2026 年でも DX を実現できる日本企業は 10% 未満!? Gartner の衝撃的予測
3月1日、Gartnerから衝撃的なリリースが出されました。
Gartner、アプリケーションに関する展望を発表―2026年に至ってもなお、競争力強化につながるデジタル・トランスフォーメーションを実現する日本の大企業は、10%に満たない
そもそもは「アプリケーションに関する展望」についての発表で、レガシー・アプリケーションの近代化の取り組みなどに関することなのですが、そのサブタイトル的な扱いで「2026年に至ってもなお、競争力強化につながるデジタル・トランスフォーメーションを実現する日本の大企業は、10%に満たない」という文言が入っているのです。そしてもちろん、そちらのほうがインパクトは大きいのです。
このブログでも日本でDXが本当に進んでいるのかについて、いろいろ書いてきました。中でも3年前に書いた
では、当時の電通デジタルの調査でDXに着手した企業が70%、DXが完了したと回答した企業が8%だった、という結果に対して
第一に、「DXが完了した」と言っている会社が全体の8%「も」あることが驚きです。経産省が危機感を持って警鐘を鳴らしているように、日本企業がそこまで進んでいるとは思えません。
という疑問を呈しています。他の調査などを見てみても、日本企業のDXがそこまで進んでいるとは思えなかったからですし、上にあるように経産省は日本のDXはまったく進んでいないという危機感を持っていたからです。
このブログでは他にこんな記事や、
こんな記事も書いています。
その意味では、今回のGartnerの発表は驚きではなく、「ああ、やはりそうなのか」という感想しかありません。
相変わらずDXの定義が揃っていない
ただ、これも上の「DXは完了するのか?」で書いているように、そもそものDXの定義が調査する企業、回答する企業、経産省、Gartnerなどでバラバラなのが問題なのでしょう。今回の発表で、GartnerではDXを
「DXの本質は、デジタル・テクノロジを活用することで新たなビジネスモデルを創出することであり、新たなビジネスモデルは、自社の戦略に沿った、競争上の優位性を確保できるものであることが重要です」
と定義しています。タイトルにも「競争力強化につながるDX」を実現できる「日本の大企業」が10%に満たないと言っているわけです。その上で、発表ではこのように書いています。
現在、多くの日本企業が既に何らかのDXに着手しているものの、DXの取り組みの成果は、コスト削減や作業の効率化/自動化の実現のような、業務改善レベルのものが多い状況です。企業のビジネスの変革までを目指している企業の割合は少なく、2026年に至ってもなお、競争力強化につながるDXを実現する日本の大企業は、10%に満たないとGartnerはみています。
多くの企業がDXに着手していることには異論を唱えていませんが、そもそもそれらが目指しているのがGartnerのいう「DX」ではなく、「コスト削減や作業の効率化/自動化」に留まっていることが問題だということなのでしょう。
経産省の「2025年の崖」レポートから4年、2025年まではあと2年しかありません。いいかげんDXの定義を皆で共有し、実効性のある改革を進めていなければならないのではないでしょうか。
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