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【24%】入口ですでについている、就業力における学生の感度差

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 大学に学生の就業力育成が求められている昨今。何をもって就業力を計るのか、未だ議論されている渦中ではありますが、現場にいると、たとえばこんなことかなと感じる瞬間というのがあります。
 
 先週行った1年生向けの授業の中で、学生の企業認知度を計る、簡単な調査をやってみました。あるルールで抽出した会社名の一覧を配布し、「社名を知っている・聞いたことがある」ものにチェックをつけるという、大変シンプルな調査です。手元にある一部の回答用紙を集計してみると、約8割の学生の認知度が、10%~30%のゾーンに集中した一方で、僅か1名が50%以上を示しているという結果が出てきました。平均は【24%】で、グラフ化すると典型的なロングテールです。
 
 わたしが驚いたことは、多くの学生が「東海旅客鉄道」にチェックを入れていなかったことです。学生たちの会話から、教室でこのことに気づいたわたしは、「東海旅客鉄道」というのは、「JR東海」のことですねと話すと、学生からは「なーんだ、だったらそう書いてよー」という反応。たしかに「JR東海」という方が耳慣れていることはわかりますが、でもパッと見たところで半数くらいがチェックできていなかったというのには、正直びっくりしました。その一方で、「あみやき亭」には、ほとんどの学生がチェックを入れてました。ま、これは想定通りですが(笑)。
 
 さて、50%以上を「知っている・聞いたことがある」と回答した学生。彼に話を聞いてみると、父親の影響で、「ガイアの夜明け」や「カンブリア宮殿」をよく見ているという話が出てきました。「あれ、見始めるとおもしろいんですよね」と真顔の彼。ならば50%以上の認知というのも必然だと感じました。
 
 この調査結果が、特殊なものなのか平均的なものなのか、これだけで判断することはできません。
わたしは、社会のことを知る、興味を持つということが、いわば就業力のスタートラインみたいなものではないかと思っています。そんな視点でみると、大学に入ったばかりの段階で、学生間にはすでに感度差がかなりあるなーと感じるわけです。
 
 当たり前の話ですが、学ぶのは学生本人。周囲にできることは、その手伝いでしかありません。彼らの、社会に対する興味関心をどう引き出してやるのか。これって相当高いハードルだけれど、とってもおもしろいなと思っています。

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