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【2,350万世帯】 アナログ表示の前に、タイサク表示を

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 NHKに続いて、今週12日より民放でも始まった、アナログTV視聴時の「アナログ」表示。我が家はまだ地デジ移行していませんので、画面右上に「アナログ」の4文字がが表示されています。2011年7月の地デジ移行まで1,000日を切り、そろそろですよ〜ってことですよね。意図は分かります。でも個人的にはきっちり理解しているつもりなので、正直止めて欲しいです。残念ながら勝手に消せません。ドラマに映画に、興ざめったらありゃしません。
 
 

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 個人的な感想は置いといて。アナログ放送も間もなく終了ですよ〜って表示する前に、目の前に積まれている課題をどうやっつけるつもりなのか、ちゃんと表明された方がいいかなぁと思うんです。以前に自分のエントリー(【1,428万台】 我が家が地デジに移行しない、それなりの理由)でも指摘させていただきましたが、このままだと移行時点で地デジが映らない現役TV1,428万台が、一瞬にして粗大ゴミとなりかねない、まれに見る失態となってしまう危惧があります。これに対する解決策が未だ政府から発表されていないのは、さすがに心配だと思うわけです。

 未だ解決への道筋が表明されていないのには、いくつかの理由が考えられます。たとえば、5,000円以下という地デジチューナーの開発が遅れていること、地デジチューナーを無償で提供する対策を講じる場合の対象者選定が難しいこと、その予算確保が厳しいことなど、いろいろあるでしょう。最も大きいのは、現時点で地デジ対策を公開すれば、それをあてにして地デジ対応TVの購買意欲低下が予想される点かもしれません。

 その状況に拍車をかけているのが、昨今の急激な不況です。地上デジタル放送推進全国会議が第9次行動計画の中で公開した情報によると、地上デジタル放送対応受信機器の普及台数は、2008年9月末時点で約4,113万台に達し、目標(約3,990万台)を上回っているものの、同時点で普及世帯数は約【2,350万世帯】であり、目標(約2,600万世帯)を下回っている状況。それに昨今の景気減速がマイナスの影響を及ぼし、地デジ対応TVの売れ行きが不振となっており、期限までの移行に黄色信号が灯りつつあるようです。要は待ったなしの状態だということです。

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 あまり話題になっていませんが、この地デジ移行は、日本だけの施策ではありません。すでにドイツなどでは完全移行が完了し、この2月には、米国でも地デジ移行を迎えようとしています。たとえば米国の場合でいえば、地デジ対応TVを購入することが困難な低所得者層に対して、40ドルのクーポンを配布。このクーポンを使えば、アナログTVでも地上デジタル放送を見られるチューナー(最大70ドル程度)を、30ドル以下の自己負担で買うことができることになっています。ただこれも、チューナーの供給不足に加えて急激な不況の直撃で、今に至っても厳しいという声もあるようで、一部では目の前に迫った移行を先延ばしするのではという報道もあります。

 幸いなことに、日本はスケジュール的にまだそこまで切迫した状況ではないのかもしれません。ただ、本気で2011年に移行するつもりなら、今すべきことがあるような気がしてなりません。何だか宿題を先延ばしにしているだけのような感じがするわけです。ここは他国の先例を模範とし、一国も早く対策を表明して走り出して欲しいと思うのですが。

 で、あのアナログ表示、何とか消してもらえませんかね。えっ? 地デジTV買えば解決するって? そりゃそうですけど。。。

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