【30.6%】雰囲気とか、価値観とか、相性とか、そんな入社動機は成立しないのか
不思議なもので、ひとりでも新入社員がいると、その職場の雰囲気が変わりますよね。やっぱりいいな、この時期。そんな初々しい彼らの姿を見るにつけ、彼らはどんな理由で就職先を選んでいるのか、という極めてスタンダードかつクラシカルなことが気になっています。転職の場合は、それなりに動機があるわけで、その動機を満たすことが就職先を選択する理由に直結する(はず)のでしょうが、大学生が初めて就職する場合は、こうはいかないわけです。
こうしたことを考えるに至った背景には、昔から言われている「就社じゃなくて就職」といった考え方や、「やりたい仕事で選ぶ」「向いている仕事で選ぶ」といった最近のキャリア指導のスタンダードな(?)考え方に対する疑問があるわけですが、それはともかくとして。
相性とか雰囲気とか、気が合うとか居心地とか、そんなような、およそ合理的でないかもしれない理由ではダメなんだろうか、みたいなことを思っていますが、そこで気になったことに少し触れておきます。備忘録みたいなものですけど。
マリナーズのイチロー外野手(38)が5日、ほっともっと神戸でソフトバンクから海外FA権を行使した川崎宗則内野手(30)と合同自主トレを行った。
川崎についてイチローは「価値観を共有できる選手というのは、11年やってもなかなか数えるほどしかいない。それが、この段階で共有できる人間がいるのが僕にとっても、これまでにない大きなプラスになる」…(後略)
※Sponichi Annex 2012年1月6日配信記事より一部引用
ここでいう「人」「価値観」というのは、実はとても大きなものじゃないかと思うのです。新卒学生が就職先を選ぶ理由の調査項目に「人事担当者の印象が良かった」というのが結構上位にあったりします。人の「印象」というのは、実は大きな影響を与える因子になると思いますし、それこそ「印象」というレベルではなく「価値観」にまで至れば、それこそ、そこで働くに十分な動機になるのではないかと思うのです。
もうひとつ。ご存じサイバーエージェント社長の藤田晋氏のブログから。
(前略)…採用時にポジティブな人がその後も維持できるかどうかは分かりませんし、性格のよさは重視してますが、最後は人の内面まで見抜くことは不可能だと思ってます。
ですが、ただひとつ創業来気をつけていたことは、「ポジティブな人がマジョリティであること」(捉えどころの無い、空気感のような話しです)
人は誰でも周囲の「人」に強く影響を受けるので、ポジティブな人が一緒に働く人に多ければ自分もがんばろう)という気持ちになれるし、ネガティブな人が多ければ一人だけ組織の中で高いモチベーションを維持するのは困難だと思ってます…(後略)
※渋谷で働く社長のアメブロ 2010-09-09 より一部引用
藤田社長も「空気感のような話」としながらも「人」の重要性について意識していることがよく伝わってきます。ポジティブな人が多く集まれば、そこにポジティブな組織ができる。当たり前の話です。採用時にそれを採用側が見抜くことは確かに難しいでしょうが、逆もまたしかり。ポジティブな人が多い職場に魅力を感じる人は結構多いのではないでしょうか。
ネットマイルが発表した「就職活動についての調査レポート 2012.3.23」によれば、「就活学生が入社を決める理由」について、H9~11年度の3年間合計で、トップは「雰囲気が合うと感じた」(30.9%)となっています。どこをどう見て雰囲気を判断したのか気になるところですが、やはり学生も何らかの接点から自分との相性を感じ取っていて、それを重視していることがうかがい知れます。
類は友を呼ぶ、というほど単純な話ではないのかもしれませんが、「雰囲気」を伝えられる方法をきっちり考えてみるというのも大事な採用戦略だと思いますし、そうした情報提供を企業側が行えれば、採用時におけるミスマッチも減るだろうなと思ってみたり。もうちょっと考えてみたいテーマだと思います。