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●人、●%、●億円…メディアにあふれる「数値」から、世の中のことをちょっと考えてみましょう

【800種類】ふと気づいた、日本は「公用語」を意識しないで暮らせる国なんだ、ということ

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 楽天が、ユニクロが、日産が社内の公用語を英語にすると発表し、いろいろと話題となっていますね。なぜこれがニュースになるのか。もちろんそんな会社が他になかったからでしょうが、じゃあなぜこれまでなかったのか。そもそも「社内の公用語」って何なのよ。そんなことを、ふと考えています。

 日本の会社が社内で日本語を使う。当たり前のことなのですが、だからこそ、「明日から英語で話してね」という会社の方針が、当たり前じゃないことだと受け止められたわけです。普通に仕事をする際に、もちろん職種によって、取引先によって、会社によって、英語(または他の外国語)が必要となるところは数多くあるのですが、日本全体からすれば、それはほんの一部。基本的には日本語ですべてが事足りる。商談するにも、打ち合わせするにも、ホームページで何か情報を調べるにも、メールを書くのも、発表するのも、上司が部下に説教するのも、すべて日本語で大丈夫。これが日本の常識なのですが、この常識って、諸外国でも同じかというと、まったくそうではない。大事なのは、そこなんですよね、きっと。

 諸外国には、同じ国の中でもいろんな言語が使われている国がたくさんあります。そうなると、仕事だけじゃなくてフツーに生活する上でも、いろんな言葉が使えないとコミュニケーションが成り立たないわけです。たとえば、インドで使われている言語は【800種類】以上もあるそうですね。

…(前略)…インドはヒンディー語を連邦公用語とする。ヒンディー語圏以外では各地方の言語が日常的に話されている。インドで最も多くの人に日常話されている言葉はヒンディー語で、約4億人の話者がいると言われ、インドの人口の約40%を占める。【800種類】以上の言語が話されているインドでは、地域が異なればインド人同士でも意思疎通が難しい場合もある。植民地時代に家で英語しか使わず子供を育てたなどで、英語しか話せない人もいる。しかし一方で、地域や階級によっては英語がまったく通じないこともしばしばである。1991年の国勢調査によると、178,598人(調査対象者の0.021%)が英語を母語にしており、9000万人以上(同11%)が英語を第一、第二、ないし第三の言語として話すとしている。インド社会は国内コミュニケーションの必要上から第二公用語の英語を非常に重視しており、結果として国民の英語能力は総じて高い。インドの大学では全て英語で講義を受けるため、インド人留学生にとって、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどの英語圏が留学先として圧倒的に人気が高いのである…(後略)…

Wikipedia「インド」より一部引用


 同じ国の中で【800種類】もの言語が使われているという状況を、わたしたちは想像できるでしょうか。こうした前提の違いを知らずして、企業のグローバル化を考えることはできないよね、という話なわけです。日本において、「日本の公用語は日本語」ということは当たり前すぎて話題にもなりませんが、外国ではこれが結構大事なことだったりするわけです。こうなると、生活や仕事における言語力の必要性がまったく違ってきます。子どもの頃からの言語教育の在り方も変わってきますし、言語力の有無が生活レベルや範囲にも影響するでしょうし、もちろん就職にも直結するでしょう。
 
 幸か不幸か、これまでの日本は、大半は日本語だけで仕事が成り立った。でもこれから諸外国との競争が激しくなる中で、今のままでは通用しない。今まで当たり前だったことが、これからは当たり前じゃなくなるかもしれない。じゃあ、グローバルな環境で仕事をするということは、どうゆうことなのか。諸外国から見れば日本はどう映るのだろうか…。日本語だけで仕事ができている日本の会社環境に「違和感」を覚えた会社が、楽天であり、ユニクロであり、日産だったということではないでしょうか。

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 社内の昇進昇格要件としてTOEICやTOEFLのスコアを課している企業は、これまでにも数多くあります。グローバルな競争下で仕事をする上で語学力、とりわけ英語力が必要になっているのは、最近の話ではないはずです。ただ、そのレベルが諸外国に比べて低すぎるという指摘があるのも事実です。
 
 言うまでもなく「TOEICやTOEFLが高得点である」ことと「英語が使いこなせる」ことはイコールではないでしょう。わたしが在籍する大学でも、留学制度への参加必須となっている学部学科があって、実際に留学経験を経ている学生が多数います。彼ら彼女らの中には、TOEICのスコアは決して高くないけど、日常会話なら十分に使いこなせるレベルに達している学生も結構います。なぜ上達できたのか。指導する教員に聞けば、答えは明白です。「彼らが
留学で英語力を身につけられたのは、英語しかコミュニケートするツールがない環境に置かれた時間の長さによるところが大きい。もちろん本人の努力、意欲も必要だし、経験を積むことで身に付く度胸も大きい」

 つまり、
英語力をつける・磨くには、英語を使う「絶対量」の確保が一番手っ取り早いということでしょう。日本にいて一番難しいのは、この「絶対量」が不足してしまうこと。英語を使わなくても生活上、仕事上、不自由しないのが現状だからです。それが判っているからこそ、「社内公用語を英語にする」という手法を選択した、ということではないかと。
 
 最近になって新卒採用を外国人採用にシフトする企業が増えているというニュースと合わせて考えると、社内の仕事環境を英語にすることは合致する部分があります。この話題はまたあらためて考えてみたいと思います。
 
※日産については以前より一部で英語の公用語化を導入していた経緯が判明し、最近導入した事例としては不適切な表現でしたので、文中から削除させていただきました 2010.7.5.10:19

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