧客からいただいたフィードバックはもちろんのこと、例えば、チェッカーのフィードバックも当社は必ず翻訳者に返すことにしている。
正直この負荷は当社にとっても大きいし、翻訳家にとっても自分の翻訳を見直すわけだから、大変大きい。
仕事はやりっぱなしのほうが稼ぐのに効率的だと思う翻訳家もいると思う。どちらが正しいという問題ではなくフィロソフィーの問題だと思っているが、こういう翻訳家とは当社は相性が悪い。

その他、ツールの使い方や翻訳する対象物の知識教育など行うこともあるが、一番効果的なことはこのフィードバックを返すことだと思っている。翻訳家は基本的に皆勉強熱心だ。ただその勉強方法が独りよがりにならないように、翻訳会社としてサポートするだけだ。

注記:このエントリーは当社発行小冊子「翻訳品質を上げる7つのルール」の補足として書いています。小冊子に興味がある方はこちらからお求め下さい。
http://www.arc-c.jp/present1/index.html

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