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【26.4%】 製造業で高度成長期を駆け抜けた父と、家庭菜園の天才母の姿を見て、正月休みに考えたこと

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 新年おめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
 
 大晦日から予想外の雪に見舞われ、元日・2日はどこにも外出できなかった今年の正月。昨日3日はかみさんの実家に年賀の挨拶に出かけてきました。義父母とも、おかげさまで大過なく元気で何よりです。寒い日だったこともあり、外出せずにゆっくりと話をすることができました。
 
 義父は日本を代表するメーカーで40年以上勤め上げ、日本の高度成長期を駆け抜けたサラリーマン。以前から読書家でしたが、引退した今でも新聞・テレビ・インターネットでいろんなニュースに接しているようです。時折しか話す機会がありませんが、その度にいろんなことを学ばせてもらっています。その義父が、大きく育った孫娘を見ながら、こんな話をしてくれました。
 
 「難しいことはわからんが、今のままで子世代、孫世代の生活が本当に豊かになるのだろうか、とても心配になる。日本は資源の乏しい国。外国から資源を買わないと、生きていけない国なんだ。買った資源を価値あるモノに変えて、海外に買ってもらうことが、この国の生きる術なんだ。だから、製造業ががんばらないと、日本の豊かさはありえない。ここが原点のはずなんだ」
 
 わたしも心底同感です。
エネルギー自給率が約2割、食料自給率も4割強しかない我が国は、海外から資源を買うお金がないと、すぐに枯れてしまう国だという現実を直視しないといけません。
 
 その一方で、
日本の全就業者に占める製造業(建設・鉱業等含む)就業者の割合はわずか【26.4%】と、約1/4程度しかいません(平成20年、総務省・労働力調査・産業別就業者数より算出)。農林漁業従事者も少数なので、いわゆる第三次産業で働く人口が7割を超えている国なわけです。これで海外から評価されるような価値あるモノを作る国になれるのでしょうか。
 
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 もちろん業種分類上の製造業だけがエライ、それ以外はダメだと申し上げるつもりは毛頭ありません。でも、日本という国の将来を考えるとき、一番大事にしなければいけない基準は何かを考えてみたとき、「海外から買ってもらえる価値あるものを作らないと日本は生きていけない」という義父の指摘は、とても共感できる指針だと思ったわけです。
もっともっと技術を、技術者を育てる国、技術者を目指したいと思える国にならないと、日本が豊かになることはできないんじゃないだろうか。ちょっと大げさかもしれませんが、そんな視点で今の国策を眺めてみると、いろいろ思うことがありませんか。
 
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 義母は家庭菜園が大好きで、実にいろんなものを栽培しています。実家を訪れる度に、収穫できたものをいただき、こんなに嬉しい土産はありません。もちろん無農薬有機栽培。義母の才能には頭が下がります。これまで収穫できたものは、わたしが知っているだけで、ハクサイ、サツマイモ、サニーレタス、カボチャ、ネギ、タマネギ、大根、トマト、ピーマン、ニンジン、シソ、唐辛子(シシトウと間違えて作ったらしい)、オクラ、イチゴ、枝豆、ゴーヤ、ミカン、レモン…と、他にもあったと思いますが、覚え切れません。
 
 義母はあくまで趣味と笑いますが、かなり本格的で、手もかかっています。事実、毎日の食卓には季節毎に自家製野菜が並び、今回の土産には、大きな大根、ハクサイ、ミカンを袋一杯いただきました。それを見ながら、しみじみ思ったわけです。「
こんな野菜を自分で作れるなんて、何と素晴らしいことなんだろう。やっぱり自分で価値あるモノを作れる人にはかなわない」 時間ができたら、絶対弟子入りしたいと思いますね。
 
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 製造業で生きてきた義父と、菜園で野菜作りに興じる義母に、わたしはとっても共通点を感じます。
この世代の人たちは、何が豊かさをもたらすのか知っていると。正月早々、いい話を聞いて実家から帰ってきました。。。

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